原水禁大会
2008.8

核も戦争もない平和な21世紀をつくろう!

被爆63周年原水禁世界大会
デザイン: U.G.サトーさん

被爆63周年原水禁世界大会・報告(速報版)


広島・長崎を一瞬の惨状と化した原爆投下から63年目の今年、原水爆禁止世界大会は、8月2日から9日にかけて、横須賀・広島・長崎の3都市で開催されました。今年も核兵器廃絶、脱原発、ヒバクシャの援護・連帯の3つの柱を中心に、学習・報告・討論・フィールドワークなどが展開されました。

国際会議・横須賀

横須賀国際会議

横須賀国際会議

国際会議でのG.マーティンさん

flickrサイト国際会議でのG.マーティンさん

原子力空母ジョージ・ワシントンの母港化が予定されている横須賀で、今年の国際会議は、「東北アジアの非核化をめざしてー転機にあるアジアの核と平和」と題して行われました。横須賀母港化阻止の世論喚起も含め、あえて国際会議を横須賀で開催しました。参加者は約100人。

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flickrサイト国際会議で語るソーさん

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flickrサイト司会の小笠原さん

パネラーとしてピース・デポ顧問の梅林宏道さん、非核市民宣言運動・ヨコスカの新倉裕史さん、米国・ピースアクションのジョージ・マーティンさん、韓国・参与連帯のソー・ボヒョクさん、中国・平和軍縮協会の文徳盛さんらが参加し、朝鮮民主主義人民共和国(以下北朝鮮)の核開発をめぐる6カ国協議が進展する中、一方で米軍基地の再編成が、特に日米軍事一体化とあわせて進展する中で、東北アジアにおける安全保障のあり方と非核化をどのように作り出すのかが議論されました。

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flickrサイト国際会議での新倉さん

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flickrサイト司会の中村さん

国際会議冒頭で、原子力潜水艦ヒューストンが、佐世保寄港時に放射能漏れを起こしていたことが報道で明らかになりました。これまで原子力艦船での事故はなく、安全であると度々米軍当局は繰り返し。日本政府や横須賀市もそれを追認してきましたが、今年6月のジョージ・ワシントンの火災に引き続く事故報告であり、安全神話そのものが虚構であることがあらためて明らかになりました。国際会議でも、原子力艦船の安全性に関する発言も相次ぎ、原子力空母の横須賀母港化により、原子炉事故の危険性の拡大とともに基地機能の強化と中東からアジアそして東北アジアの平和と安定を脅かす存在となることが指摘されました。さらに国際会議では、原子力潜水艦の事故と原子力空母の横須賀母港化に対する緊急決議をあげました。

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flickrサイト広島平和行進

広島大会・長崎大会

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flickrサイト広島開会総会

8月4日から9日まで広島大会と長崎大会が開催されました。広島大会の開会式にあたる原水禁・連合・核禁会議の3団体による「核兵器廃絶2008平和ヒロシマ大会」では、6400人が参加。 8月7日の「核兵器廃絶2008平和ナガサキ大会」では、「米国とインドの原子力協定など、核をめぐる世界情勢は憂慮すべき事態が続いている。次の核拡散防止条約(NPT)再検討会議へのとりくみ強化を急がなければならない」と、川野浩一原水禁副議長のあいさつで開会し、長崎県立総合体育館に4,200人が参加。

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flickrサイト広島分科会で語る藤井さん

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flickrサイトチェルノブイリ報告アレックスさん

今年の大会では、大会分科会やひろばなどが昨年よりも増えました。テーマも直面する課題に重点を置き、運動と連動したものとして意識して設定されたものでした。核軍縮・平和課題では、米印原子力協力協定、米軍再編成、原子力空母の横須賀母港化、東北アジア非核地帯化などの課題を取り上げ、議論しました。ヒバクシャ課題では、広島・長崎の原爆被害によってもたらさせた被爆の実相を伝えるとともに原爆症認定訴訟、在外被爆者、被爆二世・三世、被爆体験などの残された課題の解決にむけた報告や議論のほかに、国際ゲストからチェルノブイリ原発事故の現状報告、フランスの核実験によるアルジェリアの現状など、世界に広がる核被害の実相が報告されました。

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flickrサイト広島まとめ集会でハンス・フェルさん

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flickrサイト長崎開会のマンスーリさん

脱原発の課題では、特にプルトニウム利用政策転換に向けて再処理・もんじゅ・プルサーマルの問題点、昨年7月の中越沖地震に象徴される原発と地震の問題、地球温暖化防止の切り札としての原発推進の虚構を明らかにしました。さらに「メッセージfromeヒロシマ2008」や「ピース・ブリッジ2008」などの子供や若者の取り組みも、韓国・フィリピンの仲間とともに行われました。

