核軍核競争の激化と核拡散の危機を前にして、われわれは、原水禁運動の国民的な統一がいよいよ焦眉の急務であるとの認識に達した。
第一に、われわれは「いかなる国の核兵器にも反対する」という核絶対否定の原則がいよいよ重要であり、原水禁運動の正しい基本理念であることを再確認する。
第二に、それとともに、緊急課題に関して、共同行動、統一行動を行うことの重要性も改めて確認し、
第三に、被爆三〇周年を目標にして、原水禁運動にたずさわる人々や諸団体が、中央、地方において協議する場「統一懇談会」(仮称)をつくり、原水禁運動の統一を積極的に押し進める。
右、決議する。
一九七四年八月九日
核爆二九周年原水爆禁止世界大会は、核の危機が最も鋭く現れたなかで開かれました。世界各国の核兵器の蓄積・貯蔵は、すでに人類を何回も皆殺しできるほどの量に達しているのに、米、ソをはじめ、英、中、仏のしのぎを削るような核開発が際限なく行われています。
その上、インドまでが核爆発を行い、核クラブに入り、核拡散の気運は一挙に強まりました。いまや人類は核狂乱の時代をむかえようとしています。
核兵器は、現在の瞬間、人類を脅かしているばかりでなく、開発実験の過程ですでに数多くの人々を犠牲にしてきました。ミクロネシア、ポリネシアの諸民族は、核実験の直接の被害をうけ、その実態は次第に明るみにだされてきました。そればかりか、核実験は大気圏の放射能汚染を次第に深めてきています。
原子力発電所の乱造や「平和利用」と称する核爆発が、放射能による環境汚染をさらに深化させようとしています。
人類が生きのびるためには、核狂乱を止め、理性にもとづく新しい平和な国際秩序をつくりださなくてはなりません。
核の危機は、この日本においても鋭く現れつつあります。
アメリカの核戦略に深く組み込まれた日本は、危険な核と同居していると言っても言い過ぎではありません。沖縄の核基地や原子力空母「ミッドウェー」・原潜の横須賀母港化がそれを立証しているし、OTH(超水平)レーダーの日本配備は、いよいよその危険性を明らかにしました。”核の傘”は、日本を守るものではなく、核の危機を招きよせるばかりであります。
日本政府は、この危険な状況を変えるどこか、自衛隊の核武装すら目論んでいます。自衛隊のナイキ装備や原子力船「むつ」の試運転強行、原潜の建造計画はその一里塚であります。
核の危険性は、原発・再処理工場からも迫っています。無謀な原発乱造計画は、いま随所にその欠陥を露呈しつつあり、原発の危険性は日とともに明かになってきています。核エネルギーは、”近代科学・技術の先端をゆく”とまで思われてきましが、それは幻想にすぎず、核兵器であれ、原発であれ、共に人類によって否定されるべき代物であることはいまや明白であります。
放射線障害の恐ろしさは、三十四万人にのぼるヒロシマ、ナガサキの被爆者が身をもって立証しています。この被爆者の声に耳を傾け、その訴えのなかににじみでている苦しみを胸にしっかりとうけとめなくてはなりません。それこそ核絶対否定の叫びであり、核狂乱を告発する声だからであります。
この核絶対否定の立場を貫くことと、被爆者援護法を制定することは私たちの切りはなせない使命なのです。
私たちは、被爆地、長崎から訴えます。
右の諸要求を実現するために、国の内外を問わず広はんな人びとに共同行動を積極的に呼びかけるものであります。
右、宣言します。
一九七四年八月九日