原水禁大会
2003.8.9 

大会宣言

2003年08月09日 被爆58周年原水爆禁止世界大会

 ヒロシマ・ナガサキに原子爆弾が投下された夏から58年。私たちは被爆地に集い、未曾有の悲惨な体験を改めて心に刻みました。58年前の8月6日と8月9日、人類としてはじめて受けた衝撃をいつまでも忘れることなく、核被害を根絶するため、世界のヒバクシャと連帯し「核絶対否定」の思想を広めるとともに、暴力と殺りくが繰り返される世界を、対話と共存を基本にした平和な世界へと変えるよう、私たちは訴えつづけてきました。
 しかし、核兵器戦争による世界破滅の恐怖、チェルノブイリの原子炉事故などがもたらしたヒバクの恐怖は、いまなおつづいています。ネオコンと呼ばれる軍事優先主義者グループに支えられたアメリカのブッシュ政権は、先制核攻撃を正当化するドクトリンを採択し、小型核兵器研究や地下核実験の再開を企図しています。また、国連決議や国際法、平和的解決を望む多数の国際世論を無視して、アフガニスタン、イラクへと相次いで戦争を開始しました。イラクでは、劣化ウラン弾など非人道的兵器をほしいままに使用し、罪のない多数のイラク国民を殺傷しています。一方で、戦争開始の口実にした大量破壊兵器はいまだに見つかっていません。
 アメリカと核戦略上の対抗関係にあるロシアや、米・日・台湾などのMD(ミサイル防衛)システム導入に対抗する中国は、核兵器の近代化を急ごうとしています。半世紀を超えてアメリカと休戦状態にある北朝鮮は核兵器開発をすすめようとしています。さらに、一触即発の対立関係にあるインドとパキスタン両国の核兵器保有や、内外に根深い対立関係をかかえるイスラエルへの核拡散など、核兵器使用と核戦争の危険性がつづいています。とくに、北朝鮮の核開発は北東アジアにおける平和的共生の未来を危うくし、日本をはじめ周辺国の軍拡を増長するものであり、速やかに平和的解決をさせなければなりません。
 アメリカの力による世界支配が強まるなかで、小泉首相は、アフガン戦争支援の「テロ特措法」につづいて米英のイラク攻撃も支持し、北朝鮮の脅威を喧伝しながら、有事関連法、イラク特措法と矢継ぎ早に憲法違反の疑いの強い法案を成立させました。政府自らが「非核三原則」をないがしろにする言動を再三繰り返し、国民意識をマヒさせながら、MDシステムの導入など新たな軍拡をすすめています。私たちは、北東アジアの平和連帯の絆を強め、戦争のための法律を絶対に発動させず、新たな軍拡を許さないための運動をいっそう強めていきます。また、教育分野をはじめ核兵器や戦争を肯定する動きを持ち込ませないための反核・平和・人権・共生の取り組みをすすめます。
 世界で強まる脱原発の流れに逆行して、日本はなお原発増設に固執しています。私たちは脱原発社会をめざし、当面、とりわけ危険で核の軍事利用につながるプルトニウム利用に反対し、プルサーマル計画からの撤退を訴えます。相次ぐ欠陥原発の発覚は一刻も早く原子力政策の転換をする重要性を示しています。
 被爆者援護、とりわけ被爆二世問題や在外ヒバクシャの課題も未解決です。日本の戦争責任と戦後補償の問題として早急な解決への取り組みをすすめていかなければなりません。また、世界のあらゆる核利用の場でヒバクシャがつくられることを許さず、その救済に取り組みます。
 私たちは8月2日から9日までの横浜、広島、長崎での国際会議と大会における討論を通して多くの点で共通の理解を得ることができました。私たちは、たゆみない核反対運動が必ず核兵器廃絶、脱原発の社会を実現させると確信しました。そして、来年のビキニ・ヒバク50周年、再来年の被爆60周年、2005年核不拡散条約(NPT)再検討会議をも見据えて、次の取り組みを進めます。