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flickrサイト長崎開会G.マーティンさん

インドを核拡散の例外と認めかねないNSGの会議が8月21日から始まろうとしていますが、日本政府は態度を明確にしていません。9月25日とも言われている原子力空母の横須賀母港化や10月以降に再稼動が目論まれているもんじゅ、11月以降の六ヶ所再処理工場の本格稼動など、大会で提起された課題が目前に控えています。それに向けた全国的取り組みが、大会以降の大きな課題です。




ヒロシマ・アピール

 1945年8月6日午前8時15分。人類史上初の大量破壊兵器が広島の上空600mで炸裂しました。原子爆弾「リトル・ボーイ」は市民にキバをむきました。青白い閃光がピカッと光り、ドーンという衝撃とともに、原子雲の下を一瞬にして地獄図へと変貌させました。爆心地直下にいた人は、熱線により、ほとんどの人が即死あるいは、数日後に尊い命を失い、広島の死没者は14万人に及びました。また、黒い雨のなか、助けを求めて広島の街をさまよい歩いた人々、肉親、友人を捜し、広島の街に入った人も放射能の後遺症により、いまも多くの人が苦しみつづけています。

 2008年4月、厚生労働省は原爆認定基準を緩和しました。また、6月には被爆者援護法が改正され、手帳取得の「来日要件」を撤廃し、海外からでも交付が受けられるようになりました。しかし、新基準でも被爆距離や対象疾病の限定など制限が加えられ、国交がない在朝被爆者への援護策は放置され、海外からの手帳取得の具体的手続きも課題を残しています。私たちは、国に対して、被爆者の実態を反映した認定制度に改めるよう求めます。また、被爆二世・三世などへの援護施策の実施、そして日本の戦争責任と戦後補償を踏まえ、国家補償を明記した被爆者援護法への抜本的改正を求めます。さらに、劣化ウラン弾、ウランの商業利用などで増大する世界のヒバクシャとの連帯を強めます。

 現在、世界にはなお2万6000発とも言われる核兵器が存在し、核と戦争の脅威から解き放たれていません。とくに核大国アメリカは、核の先制攻撃戦略と単独行動主義の姿勢を堅持しています。さらにNPT未加盟国のインドやパキスタン、イスラエルは核保有しつづけ、朝鮮民主主義人民共和国による核実験が行われました。イランでも原子力の商業利用からの転用で核兵器開発が疑われています。そのなかでアメリカは、インドの核を公然と認め、NPT体制を根本から骨抜きにする米印原子力協定の発効をねらっています。東北アジア・世界の非核・平和の実現のために、日本政府のNPT体制強化の役割は増しています。私たちはNPTの形骸化を許さず、2010年再検討会議に向けて核軍縮・核廃絶の動きを強めるよう、世界に求め、働きかけていきましょう。

 洞爺湖サミットのなかでは『原発が地球温暖化防止の切り札』というキャンペーンが叫ばれています。しかし、原子力発電には、電力の需要に合わせた供給調整のための火力発電所などを増やすことが必要になり、地球温暖化防止の切り札とはなりません。そもそも放射能により地球環境を汚染しつづける原発が地球にやさしいとはとてもいえません。脱原発による「小エネルギー社会」の実現にむけて政策転換が求められます。また、昨年7月に発生した中越沖地震は、震災と原発災害が同時に襲うことの可能性を私たちに示しました。現在も柏崎刈羽の7基の原発すべてが停止し、運転再開の見通しが立っていません。今年中には運転再開にこぎ着けようとしていますが、稼動を許してはなりません。いまこそすべての原子力発電所と原子力施設の安全性の再点検と、危険な地域の原発の即時停止を求めることが必要です。また、私たちは、もんじゅ再稼働、六ヶ所再処理工場やプルサーマル計画などのプルトニウム利用政策の転換と、高レベル放射性廃棄物貯蔵施設建設に反対し、脱原発社会の実現をめざします。

 米原子力潜水艦「ヒューストン」の放射能もれ事故も明らかになりました。私たちはすべての原子力艦船の日本寄港に強く反対します。

 福田自公政権は、ブッシュ政権に追従し、「イラク・アフガン侵略戦争」への加担、米軍再編の強行実施とさしせまった原子力空母の横須賀母港化、ミサイル防衛(MD)の配備強行、自衛隊の海外派兵恒久化、憲法で禁じている集団的自衛権の行使の動きなど日米軍事一体化を押し進め、戦争をする国づくり路線をひた走っています。いまこそ非核・平和の政治の実現に向けて連帯の輪を広げていくときです。

 私たちは、国の内外から被爆63年後のヒロシマの地に集い、核による被害の実相とその証言に学びました。そして、すべての核被害者の権利を確立するとともに、新たな核被害者を生み出さないために、子どもたちに『核も戦争もない 21世紀』を実現することを誓いあいました。

 私たちは忘れてはいけない『人類と核は、共存できない』ということを。

 No More Hiroshimas. No More Nagasakis. No More Hibakusya. No More War!

