出版物原水禁ニュース
2003.3 

「もんじゅ」設置許可無効の高裁判決、17年目の勝利
安全審査の誤りを認める

★完全勝利判決にどよめき、涙、万歳!!

 1月27日、金沢は朝から強い雨だった。気象予報は夜から雪になると伝えていた。
「もんじゅ」判決のその日、12時過ぎから名古屋高裁金沢支部前に福井、石川を始め、京都、大阪など北陸、関西各府県から約100人が集まりました。傍聴席はわずか30です。
 1時半から裁判が始まりました。多くの傍聴からはずれた人たち、マスコミ関係者が待つ高裁支部前に35分過ぎ、弁護士の一人が飛び出てきて「完全勝訴」の垂れ幕を掲げました。少しは予測をしましたが、これまでの原発裁判でどれほど国や電力会社がいいかげんな対応をしてきても、ずっと原告側は負け続けてきました。まさか?!一瞬の沈黙の後にどよめきが人々からあがりました。泣き出す人もいます。やがて弁護団が出てきました。海渡弁護士の目が真っ赤になっています。ほかの弁護士の目も潤んでいます。喜びが人々を覆い、万歳の声が沸き上がりました。

 もんじゅ訴訟の流れ 
  行政訴訟
(被告/国)
民事訴訟
(被告/核燃機構)
  原子炉設置許可の無効確認    運転差し止め      
  ┗━━━━━━┳━━━━━┛ 
1985.9 福井地裁に提訴 
  ┏━━━━━━┻━━━━━┓ 
1987.12 地裁判決
1989.7 名古屋高裁金沢支部判決 口頭弁論
1992.9 最高裁判決・
全員の原告適格を認定
  地裁に差し戻す
  ┗━━━━━━┳━━━━━┛ 
1995.12 ナトリウム漏れ事故
2000.3 地裁判決・住民側の請求棄却、住民側控訴 
2000.12 名古屋高裁金沢支部・初弁論 
  ┏━━━━━━┻━━━━━┓ 
  先行審理
2002.4 結審
2002.11 審理再開
2003.1 判決  

★判決は明快、安全審査に大きな誤り

 金沢高裁支部・川崎和夫裁判長の判決は明快です。「一審判決を取り消し、もんじゅの原子炉設置許可処分は無効とする」と述べました。
 判決要旨では、「原子力安全委員会、原子炉安全専門審査会の審査に看過しがたい過誤、欠落がある場合は、原子炉設置許可処分が違法と評価される。原子炉の潜在的危険性の重大さの故に、原子炉設置許可処分に違法、瑕疵(違法)の重大性をもって足り、明白性の要件は不要である」と述べています。放射能が外部に漏れる危険を否定できず、設置許可処分は無効と断じたのです。
 さらに95年のナトリウム漏れ事故について、「床ライナの健全性(腐食の可能性)と温度上昇(高熱の影響)の安全評価に誤りがある」「ナトリウムとコンクリートの直接接触が確実に防止できる保証はなく、冷却能力が喪失する可能性があり、本件許可処分は無効」
 蒸気発生伝熱管破損事故の可能性についても、短時間に多数の伝熱管が破損する「高温ラプチャ」(ナトリウム・水反応による高温の熱反応によって伝熱管の強度が低下、内部の圧力によって伝熱管が破損、次々に破損が広がる)の可能性を安全審査の対象としていない。しかしこの事故は炉心崩壊をおこす恐れがあり、この点からも許可処分は無効である」
 この「高温ラプチャ」については原告側補佐人の小林圭二(京大原子炉実験所)さんが裁判のなかで証言し、国側は全く審査していないことを認めましたが、「高温ラプチャ」は生じ得ないと述べていたのです。
 判決はさらに「炉心崩壊事故の可能性があるにも関わらず、安全審査が十分に行なわれていない。この安全審査の瑕疵(欠陥)からも許可処分は無効」
 また「核燃料サイクル機構が行なった原子炉設置変更許可申請(改造計画)も、結論(許可処分の無効)を左右するものではない」と改造計画でごまかそうとした核燃サイクル機構を批判しています。
 唯一「立地条件と耐震設計」についてだけ国の対策を認めましたが、裁判官が「もんじゅ」の欠陥を十分に理解していることは判決の全体にあふれています。

★不当な国の上告

 この判決によって、これまで電力会社や旧動燃の安全対策を追認してきただけの原子力委員会とその上にあぐらをかいてきた国の衝撃は大きく、国は1月31日に上告しましたが、それは国のメンツからだけの上告といえます(上告批判は次号に)。
1985年、40人で始まった「もんじゅ」訴訟はすでに6人が死亡し、2人が訴訟から離れました。磯部甚三原告団長は90歳を超え施設で療養中です。小木曽美和子原告団事務局長は「一審のときは悔し涙が出たが、二審判決ではじわーっと一筋の涙が流れた」と語りました。この喜びを無にしてはなりません。国が上告した日、自民党の会議で福井県の石井出納長は「現状ではもんじゅ改造手続きを進めるのは困難」と述べました。「もんじゅ」廃炉の日まで頑張りましょう。