被爆61周年原水爆禁止世界大会は、8月3日福岡で国際会議を開き、参加者による決議を採択。8月4日、広島地裁で原爆症認定訴訟の原告側全面勝訴判決が出たばかりの広島市内で反核・脱原発を訴えた折鶴平和行進につづき、県立体育館に6,600人が集まり、原水禁・連合・核禁会議共同で「核兵器廃絶2006平和ヒロシマ大会」を開催、原爆症認定訴訟で国側に控訴しないことを求める緊急アピールを採択した。5日は分科会の各会場で討論、800人が参加した6日のまとめ集会では、「平和や核軍縮、脱原発を目指す市民団体と連携し、新たな被爆者を作らない原点に立ち返り『ノーモア・ヒバクシャ』をあらためて世界に伝える」とした「ヒロシマ・アピール」を採択、海外からは、米国ピースアクションの政策担当ポール・マーティンさん、ウクライナ「緑のエネルギー」副編集長のコネチェンコフ・アンドレイさんらがアピールした。
長崎では8月7日、原水禁・連合・核禁会議共同開催の「核兵器廃絶2006平和ナガサキ大会」を長崎県立総合体育館に3,800人の参加者を得て開催、来賓として、長崎県知事、長崎市長があいさつに立ち、伊藤市長は「核拡散防止条約(NPT)体制強化など国際会議で決められたことは何一つ守られていない。核を持つ国に被爆地の市長として憤りを訴えたい。長崎を最後の被爆地とするために、若い世代を中心に核廃絶の連携の輪を広げていかなければならない」と訴えた。 広瀬方人さんの被爆者の訴え、高校生平和大使報告などが行われ、最後に、「北東アジアの非核化と世界の核兵器廃絶へ向けた運動を展開していく」との平和アピールを採択、「原爆を許すまじ」を合唱。8日の分科会、ひろばの開催に続いて、9日には2,200人が集まって、県立総合体育館でまとめ集会を行い、岩松繁俊・大会実行委員長の主催者あいさつ、第9回高校生国連平和大使、核廃絶高校生1万人署名実行委員会からの訴え、長崎から沖縄へ原水禁平和行進のタスキリレー返還、海外ゲストのスピーチ(ドイツ緑の党国家エネルギー政策委員会議長のハートヴィッヒ・ベルガーさん、ドイツ「国際法を守る壁」プロジェクトのイザベル・ボーンさんとヤニック・ハケさん)、メッセージfromヒロシマについて日本、核廃絶の壁プロジェクトについてドイツとそれぞれの高校生が報告。また、福山真劫・大会事務局長の大会まとめが行われた後、大会宣言を提案・採択した。そして、原爆中心碑後援までの平和行進、11時2分の黙とうを行い、大会日程を終了した。
また、原爆資料館近くの爆心地公園より広場では、今年2回目となる核廃絶の壁キャンペーンが7日から3日間行なわれ、メッセージを書いた木のブロック約1万個をつなぎ、約50メートルの壁を作って平和をアピールした。
私たちはまもなく61回目のヒロシマ、ナガサキデーを迎えます。人類が二度と繰り返してはならない残酷な経験から、私たちはヒバクシャ援護・連帯、脱原発の社会の実現とともに、核兵器の廃絶、および非軍事による社会の構築を運動の基本としています。
さて、現在の東北アジアには冷戦構造が残ったままの緊張関係が漂っています。
日本政府は、原爆投下を経験した国として、世界に率先して核兵器廃絶、非軍事の国家および世界の実現に向けて一層積極的に外交努力を追及しなくてはなりません。そのためには、日米軍事同盟への依存や米国の軍事戦略との協調路線を減らし、近隣である東北アジア地域の国々との対話外交を一層充実させ、非軍事による地域の信頼醸成に向けた日本からの積極的提案をすることが不可欠です。それこそが日本が平和な世界の実現に向けて貢献できる姿です。
9.11以降、「対テロ」戦争の名のもと、米軍は中東から東北アジアに至る地域を「不安定の弧」と呼び、防衛の焦点としてきました。そして現在進行している在日米軍再編成(トランスフォーメーション)は、予期しない脅威に対応するため、より柔軟で機敏な軍隊を、地球規模で緊急動員し展開させるものであり、日米同盟の役割をグローバルに肥大させる恐れがあります。
