資料
( 1928 〜)

国際紛争平和的処理に関する議定書[抄]

GENERAL ACT FOR THE PACIFIC SETTLEMENT OF INTERNATIONAL DISPUTE


採  択 1928年9月26日(国際連盟総会)
効力発生 1929年8月16日
改  正 1950年9月20日(49年4月28日国連総会)
日 本 国


〜第一章 調停〜

第一条[調停に付託する紛争]この一般議定書に加入する二又は数締約国のすべ ての紛争であって、外交の手続により処理し得なかったものは、第三十九条によりなされることがある留保を除き、この章に規定する条件で調停手続に付される。
第二条[調停委員会]前条に掲げた紛争は、紛争当事国によって構成された常設又は特別調停委員会に提出される。
第三条[調停委員会の設置]右の目的のため一締約国が他の締約国の一になした請求に基づき、常設調停委員会は、六箇月以内に構成される。
第四条[調停委員会の構成]当時国間に別段の協定がない限り、調停委員会は、次のように構成される。
一 委員会は、五名の委員から成る。当事国は、各その一名を任命し、右は、各当該当 事国国民の中から選任することができる。他の三名の委員は、異なる国籍の者であることを要し、当事国の領域に居所をもたず、また、その国に勤務していないことを要する。当事国は、右の三名の委員の中から、委員会議長を選任する。
二 委員は、三年の任期で任命され、且つ、再任されてよい。合意により任命された委員は、任期中に当事国の合意により交替されてよい。但し、各当事国は、いつでもその任命した委員の交替を行なうことができる。交替にかかわらず、委員は、進行中の事務の終了まで在任するものとする。
三 死亡、辞任又はその他の故障に因り生ずることのある欠員の補充は、任命に対し定められた方法により、最短期間内に行われる。
第五条[特別委員会の設置]一の紛争が発生した場合に、紛争当事国により任命された常設調停委員会がなかったときは、当事国の一方が他の一方に請求をした時から三箇月の期間内に右の紛争の審査のため、特別委員会が構成される。当事国が別段の決定をしない限り、任命は、前条の規定によって行われる。
第六条[合意ないときの委員の任命]1合意により選任すべき委員の任命が、第三条及び第五条所定の期間内に行われなかったときは、必要なる任命措置は、当事国の合意により選定された第三国に、又は、当事国の請求があれば、国際連合総会議長、若しくは、総会が閉会中であるときは、最近の総会の議長に委託される。
2右の手続のいずれに関しても合意が成立しなかったときは、各当事国は、異なった一国を選定し、任命は、このように選定された国の合意により行われる。
3三箇月の期間内に右の二国が合意を得られなかったときは、右の二国の各は、選任すべき委員の数と同数の候補者を推薦する。このように推薦された候補者のうちから、抽せんにより、任命を決定する。
第七条[事件の付託]1調停委員会は、合意によって行動する両当事国による又は右の合意がないときは当事国のいずれかの一方による議長に対する請願書の方法により、事件を付託される。
2右の請願書には、紛争の目的を略述し、調停に達するのに適当なすべての措置を執ることを委員会に委嘱する旨を記載する。
3請願書が当事国の一方のみから提出された場合には、請願書は、その当事国により、遅滞なく他の当事国に通告される。
第八条[委員の交替](省略)
第九条[委員会の会合](省略)
第十条[事務の公開](省略)
第十一条[審査の手続]1当時国間に別段の協定がない限り、調停委員会は、自らその手続を定め、その手続は、すべての場合において対審によることを要する。事実審査に関しては、委員会が全会一致をもって別段の決定をしない限り、国際紛争平和的処理に関する千九百七年十月十八日のヘーグ条約の第三章の規定に従う。
2当事国は、当事国と調停委員会との間の仲介者たるべき任務を有する代理人により、同委員会に代表される。なお、当事国は、特に任命した顧問及び専門家から援助を受けることができ、且つ、証言げ当事国に有益であると認められるすべての者からの聴取を請求することができる。
3委員会もまた、両当事国の代理人、顧問及び専門家、並びに本国政府の同意を得て出頭させることが有益であると委員会が認めるすべての者に対し、口頭の説明を求める権能を有する。
第十二条[決議方法]当時国間に別段の合意がない限り、調停委員会の決議は、多数決による。委員会は、全委員の出席がなければ、紛争の実質について、決定をすることができない。
第十三条[委員会に対する援助](省略)
第十四条[委員会の経費](省略)
第十五条[調停委員会の任務]1調停委員会は、紛争問題を明らかにすること、そのために事実審査又はその他の方法によってすべての有益な情報を集めること、及び当事国を調停するのに努めることを任務とする。委員会は、事件の審査後、適当と認める協定条件を当事国に提示し、且つ、当事国が意見を表示すべき期限を定めることができる。
2委員会は事務終了に際し、場合により、当事国が協定したこと、及び、必要があるときは、その協定の条件又は当事国が調停され得なかったことを確認する調書を作成する。調書は、委員会の決定が全会一致で行われたかを記載しない。
3委員会の事務は、当事国が別段の決定をしない限り、委員会が紛争を委託された日から六箇月の期間内に終了する。
第十六条[調書]委員会の調書は、遅滞なく当事国に通知される。公表すべきかどうかは、当事国の決定による。