 2008年8月6日 被爆63周年原水爆禁止世界大会・広島大会




大 会 宣 言

 助けてください……。この短い悲痛の声があふれた63年前のヒロシマとナガサキ。生きとし生けるものに史上例のない惨害をもたらし、21万人もの尊い命が数日のうちに失われました。放射能による後遺症は、いまなお多くの人々を苦しめ、二世や三世も健康不安をかかえて生活しています。8月6日と8月9日は、人類にとってけっして忘れてはならない日です。

 ヒバクシャをめぐる課題は、63年後の今も、原爆症認定、在外被爆者、被爆二世・三世、被爆体験者など残されたままです。原爆症認定基準について、4月に厚生労働省は一部緩和しましたが、新基準でもなお被爆距離や対象疾病の限定など制限が加えられています。また、6月には議員立法で被爆者援護法が改正され、手帳取得の「来日要件」がなくなり、海外で交付できるようになったものの、審査などの具体的手続きに問題が残されている上、国交のない在朝被爆者はまったく放置されています。私たちは、国に対して、被爆者の実態を反映した認定制度へと抜本的に改めるよう求めます。また、被爆二世・三世や被爆体験者への援護施策の拡大を行うとともに、日本の戦争責任と戦後補償の問題として、国家補償を明記した被爆者援護法への改正を求めます。さらに、劣化ウラン弾、原子力の商業利用などあらゆる核利用の場でつくられ、増大する世界のヒバクシャとの連帯を強めます。

 人類は、なお2万6000発もの核兵器が存在するなかで、核と戦争の脅威から解き放たれていません。最大の核大国アメリカは、核の先制攻撃戦略と単独行動主義の姿勢を堅持したままです。NPT(核拡散防止条約)未加盟国のインドやパキスタン、イスラエルは核保有しつづけ、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の核実験やイランの核兵器開発疑惑も起きています。アメリカは、インドの核を公然と認める米印原子力協定の発効をねらっており、これを許してはなりません。私たちは、NPTの形骸化を許さず、2010年再検討会議に向けて核軍縮・核廃絶の動きを強めるよう、日本政府をはじめ世界に求め、働きかけていきます。とくに平和市長会議が提唱する「2020ビジョン(核兵器廃絶のための緊急行動)」に賛同し、積極的に支援していきます。北朝鮮の核問題をめぐっては、6カ国協議が進展し、核兵器廃棄に向けて動いています。朝鮮半島の非核化と東北アジアにおける新たな共同の平和の枠組みづくりを6カ国が約束したことは世界史的にも重要な転換点です。その実現のためにも、日本政府の北朝鮮敵視政策を改めさせ、日朝国交正常化させなければなりません。

 「原発は地球温暖化防止の切り札」というキャンペーンが、洞爺湖サミットなどで強められましたが、原発依存は、むしろ温暖化を促進する上、そもそも放射能により環境を汚染しつづけるものが地球にやさしいとはとてもいえません。昨年7月の中越沖地震をはじめとした一連の地震は、震災と原発災害が同時に襲う「原発震災」の危険性を示しています。いまこそすべての原子力発電所・施設の安全性について再点検するとともに、柏崎刈羽原発の全面閉鎖をはじめ危険な地域の原発の即時停止を求めることが必要です。また、私たちは、再稼働や操業開始に向けた動きのある「もんじゅ」や六ヶ所再処理工場、プルサーマル計画などのプルトニウム利用政策の転換を求めるとともに、高レベル放射性廃棄物の貯蔵施設建設に反対し、脱原発による「小エネルギー社会」の実現をめざします。

 福田自公政権は、アメリカのブッシュ政権に追従し、「イラク・アフガン侵略戦争」への加担、米軍再編やミサイル防衛(MD)配備の強行、自衛隊の海外派兵恒久化や、憲法で禁じている集団的自衛権の行使の動きなど日米軍事一体化を押し進め、戦争をする国づくり路線をひた走っています。なかでも、9月にさしせまる米軍の原子力空母「ジョージ・ワシントン」の横須賀母港化を許してはなりません。横須賀のみならず、佐世保には原子力空母が頻繁に寄港し、全国各地の民間港へはイージス艦が入港しています。このなかで、米原子力潜水艦「ヒューストン」の放射能もれ事故も明らかになりました。私たちはすべての原子力艦船の日本寄港に強く反対するとともに、非核・平和の政治の実現を求めて全国で連帯の輪を広げます。

 私たちは、核被害を根絶するため、世界のヒバクシャと連帯し「核絶対否定」の思想を広めるとともに、暴力と殺りくがくりかえされる社会を脱して「対話と共存」を基本とした「核も戦争もない21世紀」を実現し、子どもたちに贈るとりくみを全力で進めます。「新たなヒバクシャをつくらない」「核と人類は共存できない」という原点に立ち返り、被爆63周年の大会に参加した私たちの総意として、あらためて内外に宣言します。

ノーモア・ヒロシマ、ノーモア・ナガサキ、ノーモア・ヒバクシャ、ノーモア・チェルノブイリ、ノーモア・ウォー!

2008年8月9日
被爆63周年原水爆禁止世界大会