キャンプ座間には陸軍第1軍団司令部が米本土から移転ならびに陸上自衛隊中央即応集団司令部が新設され、米軍空軍司令部のある横田基地には航空総隊司令部が府中から移駐し、ミサイル防衛(MD)で日米協力が進むなど、日米共同作戦体制が作られていきます。さらに原子力空母11隻体制の内6隻を、また潜水艦の6割を太平洋に移動させ、横須賀に新たに原子力空母も配備する予定です。
さらに、米軍再編成の動きの中で、小泉自公政府は、教育基本法の改悪、憲法改悪を目指す国民投票法案の制定、自衛隊法改正など、軍事大国化への道をつき進んでいます。
また、日本はすでに43トンものプルトニウムを保有し、ウラン濃縮施設を運転していますが、さらに六ケ所村で年間処理能力800トンという超大型の再処理工場の試運転が今年3月31日から始まり、韓国や中国の市民にとり、核拡散の危険と日本がいつでも核武装できる疑惑を生じさせ、相互の信頼を低下させる大きな要因となっています。
日本がこのような軍事的緊張をあおる態勢を進めることは、地域の平和と安定にとって大きなマイナス要因を生み出しています。
1992年に韓国と朝鮮民主主義人民共和国(以下、北朝鮮)は、核兵器の実験・製造・保有・使用等、使用済核燃料の再処理、濃縮ウランの製造を全て禁止し、相手側が選定し双方が合意することを条件に北朝鮮、韓国間で相互査察を実施すること等を約束した「朝鮮半島の非核化に関する南北共同宣言」を結んでいます。
2002年9月17日には、日朝平壌宣言にて、北朝鮮と日本政府との間で朝鮮半島の核問題の包括的な解決のため、関連するすべての国際的合意を遵守することが確認されました。2005年9月19日に開催された6カ国協議「共同声明」では、@北朝鮮がすべての核兵器と核計画を放棄し核拡散防止条約(NPT)と国際原子力機関(IAEA)の保障措置へ復帰する一方で、北朝鮮の求める原子力の平和利用の要求を尊重し適当な時期に軽水炉提供で議論すること、A米国が朝鮮半島で核兵器を持たず、北朝鮮を核兵器や通常兵器で攻撃、侵略の意図のないこと、米朝は相互の主権を尊重し、平和的共存、関係正常化の措置をとることなど、地域の平和に向けた前進的な合意がなされました。私たちはこうした流れを強化すべきだと考えます。
そうした中、様々な背景の中で北朝鮮は1993年に核拡散防条約(NPT)を脱退、2005年2月には核兵器製造を宣言し、また2006年7月には、テポドン2号をふくむミサイルを発射実験し軍事的緊張を高めており、日本国内ではこれに対する警戒心が高まっています。こうした事態に対して日本は、日米軍事同盟体制を強化するのではなく、今こそあらゆる手段を講じて国家間での信頼醸成の形成を優先するべきです。
日本は世界に誇るべき非核三原則(持たず、作らず、持ち込ませず)を国是としています。その一方で、米国による「核の傘」に依存しており、東北アジアにおける軍事的緊張を高め、核兵器廃絶の動きを鈍らせることとなっています。軍事力に依存しない東北アジア地域の平和と安定を確保するためには、「核の傘」から離脱し、新たなイニシアティブを積極的に推進し、選択することが求められています。
そのひとつとして、東北アジア地域での非核兵器地帯構想(核兵器の不存在・禁止、消極的安全保障=核保有国による非核国や非核地域への核攻撃の威嚇の禁止)を、例えば6ヵ国協議の場で提案するなど、韓国、中国をはじめとした周辺国との具体的な平和外交を積極的に推進する姿勢に、日本政府は転換しなければなりません。
米国に対しては、核兵器を含む先制攻撃の可能性を残すような戦略を転換し、世界の核軍縮を交渉する唯一の国際的枠組みである核不拡散条約(NPT)において、2000年に約束された13項目プラス2合意の前進に向けて、核兵器保有国である中国やロシアとともに核軍縮を進め、東北アジアの非核兵器国へ核の先制攻撃をしない安全の保証を求めていくことが必須です。
以上のような考えのもとに参加者一同として、下記の事項を日本政府に要請します。
以上、決議します。
2006年8月3日
被爆61周年原水禁世界大会・国際会議「東北アジアの平和・非核化と安全保障」参加者一同
