原水禁大会
2007.8.15

被爆62周年原水禁世界大会広島開会総会
平和ヒロシマ集会で広島県立総合体育館に6,500人集る

被爆62周年原水禁大会のまとめ
核廃絶、被爆者援護、脱原発にさらに前進を

3年目を迎えた3団体の取り組み

核廃絶をめざす連合・核禁会議・原水禁の3団体の取り組みも3年目を迎え、今年も広島・長崎の開会大会と、シンポジウム「被爆者援護の強化にむけて、現状と課題」(広島)、「東北アジアの非核化の実現に向けて」(長崎)を共同開催しました。開会大会に広島で6,500人、長崎に3,700人が参加しました。核軍縮と被爆者援護の課題は確実に横に拡大しています。

しかし、中越沖地震により現実化した原発震災、1万件を超える原発事故と不正隠し等の事態の中で、脱原発への取り組みが必須であるにもかかわらず、3団体では取り組めませんでした。また、憲法や日米安保条約、米軍再編成等の課題でも意思統一ができていないことなど、来年に向けて多くの課題もあります。

意欲あふれた原水禁大会

今年の原水禁大会は「核も戦争もない平和な21世紀に!」をメインスローガンに、8月3日の国際会議を皮切りに、4日からの広島大会では折鶴平和行進、分科会、ひろば、まとめ集会が行われ、7日からの長崎大会は、分科会、ひろば、大会宣言を採択したまとめ集会、平和行進と続きました。大会に先立ち各地で平和行進などが取り組まれましたが、さらに全体化が求められています。

国際会議は大阪で、「東北アジアの非核化をめざして」をテーマに150人が参加しました。また広島、長崎大会ともに、久間前防衛大臣の「原爆容認」発言もあり、「被爆の実相と被爆者の怒りを自らのものにしよう」「米軍再編や憲法改悪などの当面する課題を学習しよう」とする意欲のあふれた大会でした。またメッセージfromヒロシマ、ピースブリッジinながさきの取り組みなど、子どもたちや高校生、若者を中心とした取り組みも充実・定着してきました。

「核廃絶の壁」の木のブロックキャンペーンの取り組みも3年目となり、ブロックも12,000個集まり、マスコミの関心も高く、確実に定着してきましたが、さらに全国的に取り組むことが必要になっています。

情勢をふまえた運動を展開しよう

こうした大会の成果を踏まえ、運動の具体的取り組み方向について、数点まとめます。

  1. 情勢の基本的認識を変えよう。
    7月29日の参議院選挙で与野党が逆転し、私たちのめざす政策実現の可能性は大きく前進しました。新しい事態が始まった事を認識しましょう。
  2. 被爆者援護の課題
    被爆者団体、連合・核禁会議、野党と連携して、「被爆者認定基準の抜本改正」をめざしましょう。また在外被爆者、被爆二世や三世の課題、被爆者援護法の改正が課題です。
  3. 平和と核軍縮の課題
    2010年のNPT(核不拡散条約)再検討会議へ向け、平和市長会議が提唱する2020年に核兵器廃絶を実現する「2020ビジョン」の実現めざして、世界の平和勢力とともに一大運動をつくりあげましょう。また進行している「米印原子力協力」に強く反対しましょう。東北アジアの平和と非核地帯化については、2005年9月の6ヵ国共同声明から、2007年2月の初期段階措置の合意がなされ、次の段階へと前進しています。日朝ピョンヤン宣言(2002年)にそって、国交正常化めざして取り組みを強化しましょう。また非核3原則を遵守させ、さらに法制化への運動にも取り組みましょう。
  4. 原子力政策の転換と脱原発の社会づくり
    原発をめぐる事態は深刻です。まずすべての原発を止めて総点検させるとともに、柏崎刈羽原発は廃炉を求めましょう。また、青森の六ヶ所再処理工場稼動阻止、もんじゅ再稼動反対など、山場を迎えるプルトニウム利用路線など原発推進路線と対決するため、各地の闘いをつなぐ必要があります。
  5. 安倍政権の戦争をする国づくりへの対抗
    この秋の焦点は、テロ特措法延長、集団的自衛権の行使の解釈改憲、米軍再編成の具体化、沖縄戦に関わる教科書歪曲問題などです。新たな情勢を踏まえて、全力で取り組みましょう。また11月に東京で開催予定の「憲法理念を実現する大会」を成功させましょう。

 原水禁世界大会を通して、私たちは多くのことを胸に刻みました。広島の原爆慰霊碑に刻まれた言葉を、もう一度思い出しましょう。

「安らかに眠って下さい
   過ちは 繰返しませぬから」





大会宣言

 原子爆弾が投下されてから62年。ヒロシマで14万人、ナガサキで7万人もの尊い命が原子雲の下で即死、あるいは数日後に失われました。放射能による被害は、いまなお多くの人々を苦しめ、二世や三世も健康に不安をかかえて生活しています。生きとし生けるものに未曾有の惨害をもたらした8月6日と8月9日は、人類にとってけっして忘れてはならない日です。