〜第二章 司法的解決〜

第十七条[国際司法裁判所に付託される紛争]すべての紛争でこれに関し当事国が互いに権利を奪うものは、第三十九条の規定に従ってなされることのある留保を除き裁判のために国際司法裁判所に付託される。但し、当事国が後に規定する条件で仲裁裁判所に出訴することに同意した場合には、この限りではない。右の紛争は、特に国際司法裁判所規程第三十六条記載の紛争を含むものとする。
第十八条[仲裁裁判所への付託の手続]当事国は、前条に掲げた紛争を仲裁裁判所に付託することに同意したときは、各仲裁契約を作成し、その契約において紛争の目的、仲裁裁判人の選定及び手続を決定する。仲裁契約中に充分な指示又は明細を欠くときは、必要な範囲において、国際紛争平和的処理に関する千九百七年十月十八日のヘーグ条約の規定を適用する。
仲裁裁判人により適用されるべき実質的規定について仲裁契約中に規定がないときは、裁判所は、国際司法裁判所規程第三十八条に列記した実質的規定を適用する。
第十九条「国際司法裁判所への移管]前条に掲げた仲裁契約に関し当事国に合意がない場合又は仲裁裁判人の選定がない場合には、三箇月の予告をもって、当事国の一方又は他方は、請求書の方法により、当該紛争を直接に国際司法裁判所に提出する権能を有する。
第二○条[調停との関係]1第一条の規定にかかわらず、本意所定の約定に加入している当時国間に生じた第十七条に掲げる紛争は、当事国の合意によるのでなければ調停手続に付せられない。
2義務的調停手続は、第三十九条所定の留保の適用により単なる司法的解決から除外される紛争について適用されるものとする。
3調停に訴えたがそれが成功しなかった場合には、いずれの当事国も、調停委員会の事務終了後一箇月の期間の満了前には、当該紛争を国際司法裁判所に提出し、又は第十八条に規定した仲裁裁判所の構成を要求することができない。

〜第三章 仲裁解決〜

第二一条[仲裁裁判所に付託される紛争]第十七条に記載された紛争以外の一切 の紛争で、第一章に規定した調停委員会の事務終了後一箇月内に当事国が協定に達しなかったものは、第三十九条によってなされることのある留保を除き、次の方法で構成される仲裁裁判所に提出される。但し、当時国間に別段の協定がある場合には、この限りではない。
第二二条[仲裁裁判所の構成]仲裁裁判所は、五名の裁判官から成る。当事国は、各その一名を任命し、右は、各当該当事国国民の中から選任することができる。他の二名の裁判人及び裁判長は、合意により、第三国国民の中から選任される。右の三名の者は、異なった国籍の者であることを要し、当事国の領域に居所をもたず又はその国に勤務していないことを要する。
第二三条[裁判人の任命手続]1当事国の一方が他の一方に対し仲裁裁判所の構成を請求した時からの三箇月の期間内に、右の裁判所の裁判人の任命が行われなかった場合には、必要な任命手続は、当時国間の合意により選ばれた第三国に委嘱される。
2右に関し合意が成立しなかったときは、各当事国は、異なった一国を選定し、任命は、右のように選定された国の合意により行われる。
3右のように選定された国が三箇月の期間内に協定に達することができなかったときは、必要な任命には、国際司法裁判所所長により行われる。裁判所所長に故障があるか、又は裁判所所長が当事国の一方の国民である場合には、右の任命は、裁判所次長により行われる。裁判所次長に故障があるか、又は裁判所次長が当事国の一方の国民である場合には、右の任命は、両当事国のいずれの国の国民でもない最年長の国際司法裁判所裁判官によって行われる。
第二四条[欠員補充]死亡、辞任又はその他の故障に因り生ずることのある欠員の補充は、任命に対して定められた方法により、最短期間内に行われる。
第二五条[仲裁契約の作成]当事国は、紛争の目的に及び手続を決定する仲裁契約を作成する。 第二六条[ヘーグ条約の規定の適用]前条記載の諸点に関し仲裁契約が充分の指示し又は明確を欠くときは、必要な範囲において、国際紛争平和処理に関する千九百七年十月十八日のヘーグ条約の規定を適用する。
第二七条[請求による付託]仲裁裁判所が構成された時から三箇月の期間内に仲 裁契約が締結されなかったときは、仲裁裁判所は、当事国の一方又は他方の請求書により付託を受ける。
第二八条[仲裁裁判の準則]仲裁契約中に規定がないとき又は仲裁契約が存在しないときは、仲裁裁判所は、国際司法裁判所規程第三十八条に列挙された実質的規定を適用する。紛争に適用しうべき右のような規定が存在しない場合には、仲裁裁判所は、衡平及び善に基づいて裁判を行う。