1945年8月6日、広島は雲ひとつない夏空。何事もなく日常生活が始まるはずでした。しかし、原爆を積んだB29は、誰にも気づかれることなくヒロシマのはるか上空にやってきました。そして、8時15分。広島は一瞬の閃光とともに真っ赤な火柱と爆風によってすべてが焼き尽くされ、吹き飛ばされてしまいました。まさに、生き地獄と化したヒロシマ。焼きただれた皮膚は、ボロ切れのように垂れ下がり、多くの市民が水を求めて川に入りそのまま息絶え、黒い雨の降るなかを助けを求めさまよう人々の列、その後数日間で10数万人の市民が亡くなりました。そして、何千、何万の人々が死に、未だに原爆の後遺症によって苦しみ殺されている多くの方々がいます。父や母、兄弟姉妹、友人を失った無念の情は、いつまでも尽きることはありません。8月6日、それは人類にとって忘れることのできない、いや、忘れてはならない日となりました。
私たちはこの地に集い、61年前のヒロシマへの原爆投下がいかに深刻で重大な惨禍をもたらしたのか、被害の実態を再度心に刻み、語り継ぎ、行動する決意を新たにしました。
ヒバクシャをめぐっては、被爆61年が経過するにもかかわらず、在外ヒバクシャ、被爆二世・三世など多くの課題が残されたままです。原爆症認定訴訟では、8月4日広島地裁は5月の大阪地裁に続き原告全面勝訴判決としたものの、提訴後41名中10名もの原告が亡くなられており、国は一刻も早く基準を改正し救済しなければなりません。また、今年はチェルノブイリ原発事故から20年目です。世界的には原子力発電をはじめ商業利用でもヒバクシャが拡大しています。私たちは、あらゆる核利用の場でヒバクシャがつくられることに反対し、その救済にとりくみます。
米ソ冷戦が終焉して15年以上経過しましたが、いまだに世界には3万発を超える核兵器が存在しています。米ロ英仏中の核保有国の他、イスラエル、インド、パキスタンの核保有はいまや明らかであり、北朝鮮の核保有表明やイランの核兵器開発疑惑など新たな核軍拡の気配が強まっています。すでに、中東ではアフガニスタン、イラクにつづいてイスラエルのレバノン侵攻などで戦火が広がり、東北アジアでも緊張が高められています。このなかで、偶発的核戦争の危機が増しています。また、ブッシュ政権になって以降、NPT体制の無視、核兵器と通常兵器の垣根の低位化、核兵器の先制使用の可能性、新型核弾頭の開発を明らかにしています。NPT体制の空洞化に対抗して、世界の平和・核軍縮勢力の総力を結集するとりくみが求められています。
発足当初から米国に追従していた小泉政権は、有事関連法を成立させ、憲法理念を逸脱する自衛隊のイラク派兵強行、そして日本を戦争のできる国へと変貌させてきました。また、在日米軍再編と称して岩国基地機能強化や横須賀の原子力空母母港化、ミサイル防衛(MD)の推進などを住民の反対を押し切る形で米国政府の軍事戦略に積極的にかかわっています。私たちは、日本が軍事大国化の道を歩むことに反対し、憲法・教育基本法の改悪を許さない広範なとりくみをする必要があります。
世界的に進んできた脱原発の動きは、一部に逆流が生じています。とくに日本では、政府・電気事業者が、老朽化原発、原発震災などの重大問題を無視して、「六ヶ所村でのアクティブ試験」、「もんじゅの運転再開」と、既存の原発へのプルサーマル計画をかたくなに進めています。私たちは、原発災害を防ぎ、リスクを次世代に残さないために、原子力政策の根本的転換と、プルトニウム利用の絶対中止を求めるとりくみの強化が必要です。
私たちは、平和や核軍縮、脱原発、ヒバクシャの権利確立をめざす市民団体やNGOと連携し、「新たなヒバクシャをつくらない」という原点に立ち返り、「ノーモア・ヒロシマ ノーモア・ナガサキ ノーモア・チェルノブイリ ノーモア・ヒバクシャ」を被爆61周年、チェルノブイリ原発事故20周年の年に、あらためて世界に高らかに伝えます。
2006年8月6日
被爆61周年原水爆禁止世界大会・広島大会
1945年8月6日と9日。アメリカは世界で初めて原子爆弾を投下して、ヒロシマとナガサキに生きているすべての人々、生きとし生けるものに史上例のない惨害をもたらしました。人類にとってけっして忘れてはならない日として、私たちはこの地に集い、61年前の原爆投下がもたらした被害の実態を再度心に刻み、語り継ぎ、行動する決意を新たにしました。
