資料
1997

モオレア宣言と「核兵器廃絶2000」設立声明への補足


・モオレア宣言

 本会議は、広島・長崎の人々の被爆から50周年である1995年に発せられた「核兵器廃絶2000」設立声明に述べられている合意事項や展望を再び確認する。それは、核兵器をきっぱりと無条件に廃棄するために活動し、52年間にわたる核兵器の使用、実験、生産の遺産である環境破壊や人的被害を正すためのものである。
 しかし、フランス核実験の終結から一周年にテ・アオ・マオヒ(注1)で開かれたこの会議は、核兵器の生産と実験の結果、先住民や植民地化された人々が特別に被害を受けていることに強い光をあてた。植民地化された人々の怒りや涙は、核時代のそもそもの最初から、彼らの土地や大気や水が核開発のために取りあげられたにもかかわらず、彼らに何の相談もなく何の合意もなく、何の関与も与えられなかったという事実から発している。

 植民地化された先住民の大部分は、この核の荒廃の矢面に立たされてきた。先住民の土地におけるウラン採掘や核実験から、プルトニウムや核廃棄物の投棄、貯蔵、輸送、さらに核のインフラストラクチャーのために土地が盗みとられたことにいたるまで。
 「核兵器廃絶2000」設立宣言は、「核兵器廃絶の立案や監視に、市民やNGO(非政府組織)の参加がきわめて重要である」と述べている。私たちは、これを精神においても行動においても再び強調する。とともに、先住民や植民地化された人たちが、この過程にとって、重要であることを指摘する。彼らが、核兵器サイクルに関する決定、とりわけあらゆる分野における核兵器の廃絶に参加することができて初めて、これが達成されるのである。自己決定、主権、そして独立という譲ることのできない権利が地球から核兵器を永久になくするための共通の闘いに全世界の人たちが参加できるために不可欠である。
 したがって本会議は、このモオレア宣言が「核兵器廃絶2000」設立声明への補足となることに合意する。

1997年1月25日 テ・アオ・マオヒ モオレアにて

(注1)モオレアはタヒチ島から16km離れた姉妹島
    フランス領ポリネシアに対する先住民(マオヒ)の呼称

※モオレア宣言が採択されたことによって、いかに再録する設立声明にこれを添付したものが、今後「核兵器廃絶2000」声明として、支持団体の輪を広げてゆく基礎文書と なります。




・「核兵器廃絶2000」設立声明

 私たちの子供や孫たち、未来のすべての世代にとって、世界が安全で生き延びることのできるものであるためには、私たちは核兵器のない世界を達成し、50年間続いた核実験や核兵器生産の遺産である環境破壊と人間への被害を補償することが必要です。
 さらに、原子力技術の「平和利用」と戦争への利用の間に断ち切ることのできない関連があること、半減期の長い放射性物質の生成や利用により、未来世代への脅威がつきまとうこと、を認識しなければなりません。私たちは、大量破壊兵器用の物質を作り出したり何千世紀にもわたり環境を破壊し続けることのない、クリーンで、安全で、再生可能なエネルギー生産の形態に移行しなければなりません。私たちにとって本当に「奪いえない権利」は、原子力エネルギーにあるのではなく、核兵器のない世界に生きる人々の生命、自由、そして安全にこそあるのです。
 私たちは核兵器のない世界は、注意深く一歩一歩達成してゆかなければならないと認識しています。私たちは、それは技術的に可能だと確信いたします。政治的な意志の欠如、特に核兵器国の意志の欠如が、唯一の障害です。化学兵器、生物兵器が禁止されたのと同じように、核兵器は禁止されなくてはなりません。
 私たちは核兵器の廃絶を達成するために、すべての国に対し、特に核兵器を公然であろうと事実上であろうと保有する国に対し、次のことを実行することを求めます。

  1. 限られた時間枠を定め、有効な検証と執行のための条項を備え、核兵器の段階的除去を求める核兵器廃絶条約の交渉を1995年に開始し、2000年までに締結すること(注2)。
  2. 核兵器の使用や使用の威嚇を行わないことを直ちに無条件に約束すること。
  3. しきい値をゼロに定め、すべての国の核兵器開発を禁止するという目的を明記した、真に包括的な核実験禁止条約を速やかに締結すること。
  4. 新しい核兵器を追加生産したり配備することを中止し、配備済みの核兵器の除去と不能化を開始すること。
  5. 核兵器使用可能なすべての放射性物質の、軍事および商業用利用と再処理を禁止すること。
  6. すべての核兵器使用可能な放射性物質と核施設を、国際的な計量、監視、保証措置のもとに置き、核兵器使用可能なすべての放射性物質の公的な国際登録を確立すること。
  7. 非核の流体力学爆発、コンピュータ・シュミレーションなど(それに限らず)研究室の実験による核兵器の研究、設計、開発、実験を禁止し、すべての核兵器研究所を国際監視のもとに置き、すべての核実験場を閉鎖すること。
  8. トラテロルコ条約やラロトンガ条約で作られたような非核兵器地帯をさらに増やすこと。
  9. 核兵器の使用と使用の威嚇が違法であることを認識し、これを公に、また国際司法裁判所において宣言すること。
  10. 持続可能で環境に安全なエネルギー源の開発を推進し支援する国際エネルギー機関を設立すること。
  11. 核兵器廃絶へのプロセスの立案や監視に、市民やNGOが参加することを保証する機構を設立すること。

 核兵器のない世界は、人類すべてが熱望しているものです。目標は、少数の国の核兵器保有を公認している核不拡散体制では達成できません。私たちの「共通の安全保障」には、核兵器の完全な除去が必要です。私たちはNPTの無期限、無条件延長に反対します。私たちの目的ははっきりしています。それは無条件の核兵器廃絶です。

(注2)
 核廃絶条約は、不可逆的な核軍縮の方法を定めるべきであり、次のような内容を(それに限らず)含むべきである。つまり、

  1. 配備されているすべての核兵器システムを撤去し不能化すること
  2. 核弾頭を不能化し解体すること
  3. 核弾頭と核兵器使用可能な放射性物質を国際的な保証措置のもとに置くこと
  4. 弾道ミサイルや他の運搬手段を破壊すること。

 この条約はまた、遅滞なく独立に実行されるべき、上に掲げたような方法を含むことも可能である。完全に履行された暁には、条約はNPTにとってかわるであろう。

1995年4月25日 ニューヨークにて

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