被爆53周年原水爆禁止世界大会の構想について

1、基本テ−マと課題について

 インドとパキスタンが相次いで核実験を行なったことで、これまでの核軍縮へ向けた着実な努力の積み重ねは大きなダメージを受けました。一昨年(1996年)9月のCTBT(包括的核実験禁止条約)の成立をはじめ、国際司法裁判所(ICJ)の「勧告的意見」、カナダでの安全保障政策見直しの動き、元軍人による核軍縮声明、と続いていた核軍縮へ向けた動きは完全に逆流に転じたかのようにも見えます。
 しかし、米ソ(ロ)が圧倒的な核軍備をもって対峙する、従来の核抑止体制が縮小の方向に向かっていることは変わりありません。この縮小のスピードが遅すぎたことが、南アジアの地域紛争に「核」が持ち込まれるという、核の水平拡散を許してしまったのです。 確かに、NPT体制の矛盾が、いまほど明確になったことはありませんが、これに変わる完全なシステムがすぐに構築できる見込みもまたありません。私たちはNPT・CTBTの問題点を修正する努力を行なうと同時に、こうした不十分な条件の中で、世界の仲間とともに積み重ねてきた成果をさらに協力におしすすめることが必要だと考えます。
しかし、インドやパキスタンの民衆が熱狂的に自国の核を歓迎している様子などをみると、核兵器のもたらす悲惨さや被爆の実相が、両国の人々にはほとんど知られていないことを実感します。国内では被爆から53年を経て「風化」の心配もされるヒロシマ・ナガサキの体験ですが、いまこそ世界の人々に向かって強力なメッセージを発信していく必要があるのではないでしょうか。
 ヒロシマ・ナガサキの原点を再確認しながら、あらためて核廃絶へ向けた流れをつかみ取り、その道筋を見つけだしていく。それが出来なければ、核兵器の拡散を防ぐことも難しいでしょう。見失いかけた核のない21世紀への展望を再びたぐり寄せるのか、振り子がもとに戻っていくのを許してしまうのか、私たちは正念場を迎えているのです。

また、95年12月の「もんじゅ」事故以降、東海再処理工場の爆発事故、「ふげん」のトリチウム漏れ事故など、相次いで発生した核燃料サイクル関係施設での事故は、事業主体の動燃に対する批判にとどまらず、国の原子力政策全般に対する広範な不信を巻き起こしました。現在も、事故直後ほどの勢いはないものの、脱原発を求める市民の意志はさらに着実なものとなっています。
すでに、これらの事故によってプルトニウム利用政策は半ば破綻し、政府は余ったプルトニウムを軽水炉(普通の原発)で燃やすプルサーマル計画を強行しようとしています。2月23日には関西電力はプルサーマルの事前了解願いを福井県と高浜町に提出しました。私たちは核兵器への転用が容易で核拡散の観点からも問題の多い、プルトニウムの大量利用政策をなんとしても変えさせなければなりません。プルトニウム利用政策を中止させることが、エネルギー政策の転換を実現する巨大な一歩となることは間違いありません。プルサーマル計画や六ヶ所村の核燃基地化に反対し、「もんじゅ」の運転再開を許さず、プルトニウム利用政策を転換させる闘いもまた、正念場を迎えつつあるといえます。

私たちは、このような重大な状況をふまえ、あらためて核被害の実態や闘いの現場を意識することで運動の力を得ながら、以下のような課題の実現をめざして地球規模の反核・非核の大きなうねりをつくりだすよう、世界の反核運動の仲間と連携しながら活動をすすめます。

1)核兵器廃絶の道筋をつくりあげるための課題
1.インド・パキスタンの核開発の中止。
2.未臨界(臨界前)核実験などあらゆる核実験の停止。
3.核兵器転用可能核分裂物質の生産禁止協定(カットオフ)交渉の具体化。
4.すべての核保有国による第三次戦略核兵器削減交渉(STARTV)の開始。
5.核兵器禁止条約の早期交渉開始。
2)核廃絶に向けた日本の役割の強化についての課題
6.非核法の制定(非核三原則の法制化)。
7.北東アジアの非核化。
3)日本の原子力政策の転換
8.「もんじゅ」、東海再処理施設の事故の徹底究明と永久凍結。
9.プルサーマル計画の中止、プルトニウム利用政策からの転換。
10.非核の立場から再生可能なエネルギー政策への転換の促進。
4)世界のヒバクシャとのネットワーク
11.被爆体験の継承、風化をさせない取り組み。
12.世界のヒバクシャに対する国際補償の筋道。
13.「被爆者援護法」の改善と国家補償の実現。
14.被爆二・三世運動の確立と発展。