 しかし、この1年、「原爆投下は、しょうがない」という長崎県出身の久間防衛大臣による発言をはじめ、安倍内閣のもとで、閣僚や自民党首脳による核兵器保有を容認する発言が相次ぎました。その一方で、核兵器廃絶を訴えてきた伊藤長崎市長が、凶弾に倒れて亡くなられる事件が起きました。私たちは、被爆地に集い、被爆の実相をあらためて心に刻むなかで、核兵器容認の発言や暴力を糾弾するとともに、核兵器廃絶の実現に向けて誓いあいました。

 62年後の今も、原爆症・放射性被害で苦しむヒバクシャの課題は残されたままです。原爆症認定訴訟では、2006年5月の大阪地方裁判所の判決以降、広島、名古屋、仙台、東京、熊本の各地裁は、連続して厚生労働省の認定制度の過ちを厳しく批判・否定し、原爆症不認定処分を取り消す判決を下しました。国に被爆者の実態を反映した認定制度に一刻も早く改めさせなければなりません。また、在外被爆者や被爆二世・三世などに差別なき援護施策を行うとともに、日本の戦争責任と戦後補償の問題として、国家補償を明記した被爆者援護法への改正を早急にすすめなければなりません。さらに、私たちは、世界各地のあらゆる核利用の場でヒバクシャがつくられ、増大していることを糾明し、その救済にとりくみます。

 7月16日の新潟県・中越沖地震は、柏崎刈羽原子力発電所の基礎岩盤に大きなダメージを与えました。柏崎刈羽原発で発生している事態は、地震の危険性を過小に評価した安全審査に根本的な欠陥があることを明らかにしています。国の主張する安全神話は根底から崩壊しました。この1年間、電力会社の事故隠しも相次いで明らかにされました。私たちは、いまこそすべての原発と原子力施設の安全性を再点検するために、最新の知見によって活断層と原発の耐震性を一日も早く徹底的に検証することを求めます。あわせて、六ヶ所再処理工場やプルサーマル計画などのプルトニウム利用政策の転換を求めるとともに、高レベル放射性廃棄物の埋め捨て処分に反対し、脱原発社会の実現をめざします。

 世界にはなお2万7000発もの核兵器が存在しています。核兵器廃絶に逆行するアメリカのブッシュ政権がすすめる核兵器の先制使用や通常兵器との一体的運用政策は、世界に緊張をもたらしています。このなかで、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)やイランの核問題が起きてきました。北朝鮮の核問題をめぐっては六カ国協議が進展し、核兵器廃絶に向けて動きはじめており、非核・平和の東北アジア実現のために、日本政府は北朝鮮敵視政策を改め、日朝国交正常化を実現させなければなりません。さらに、現在の重大な課題は、NPT(核拡散防止条約)を崩壊させかねない「米印原子力協定」です。この協定は、日本などが賛成しない限り発効しない仕組みになっており、今月下旬に訪印予定の安倍首相がこの協定に賛成しないことを強く求めます。私たちはNPTの形骸化を許さず、2010年再検討会議に向けて核軍縮・核廃絶の動きを強めるよう、世界に求め、働きかけていきましょう。

 小泉前政権は、イラクの多国籍軍への自衛隊参加などを通じて日本を戦争のできる国へと変貌させてきました。これを継承した安倍政権は、憲法第9条や基本的人権などの憲法改『悪』に向けて、教育基本法の改定や、改憲手続き法、米軍再編関連法などの制定を行い、自衛隊が国内外で戦争をするための法整備を強行しています。在日米軍再編による沖縄・神奈川や岩国など全国各地の基地機能強化や、横須賀の原子力空母母港化、ミサイル防衛(MD)の推進などは、地域住民や自治体の反対を強引に押し切ってアメリカの軍事戦略に積極的にかかわろうというものです。閣僚・自民党首脳の相次ぐ問題発言や歴史教科書での沖縄戦記述の歪曲もこのなかで起きているものであり、断じて許してはなりません。参議院選挙における与野党逆転という結果は、それを許さない国民の意思を示しました。私たちのめざす政策が実現する可能性は大きく拡大しています。いまこそ非核・平和の政治の実現に向けて連帯の輪を広げましょう。

 私たちは、核被害を根絶するため、世界のヒバクシャと連帯し「核と人類は共存できない」という「核絶対否定」の思想を広めるとともに、「対話と共存」を基本とした平和な世界を実現し、「核も戦争もない21世紀」を子どもたちに贈るとりくみを強めます。また、平和や核軍縮、脱原発、ヒバクシャの権利確立をめざし、「新たなヒバクシャをつくらない」という原点に立ち返り、被爆62周年の大会に参加した私たちすべての総意として、あらためて内外に宣言します。

 2007年8月9日

被爆62周年原水爆禁止世界大会