> 原水禁大会
2002年大会パンフ

【2002年8月17日付仏「ル・モンド」紙より】(インターネット版推奨記事ベスト8にも入りました)

広島でフランス核実験に非難

証言者は、サハラとポリネシアの核実験による放射線被曝の認知を要求。被害者団体や日本の会議主催者は「広島アピール」のなかで、フランス政府に対し、他の核保有国と同等の法制度を要求している。

東京 特派員報告

広島へ来たのは、アルジェリア人ひとり、ポリネシア人3人、フランス人2人の計6人。原水禁の主催で毎年開かれている原水爆禁止国際会議で、様ざまな市民団体の代表として、フランス核実験がサハラとポリネシアに与えている影響を証言するためだ。

フランス核実験の被曝者が広島で話をするのは今回が初めて。「今度の広島会議は非常に重要だ。ポリネシア、アルジェリア、フランス本国という3つの地域の被曝者がすべて揃ったのはこれが初めてであり、しかもそれが広島という象徴的な場所で実現したのだから」と核兵器監視センターのブリュノ・バリオ所長(L'Heritage de la bombe, Polynesie, Sahara : 1960-2002, Ed. CDRPC, janvier 2002の著者)は語る。広島市によると、1945年8月6日にこの街に投下された原爆により、現在までに22万5千人が死亡している。

1960年にサハラ砂漠のレガヌで行われたフランス最初の核実験「青いトビネズミ」[訳注:フランス軍がつけたコードネーム]から1996年にポリネシア・ファンガタウファ環礁の地下で行われた最後の核実験までの間に、フランスは45回の大気圏核実験を含む210回の核実験を行った。

「核実験センター(CEP)は、私の島に原爆待避所を建て、大気圏核実験のあいだ、島民はそのなかに平均3日間閉じこめられました。私は子供の頃、軍隊が私たちにアメ玉やチョコレートをくれたのを憶えています。3日経って待避所から出ると、軍隊は私たちに貯水槽に溜まった雨水を配給しました。あれは飲める水だったのだろうか?--私はいま疑問に思っています。核実験が終わるたびに、大人たちは1500フラン[訳注:ポリネシア・フラン]と何リットルものワインをもらっていました。大気圏核実験のたびにお金が支払われていたのです。なぜなのか?」モルロアから100キロの位置にあるツレイア環礁の住民で、モルロア・エ・タトゥ(モルロアと私たち)協会の会員でもあるエチエンヌ・テフムさんはこう語る。テフムさんの子供や両親など親族には、後遺症を発症した人が多い。原子力庁(CEA)に雇われて原子雲の写真を撮っていたテフムさんの父親は、肺ガンで亡くなっている。

サハラ砂漠では、1960〜67年の間、秘密裏に核実験が行われた。アルジェリア軍の将校だったモハメッド・ベンジェバールさん(65歳)は、1967〜71年の間、様ざまな実験場の清掃を任務とする部隊を指揮した。「爆心地以外では危険性について何も聞かされていなかった。私は、多くの人を危険に陥れてしまった。死んだ者もいる。住民について、フランス政府はこの地域を無人地区として指定した。だが、完全な無人地区などというものは存在しない! オアシスがつながっていて、農業も行われ、自給生活が営まれている。」こう語るベンジェバールさんは、放射能汚染を受けた後、1974年に100%の傷痍軍人と認定された。「個人的には何も要求しようとは思わない。これは要求というよりも、歴史上の義務なのだ。最初から歴史に欠陥があるようでは、どうしようもないのだから。」

法案

サハラでもポリネシアでも、フランスはみずからの核実験を「著しくクリーン」だったとして、それが健康に与える影響を一切認めてこなかった。「フランス人退役軍人から様ざまな証言が行われているのに、議会科学技術リスク評価局(OPERST)が最近発表した報告書[2002年1月]でも、相変わらず同じことを言い続けている。しかしアメリカでは、核実験退役軍人が上院の立法を獲得し、はるか以前[1988年]から、被曝によって引き起こされる可能性のある25種類の疾患と核実験参加との間の関連が公式に認められている」と、フランス核実験退役軍人協会(AVEN)のジャン‐ルイ・ヴァラックス会長は広島で訴えた。

AVENの健康調査に答えた退役軍人271人のなかで、ガンの罹患率は30%近くにのぼっており、フランス人全体の17%を大きく上回っている。被害者団体や日本の会議主催者は「広島アピール」のなかで、フランス政府に対し、他の核保有国と同等の法制度の制定、関連地域の除染のほか、被曝の恐れのある退役軍人や労働者、住民の医療対策を行うよう要求している。被害者団体は、去る7月24日に国民議会に法案を上程しており、これを審議日程に乗せる運動を続けている。

ブリス・ペドロレッティ
2002年8月17日版掲載記事(原文)