〜第四章 一般規定〜

第二九条[現行諸協定との関係]1紛争当事国間の他の現行条約により他に特別 な解決手続が規定されている紛争は、右の条約の規定に従い処理される。
2この一般議定書は、当事国間に調停手続を設ける現行諸協定又は仲裁裁判所及び司法的解決に関し紛争の処理を確保する約定を定める現行諸協定に影響を及ぼさない。但し、現行諸協定が調停手続のみを規定して、手続が成功しなかった場合には、司法又は仲裁解決に関するこの一般議定書の規定は、当事国がこの議定書に加入している限りにおいて適用される。
第三〇条[調停委員会の審理中止]調停委員会は、当事国の一方により他の当事国が当事国間に実施している条約に基づいて国際司法裁判所又は仲裁裁判所に提出した紛争の付託を受けた場合には、司法裁判所又は仲裁裁判所が権限の衝突について決定するまで、その紛争の審議を中止する。調停手続中に司法裁判所又は仲裁裁判所が当事国の一方により事件を付託された場合も、また同じとする。
第三一条[国内管轄権に属する紛争]1対象が当事国の一方の国内法令によりその国の司法又は行政官憲の権限に属する紛争の場合には、その当事国は、権限のある官憲により相当の期間内に確定的決定が行われるまで、紛争をこの一般議定書に定める各種の手続に付することを拒絶することができる。
2右の場合には、この議定書の定める手続によろうとする当事国は、その意向を前記の決定後一年の期間内に、他の当事国に通告する。
第三二条[判決の効力]司法又は仲裁判決が、紛争当事国の一方の司法官憲又は他の一切の官憲の行った決定又は命じた措置が全部又は一部国際法に違反していることを宣言し、且つ、当事国の憲法が右の決定又は措置の結果を抹消することを許さないか又は単に不完全に抹消することを許すにとどまる場合には、当事国は、司法又は仲裁判決により、被害当事国に公正な満足を与えることに同意する。
第三三条[仮措置]1紛争が仲裁又は司法手続の対象となったすべての場合に、特に当事国の意見の一致を見なかった問題が既成行為又は既成に近い行為から生ずるものであるときは、規程第四十一条に従って処理する国際司法裁判所又は、執られるべき仮措置を出来る限り短期間内に指示する。紛争当事国は、この仮措置に従う義務を有するものとする。
2調停委員会は、紛争の付託を受けたときは、有益であると認める仮措置を当事国に勧告することができる。
3当事国は、司法もしくは仲裁判決の執行又は調停委員会により提議される協定に有害な影響を及ぼす虞のあるすべての措置を執らないこと、及び、一般に紛争を重大化し又は拡大する虞のある行為を、その性質のいかんを問わず執らないことを約束する。
第三四条[手続適用の態様]この一般議定書に加入した二以上の当事国間に発生した場合には、前掲の諸規定中に定めた手続の適用に関し、次の態様が遵守されなければならない。
(イ)調停手続に関しては、常に特別委員会を構成する。同委員会の構成は、当事国がすべて異なった利害関係を有するか又は当事国中の二国若しくは数国が共通の利害関係を有するかにより異なる。
 第一の場合には、当事国は、各一名の委員を任命し、且つ、共同して紛争当事国ではない第三国の国民たる委員を選任する。委員の数は、当事国により各別に任命された委員の数より常に一名多くする。
 第二の場合には、共通の利害関係を有する当事国は、委員を共同に任命するために協定し、且つ、第三者たる委員の選任のため、他の一又は数当事国と協力する。
 いずれの仮定においても、当事国は、別段の協定をしない限り、この議定書の第五条以下の諸条を、これらの諸条がこの条の規程と両立しうる限度において適用する。
(ロ)司法手続に関しては、国際司法裁判所規程を適用する。
(ハ)仲裁手続に関しては、裁判所の構成に関し当事国の合意がない場合には第十七条所定の紛争に関するものであるときは、各当事国は、請願書の方法により、直接に当該紛争を国際司法裁判所に提出することができる。第二十一条所定の紛争に関するものであるときは、第二十二条以下の諸条を適用する。但し、異なる利害関係を有する当事国の各は、一名の仲裁裁判人を任命し、且つ、当事国により各別に任命される仲裁裁判人の数は、他の仲裁裁判人の数よりも常に一名少なくする。
第三五条[第三国に利害関係のある紛争]1この一般議定書は、第三国がこの議定書の加入国であるかどうかを問わず、紛争に利害関係を有する場合にも、この議定書に加入した当事国間に適用される。
2調停手続において、当事国は、合意により、第三国を招請することができる。