ヒバクシャをめぐる課題は、61年も経つにもかかわらず、原爆症認定、在外被爆者、被爆二世・三世など残されたままです。原爆症認定訴訟では、8月4日広島地裁は5月の大阪地裁に続き原告全面勝訴判決としたものの、提訴後3年余の間に41名中10名もの原告が亡くなられました。国に一刻も早く基準を改正させ救済を急がさせなければなりません。さらに日本の戦争責任と戦後補償の問題として、国家補償と被爆二世・三世への適用を明記した被爆者援護法への改正を早急にすすめなければなりません。また、今年はチェルノブイリ原発事故から20年目です。原子力発電をはじめ商業利用でも、アメリカ軍が使用した劣化ウラン弾などでも、世界各地でヒバクシャが拡大しています。私たちは、あらゆる核利用の場でヒバクシャがつくられることに反対し、その救済にとりくみます。
世界は戦争の拡大から新たな核戦争となる危険も増大しています。現在、アフガニスタン、イラクにつづいてイスラエルのレバノンやパレスチナ侵攻などで戦火は広がっています。アメリカやイスラエルの軍事侵略に反対し、即時撤退を求めるとりくみをすすめなければなりません。
いまも殺りくが重ねられる根底には、軍事力による平和、力による制圧や先制攻撃などの考え方があるからです。とりわけ、アメリカのブッシュ政権は、核兵器保有を正当化するばかりか、先制核攻撃すら打ち出し、通常兵器との垣根を低くし、「使える」核兵器の開発をすすめ、NPT体制を空洞化してきました。このなかで、米ロ英仏中の核保有国の他、核拡散がイスラエル、インド、パキスタンの核保有から、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の核保有表明やイランの核兵器開発疑惑などへとすすんでいます。東北アジアの平和に関わる北朝鮮の核開発については、2005年9月の6ヵ国協議共同声明にもとづき平和的解決を果たし、さらに東北アジア非核地帯化を実現する必要があります。そのためにも全国で平和・核軍縮と憲法理念の実現をめざす具体的な運動が重要です。
発足当初から米国に追従していた小泉政権は、有事関連法を成立させ、イラクの多国籍軍に自衛隊を参加させ、日本を戦争のできる国へと変貌させてきました。また、在日米軍再編と称して沖縄・神奈川や岩国など全国各地の基地機能強化や横須賀の原子力空母母港化、ミサイル防衛(MD)の推進などを住民の反対を押し切る形で米国政府の軍事戦略に積極的にかかわろうとしています。日本に配備されるミサイル防衛は想定されるミサイル攻撃に対して無力であることは明らかです。また、憲法・教育基本法の改悪は戦争のできる国づくりへの大きな一里塚であり、これを許さない広範なとりくみをする必要があります。
世界的に進んできた脱原発の動きは、一部に逆流が生じています。とくに日本では、政府・電気事業者が、老朽化原発、原発震災などの重大問題を無視して、六ヶ所村再処理工場でのアクティブ試験、もんじゅの運転再開と、既存の原発でのプルサーマル計画をかたくなに進めています。私たちは、原発災害を防ぎ、リスクを次世代に残さないために、原子力政策の根本的転換と、プルトニウム利用の絶対中止を求めるとりくみの強化が必要です。
私たちは、核被害を根絶するため、世界のヒバクシャと連帯し「核絶対否定」の思想を広めるとともに、暴力と殺りくがくりかえされる社会を脱して「対話と共存」を基本とした平和な世界を実現し、核も戦争もない21世紀を子どもたちに贈るとりくみを全力で進めます。また、平和や核軍縮、脱原発、ヒバクシャの権利確立をめざし、「新たなヒバクシャをつくらない」という原点に立ち返り、被爆61周年、チェルノブイリ原発事故20周年の年に、大会に参加した私たちすべての総意として、あらためて世界に宣言します。
ノーモア・ヒロシマ・ナガサキ ノーモア・チェルノブイリ ノーモア・ヒバクシャ ノーモア・ウォー!
2006年8月9日
被爆61周年原水爆禁止世界大会