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2003.3 

北朝鮮核開発の動きには対話による解決しかない

■少しずつ緊張高まる朝鮮半島

 2月12日、IAEAが北朝鮮の核問題を国連安保理付託を決めたその日、米CIA長官は北朝鮮が米本土に到達可能なミサイルを保持していると証言しました。朝鮮半島でも次第に緊張が高まっています。もし北朝鮮が再処理工場の再稼働を始めれば緊張は一挙に高まるでしょう。米国はその時点で経済制裁や海上封鎖が必要と語っています(2月6日、読売)。
 米国はイラクへの戦争準備の一方で、北朝鮮抑制のためとして原子力空母の配備や、グアムに長距離爆撃機24機の展開を行っていますが、これに対して北朝鮮・平和統一委員会は「侵略軍隊を増強する米国の動きにストップをかけなければ、朝鮮半島は灰になり、朝鮮人たちは恐ろしい核の災厄を免れないだろう」(2月7日)との談話を発表しました。これはすでに北朝鮮は核兵器を持っているとのメッセージでしょうか。
 94年の段階で北朝鮮は核爆弾1〜2個分のプルトニウムを抽出していると推測されていましたが、02年12月の米CIAの国家情報分析リポートは、すでに核兵器を1個か2個を保有している可能性があると指摘しています。
 ラムズフェルド米国防長官は、「北朝鮮が核開発を進めれば、5月までに6〜8発の核兵器を持つだろう」との推定を語っています(2月8日、ドイツで)。

■北朝鮮を追いつめてはいけない

 北朝鮮は米国との対話を求めながら、自ら危機状況へと事態を悪化させている感があります。北朝鮮は米朝合意後も核開発を進めてきた疑惑は払拭できません。昨年12月18日の韓国・朝鮮日報は、北朝鮮が核兵器開発の前段階となる高性能爆薬を使った起爆実験を、米朝枠組み合意以降も70回以上行っていたという韓国政府の話を報じました。ウラン濃縮施設の購入も疑惑を裏付けています。
 しかし食糧危機、経済危機にある北朝鮮に海上封鎖などの一層の制裁は、北朝鮮をさらに核保有の方向へ追いやるだけでなく、暴発させる危険があります。対話によるしか解決の道はないのです。日本政府は対話の方向は出しているものの、米韓のはざまで右往左往しています。韓国で太陽政策を引き継いだ廬武鉉大統領が登場したことが、私たちの希望だというのは情けないことです。
 日本政府は北朝鮮有事を想定して有事法制を制定しようとしており、衆院予算委員会で石破防衛庁長官は「日本攻撃を表明し、ミサイルの準備行為があればミサイル基地への攻撃は可能」と答弁しています。
 しかし、万一北朝鮮に武力攻撃が行われ、北朝鮮が反撃して韓国、日本に攻撃をかけてきたときに、有効な防衛手段はないといえます。米国防総省は北朝鮮は化学兵器を保有しており、神経ガス、窒息性ガス兵器を大量に生産できる状態にあると分析していて、生物兵器も炭疽菌など兵器化の技術を持っている可能性もあると見ています。また昨年12月30日のニューヨークタイムスも、「米国が武力行使の可能性を当面排除しているのは、北朝鮮の報復攻撃から日本と韓国を防衛できないと考えているからだ」と伝えています。

■北朝鮮に対する米国の不可侵の保障

 北朝鮮の要求は、米国の北朝鮮に対する不可侵条約の締結です。一方、米国政府は条約でない形での文書化を示していますが、北朝鮮は拒否しています。
 今年1月に北朝鮮の核対応をめぐり「日米韓政策調整会合」が開かれ、韓国は北朝鮮にプルトニウムによる核開発計画放棄の見返りに、不可侵の文書化と重油提供の再開を提案しましたが、米国は拒否。結局、「米国の対話の用意」と「日米韓三ヵ国が連携して平和的、外向的な手段で解決を目指す」などの共同声明が発表されました。いま必要なのは条件なしの米朝協議ですが、日本政府はその提案ができないのです。
 しかし2月6日にワシントンポストと韓国中央日報が共催した「韓米高位政策円卓会議」で「北朝鮮が核開発を放棄するという前提のもと、米議会が北朝鮮不可侵の決議を採択できるか」との質問に民主党のロックフェラー議員が「かなりの可能性がある」と述べたと中央日報インターネット版は伝えています。
 米朝両国には強い不信感が存在しています。北朝鮮は米国の本音は北朝鮮への武力攻撃にあると考えています。2月7日のBBC放送インターネット版は、「平壌は不安の都市だ。空襲サイレンが朝夕に鳴り響き、拡声器はあらゆる指示事項を鋭く吐き出しつづける。市民らは指示に従い、地下鉄の待避施設へとその身を運ぶ。夜になると灯火管制訓練で天地が暗黒に包まれる」「平壌は今、戦時でもなく、爆撃を受けているわけでもない。しかし戦争は時間の問題に過ぎないというムードが張り詰めている」と伝えています(韓国・中央日報インターネット版)。

(W)