2、運営・機構・役員について

被爆53周年原水爆禁止世界大会を実施するため、広範な個人・団体に下記のような実行委員会の結成を呼びかけます。

1)機構について
@名称:
被爆53周年原水爆禁止世界大会全国実行委員会
A組織の性格:
原水禁国民会議の「よびかけ」に賛同する個人・団体で構成。
B機関:
イ)全国実行委員会
「よびかけ」に賛同する団体・個人で構成し大会の基本的事項を決定。
ロ)常任実行委員会
以下の人びとによって構成し、大会の執行・運営にあたります。
・原水爆禁止日本国民会議の役員
・市民グループ(各団体の代表)
・専門家などの個人
ハ)作業委員会および連絡会
「企画」「起草」「国際」の三つの作業委員会を設け、常任実行委員で分担します。
・企画委員会は、分科会および大会全体の企画を担当します。
・起草委員会は、大会基調、アピール、決議、宣言を担当します。
・国際委員会は、国際会議関係を担当します。
・子供派遣団を取り組む県、反核まんが展実行委員会、広島県教組で子ども派遣団連絡会を設けます。
ニ)運営委員会
常任実行委員および大会の分科会などの運営にあたる者で構成します。
・大会実行委員会で依頼する運営委員。
・広島、長崎の現地で依頼する運営委員。

2)役員・事務局について
@実行委員長
原水爆禁止日本国民会議長
A副実行委員長 若干名
原水爆禁止日本国民会議副議長
市民グループなど
B常任実行委員会 若干名(前項「常任実行委員会」参照)
C事務局長
原水爆禁止日本国民会議事務局長
D事務局
原水禁事務局のほかに、広島原水禁、長崎原水禁、中央団体、市民団体からそれぞれ若干名をだしあう。

3)運営について
「反核・非核で一致する」すべての人びとに開かれたものとし、様々な立場の人たちが共同できる広場とするために、以下のような配慮をします。
@参加者の思想・信条・宗教・文明観の相違を前提とし、参加する個人や組織の意見や立場の違いを相互に認め、尊重する。
A核問題に関する評価や運動の進め方について、個人攻撃、非難、中傷はしない。

3、大会の日程概要

1)国際会議
日 時: 8月1日(土)10:00〜8月2日(日)17:00
場 所: 東京(予定)
規 模: 200名
海外代表: 海外代表については10〜15名程度を招待
※国際会議の持ち方と内容については、国際作業委員会で検討します。

2)広島大会(会場は予定)
○開会総会: 8月4日(火)17:30〜19:30 県立体育館
○分科会等: 8月5日(水) 9:30〜13:00 広島市内10カ所程度
慰霊碑巡りなど 14:00〜17:00 広島市内
○まとめ集会: 8月6日(木)10:00〜11:30 アステルプラザ中ホール

3)長崎大会(会場は予定)
○開会総会: 8月7日(金)17:30〜19:30 長崎市公会堂
○分科会等: 8月8日(土) 9:30〜13:00 長崎市内10カ所程度
慰霊碑巡りなど 14:00〜17:00 長崎市内
○閉会総会: 8月9日(日) 9:00〜10:00 県立総合体育館

※分科会などの持ち方、テ−マや日程、会場などについては大会実行委員会企画作業委員会で検討し、現地の意見を尊重しながら調整します。

4、事前行動

1)非核・平和行進の実施
○名 称: こどもたちに核のない未来を! 非核・平和行進
○主 催: 被爆53周年原水爆禁止世界大会実行委員会
○そ の 他: 「非核法」制定にむけての署名、自治体への要請(非核自治体宣言の要請文など)などもあわせて行ないます。


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