出版物原水禁ニュース
2002.12号 

「欠陥原発動かし2法案」を許さない取り組み

原子力安全規制問題国会プロジェクト 松丸健二 

 『欠陥原発動かし2法案』は残念ながら11月末に一部修正されて衆議院を通過、まさに山場の山場、参議院審議に入りました。
法案は数年前から原子力官庁・事業者・学者ら“原子力ムラ”のなかで論議されてきた内容でした。原子力ムラのご一同は、2004年4月を目標に制度化を計画していた「維持基準」の切り下げを、東電など“不正再発防止”を名目として前倒しし、今次国会での法律改正に臨んだのです。まさに火事場泥棒・火事場の焼け太りです。
「電気事業法と炉規制法改正案」の内容をまとめると、

  1. 不正があった自主検査を定期自主検査として法定化し記録の保存を義務化する、
  2. 主務大臣は電力事業者から報告徴収ができる、
  3. 担当大臣は安全委員会への1年ごとの報告を報告する、
  4. 懲役刑(最高で3年)と法人重課(最高で3億円)を加えて罰則を強化する、
  5. 維持基準は省令で別途定めることなどがポイントです。

 また、自民・公明・保守の与党3党と民主・自由の5党による修正案は、(1)の「定期自主検査」を「定期事業者検査」とし、(2)では安全委員会も報告徴収ができるとし、(3)の報告を四半期ごととするというものです。

 青森県はじめ、立地自治体からの「保安院を推進の経産省から分離せよ」との要請に対し、小泉首相は「保安院が経済産業省の中にあっても安全委員会のダブルチェックが機能しているから分離しない」と国会答弁をしました。いかにも安全委員会の権限が強化されたように見せかけ、立地自治体の要請をかわす役割も付け加えたとも考えられるでしょう。また、「原子力安全基盤機構」の主務大臣は推進の経済産業大臣であり、東電などの不正を見逃した天下り公益3法人(原子力発電技術機構、原子力安全技術センター、発電設備技術検査協会)の機能の寄せ集め、中立とも第三者とも考えられません。
『欠陥原発動かし2法案』が成立したとしても、(5)の維持基準関係の省令や告示が整うのは来年10月が目標、「原子力安全基盤機構」立ち上げも来年10月と説明されています。
推進側は不正発覚による検査のために停止した原発を来年10月まで止めておこうとは考えていません。保安院は新たに『原子力発電設備の健全性評価等に関する小委員会』を設置し、不正原発の運転の早期再開を目論んでいます。
だれもが保安院をはじめ原子力安全規制行政の人材不足を知っています。各大学の原子力関係学科は学生から避けられ、JCO事故後の東海村ではありませんが、次々と「原子力」の看板を付け替えています。人材不足で立案した法案は欠陥法案です。止まっている欠陥原発の安全評価も原子力“族”学者らの手に委ねられています。"今回の不正"ではない浜岡2号原発では、これらの安全評価も受けず、地元説明もしないまま、中部電力のホームページの隅っこでこっそり“運転再開宣言”をする始末です。
『欠陥原発動かし二法案』廃案のための期間はあとわずかですが、国会プロジェクトは日夜奮闘を続けています。力を合わせ、欠陥原発の運転を再開させず、安全・安心な新年を迎えましょう。