出版物原水禁ニュース
2003.2号 

泊原発3号機の増設撤回を求めて「市民による公開ヒアリング」を開く

北海道平和運動フォーラム 事務局長 戸田利正

 昨年11月21日、札幌市で多くの市民の参加のもと「泊原発3号機・市民公開ヒアリング」が開催されました。これは、道民の多くの反対の声を押し切り、翌日に現地後志管内泊村で開催されようとしていた「泊原発3号機の増設にかかわる第2次公開ヒアリング(原子力安全委員会主催)」に抗議するもので、「脱原発・クリーンエネルギー市民の会」と北海道平和運動フォーラムが主催しました。
 盛りだくさんのプログラムの中では、長谷川公一・東北大学大学院教授による「原子力も温暖化もない未来社会へ」の講演、また、かつて原発建設の技術者として福島原発等の建設に携わった菊地公一さん(鹿児島大学理学部非常勤講師)による欠陥工事だらけの原発の実態報告が行われ、その後は、参加者から北電の過大な電力需給見通しの批判、北海道における自然エネルギー普及の可能性、省エネルギーの進め方など多様な告発、提案、意見が出され、現地住民による原発による過疎化の進行と拝金主義横行の切実な状況報告も発表されました。
 3号機増設計画は、2000年、抜き打ち的な臨時道議会の開催のもと、期間を1日延長した深夜に知事の同意が表明され、国の基本計画に組み入れられましたが、それまでは様々な経過をたどってきました。
 96年に計画が明らかになって以降、道民の反対の声を押し切っての環境アセスメントの開始、道知事の諮問機関である北海道エネルギー問題委員会の設置と、2年半24回にわたる議論の結果としての両論併記の答申、99年の第1次公開ヒアリングと併せて開催された「北海道エネルギーフォーラム」での圧倒的反対の意見を経て、翌年(00年)の北海道主催による全道5ヵ所の「道民の意見を聴く会」でも意見発表者の7割が反対意見をのべました。
 また、当時の北海道平和運動センターが提唱し結成された、「泊原発増設の可否を問う100万人署名実行委員会」は、"最終判断は知事発議による道民投票で"のキャンペーンを開始し、約80万の署名を道知事に提出しました。また、同委員会が民間の調査機関に委託して実施した道民世論調査(1,000名)の結果も、増設反対が74.4%、道民投票の実施には79%が賛成しました。知事の同意は、このような状況を無視して行なわれました。
 しかし、いま増設の根拠は完全に崩れています。北海道の電力需要も年平均2%の予測が崩れ、15年ぶりに対前年比0.7%の減少となり、電源設備増設の重要な指針となる最大電力も5年連続して北電の想定を下回り、需給見通しの修正を余儀なくされています。北海道にも電力自由化による大口の新規参入があり、3号機を増設した場合、余剰設備の増大と電力浪費、一方で巨大投資による会社経営の悪化につながることは明白となっています。電力需要の堅調な伸びを前提とした知事判断の誤りは明確となっています。
 本来は今年4月に予定されていた3号機の本体着工を阻むため、昨年3月に北海道平和運動フォーラムの呼びかけで「脱原発・クリーンエネルギー市民の会」が結成され、さまざまな集会、イベント、各界への申し入れなどを活発に行ってきました。また、知事の容認判断の撤回と道民投票の実施を求める署名運動も開始し、昨年12月24日に35万名分の署名を北海道に提出しました。また、「市民の会」と道フォーラムは、今年の知事選を始めとする統一地方選挙の争点にこの問題を大きく焦点化させるため、あくまでも増設計画の撤回を求めて、本格的な「北海道における脱原発プログラム」の作成に向けた作業を進めています。