第三六条[訴訟参加]1司法又は仲裁手続において、第三国が一の紛争に関し法律的利益が自国にとって問題であると思考する場合には、右の第三国は、訴訟参加のために、国際司法裁判所又は仲裁裁判所に対し、請求書を提出することができる。
2司法裁判所は、右に対し決定をする。
第三七条[第三国の参加した条約の解釈]1紛争当事国の以外の国が参加している条約の解釈に関する場合には、国際司法裁判所書記局又は仲裁裁判所は、遅滞なくこれを紛争当事国以外の国に通告する。
2右の紛争当事国以外の国は、いずれも訴訟に参加する権利を有し、その国が右の権利を行使するときは、判決中に存在する解釈は、その国に対し拘束力を有するものとする。
第三八条[加入]この一般議定書に対する加入は、
甲 本議定書の全部(第一章、第二章、第三章及び第四章)、
乙 又は単に調停及び司法的解決に関する規定(第一章及び第二章)、並びにその手続に関する一般規定(第四章)、
丙 又は単に調停に関する規定(第一章)、及びその手続にかんする一般規定(第四章)、
に適用することができる。
 締約国は、自国が同一義務を受諾した限度においてのみ、他の国家の加入を主張することができる。
第三九条[留保]1前条に掲げた権能と関係なく、一締約国は、この一般議定書への加入に際し、次項に制限的に列挙される留保を条件として、これを受諾することができる。この留保は、加入に際し指示されることを要する。
2右の留保は、この議定書により定められた手続から、左記を排除するものとして行われてよい。
(イ)留保する締約国の加入国又は右の締約国が紛争を有するに至った他の締約国の加入前の事実から生じた紛争
(ロ)国際法が国の排他的管轄権に属するものとする問題に関する紛争
(ハ)特定事件又は領土問題のように明白に定められた特別事項に関する紛争又は明確に定められた種類に属する紛争
3紛争当事国の一方が留保した場合に、他の当事国は、右の当事国に対して同一の留保を主張することができる。
4司法的解決又は仲裁解決に関するこの議定書の規定に加入した締約国に対しては、その国の行った留保は、明示の記載がない限り、調停手続には及ばないものとみなされる。
第四〇条[加入範囲の拡大、留保の撤回]加入が部分的であるか又は留保つきであるすべての締約国は、いつでも、単なる宣言の方法によって、自国の加入の範囲を拡大し、又は留保の全部若しくは一部を撤回することができる。
第四一条[解釈に関する紛争]この一般議定書の解釈又は適用に関する紛争は、紛争の性質及びなされた留保の範囲に関する紛争とともに、国際司法裁判所に付託される。
第四二条[正文]この一般議定書は、千九百四十九年四月二十八日の日付を有する。
第四三条[非加盟国の加入]この一般議定書は、国際連合の加盟国、国際司法裁判所規程の当事国の非加盟国又は国際連合総会が特に謄本を送付した非加盟国の加入のため解放されている。
2加入書及び第四十条に規定した追加宣言は、国際連合事務局長に送付され、同事務総長は、その受領をすべての加盟国及び前項に掲げた非加盟国に通告する。
3この議定書の第三十八条所定の三加入形式にそれぞれ相応し且つA、B、Cの文字で示される三個の表が、連合事務総長により作成される。この表には、締約国の加入及び追加宣言が記載される。この表には、たえず最近の事態を示し事務総長から連合総会に提出される年報中に公表される。
第四四条[効力発生]1この一般議定書は、国際連合事務総長が少なくとも二締約国の加入を受領した後九十日で実施される。
2前項によるこの議定書の実施後の加入は、国際連合事務総長がその加入を受領した後九十日で効力を生ずる。第四十条所定の締約国の追加宣言に関しても、同様とする。
第四五条[有効期間、廃棄]1この一般議定書は、実施の時から五年の期間存続する。
2この議定書は、右の期間の満了の少なくとも六箇月前に廃棄の通告をしなかった締約国び対し、引き続き五年ごとの期間有効に実施される。
3廃棄の通告は、国際連合事務総長にあてた書面による通告で行われ、同事務総長は、すべての加盟国及び第四十三条に掲げた非加盟国にこれを通告する。
4廃棄の通告は、部分的に限ることができ、また、新たな留保の通告であるとする。
5紛争に関係する締約国中の一国による廃棄の通告に関わらず、一般議定書の期限の終了の時にすでに着手されていたすべての手続は、その正則な終了まで継続される。
第四六条[記録の寄託](省略)
第四七条[登録](省略)

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