原水禁大会パンフ
2002年大会パンフ

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  攻撃対象の国々

 前述の『ロサンゼルス・タイムズ』紙の記事が注目を浴びたのは、ブッシュ政権は、「少なくとも七つの国に対して核兵器を使用する非常事態計画を準備することと、一定の戦場の条件において使用する小型核兵器を作ることを軍部に命じた」と報じたためです。七つの国とは中国、ロシア、イラク、北朝鮮、イラン、リビア、シリアです。一月二九日の年頭教書でブッシュ大統領が、北朝鮮、イラン、イラクを「悪の枢軸」と呼んでから間もない頃のことでした。
 攻撃の対象についてはNPRは次のように言います。「核攻撃能力の要件を設定するにあたり、米国が備えておかなければならない事態を区別しなければならない」。それは、即時的事態、潜在的事態、予測されない事態である。「即時的事態とは、良く理解された現在の危険に関するもの」であり、例としては、「イラクによるイスラエルあるいは近隣諸国に対する攻撃、北朝鮮による韓国に対する攻撃、あるいは、台湾の地位を巡る軍事的対立などがある」「北朝鮮、イラク、イラン、シリア、リビアは即時的、潜在的、予測されない事態に関わる可能性のある国々に入る。これらすべての国々が、米国及びその安全保障上のパートナーに対し、長年に渡る敵意を持っている。特に北朝鮮とイラクは、慢性的軍事的懸念対象となっている。すべてが、テロリストを支援するか、かくまっており、活発な大量破壊兵器及びミサイル計画を持っている」。
「中国はいまなお戦略的目的を発展させつつあり、また、核戦力及び非核戦力の近代化をつづけていることからいって、即時的あるいは潜在的事態に関連する可能性のある国である」「ロシアは、米国を除けば、もっとも強力な核戦力と、程度は劣るとしても、相当の通常兵器能力を維持している。しかし、モスクワとの間には、現在では、冷戦時代のようなイデオロギー的紛争の種はない。米国は、ロシアともっと協力的な関係を求めており、恐怖の均衡政策の枠組み──それは定義そのものからいって、相互の不信と敵意の表現である──から抜け出そうとしている。したがって、ロシアを巻き込んだ[核攻撃]事態は、あり得ることではあるが、予想されることではない」。それならなぜもっと核兵器の数を減らせないのでしょうか。
 また、ロシアと中国以外の名指しされた国々が、NPT加盟の非核保有国であるのが問題です。唯一、北朝鮮だけが、実際に少数の核を持っている可能性を米国が恐れている国の範ちゅうに入るだけです。米国は、NPTの再検討・延長会議の直前にあたる一九九五年四月五日、非核保有国に対して核攻撃は仕掛けないとする「消極的安全保障」の声明を出しています。米国またはその同盟国に対する攻撃が、「核兵器国と連携しまたは同盟して、当該非核兵器国により実施されまたは支援される場合を除き、それらの非核兵器国に対して核兵器を使用しないことを再確認する」というものです。しかし、九四年のクリントン政権の『核態勢の見直し』の説明の中でも、ドイッチェ国防副長官(当時)は、化学兵器・生物兵器の「使用を考慮している国」は、米国の核戦力を「計算に入れなければならない」と述べています。違いは、ブッシュ政権の方が実際に核兵器を使用しかねないと懸念されることでしょう。
 実は、日本政府も、核の傘は、核攻撃を抑止するためだけのものとは考えていません。核を最初に使う国にはならないという「先制不使用」宣言を米国がすることに少なくとも日本は反対しないとの立場を示すべきだとの私たちの要求に対し、外務省は、それでは日本の安全に責任をとれなくなると言っています。たとえば北朝鮮が生物兵器や化学兵器を積んだミサイルで日本を攻撃すれば、核で報復するとのオプションを米国が持っていてくれなければ困るというのです。これは、北朝鮮に核兵器がないことが証明されたとしても、変わりません。核の傘は、核攻撃だけでなく、生物・化学兵器及び大量の通常兵器による攻撃に対する抑止としてもあるというのが外務省の説明です。

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