出版物原水禁ニュース
2002.12号 

原爆認定の集団申請・集団訴訟運動を支援しよう

広島県原水禁 宮崎安男 

「私の身体がこんなになったのは、原爆のせいだ。と国に認めさせたい」。いま、日本原水爆被害者団体協議会が、高齢化し、重篤な病に罹っている被爆者に呼びかけ、全国的に認定集団申請運動をすすめています。原水禁としてこの運動を支援したいと思います。
 原爆被害は、被爆後米国の意図によって永く秘密にされました。このことが被爆者対策を遅らせ、核被害の「威力ではなく人間的悲惨さ」として知らせることを妨げ、核開発を許す原因となりました。集団申請運動は、ヒバクシャが最後の力を振り絞っての核の告発、核廃絶運動と言えます。

認定被爆者になるには

 現在被爆者には健康管理手当(11の疾病に月額34,330円)が支給され、被爆者の83.5%が受けていますが、原爆症としての認定被爆者として医療特別手当(月額139,600円)を受けている人は被爆者の0.7%に過ぎません。
 認定には、病気の原因が「原爆の傷害作用に起因し」「その疾病が放射能の影響で現に医療を必要としていること」の二つが要件で、申請により厚生労働省の「疾病・傷害認定審査会」で認否が決められていますが、その基準は明らかではなく、審議も1件数分の形式審議で殆どが却下される現状です。原爆被害を(いまなお究明が困難な)放射線の被曝線量に限定し、熱線・爆風・放射線の複合被害とせず、病気の程度や生活の困窮度を一切除外した被爆者切り捨ての制度だからです。

固い認定の壁

 いままでいく人かの被爆者が「却下」を不服として裁判で争いました。最近では長崎で爆心地から2.45キロで被爆した松谷英子さんが争った裁判は長崎地裁・福岡高裁で勝訴し、国が上告した最高裁でも上告棄却で勝訴し認定されました。しかしこの間12年の月日と莫大な裁判費用を要した上でのこの結論は松谷さん一人に適用されるだけで、同じような状態で被爆した他の人には適用されません。2キロ以上離れた地点での被爆はほとんどまず認定されません。これでは一人一人何年もかけて裁判で争うことになります。

壁を破る集団訴訟

 この現行の認定の壁をどう破るか。本来なら裁判所で争うのではなく、強力な政府交渉や国会の場で追及するのが重要と思いますが、残念ながらそういう状況はつくれていません。毎年日本被団協の厚生労働省との交渉に出てくるのは係長かせいぜい課長補佐レベルで歯がゆいかぎりです。ならば集団提訴という選択肢も必要と思うしかないのが現状です。
 申請者への却下通知があった60日以内に異議申し立て、却下の90日以内に裁判を提訴しなくてはなりません。却下された人の何人が提訴するかは、あくまで本人の意志であり、それを尊重すべきですが、裁判を決意した人には支援の輪が必要となります。裁判は医者・弁護士の協力も得て、裁判費用も原告一人1万円(他に年会費1万円)を予定し、その他の裁判費用は支援グループをつくって支援することとなります。
 私たちは、まず認定申請を積極的に呼びかけ、集団訴訟の場合もあくまで被爆者本人の利益を第一に考えつつ、合わせて核被害を過小評価し核政策を強行する政府の方針を国民的運動によって打破しなくてはならないと思います。
 全国各地で始まっているこの「集団申請・訴訟、核被害告発と核廃絶」の運動を支援しよう。


〈在外被爆者〉長崎訴訟の控訴審が結審

2月7日に判決
 韓国への帰国を理由に被爆者援護法の健康管理手当を打ち切られた釜山市在住の被爆者の李康寧(イカンニョン)さん(75)が、国と長崎市に未払い分の支払いを求めた長崎在外被爆者訴訟の控訴審が11月8日、福岡高裁(石塚章夫裁判長)で結審した。判決は2月7日に言い渡される予定。
 李さんは「被爆者はどこにいても被爆者だ。生命のある間に、日本の被爆者と同様の援護をしてほしい」と意見を述べた。
 長崎地裁は昨年12月、手当打ち切りを違法と判断し、国と長崎市に未払い手当103万円の支払いを命じる判決を言い渡したが、双方が控訴していた。(「毎日新聞web版」11月8日付より)