出版物原水禁ニュース
2003.4 

六ヶ所再処理施設を動かすな!!

6月予定のウラン試験阻止に向けて

核燃サイクル阻止1万人訴訟原告団 事務局長 山田清彦

 1985年4月9日、青森県議会全員協議会で当時の北村知事が六ヶ所核燃サイクル施設の立地に受諾を表明しました。前年7月に電気事業連合会が提出した立地要請から10ヵ月足らず、県民合意のない中での表明は県民の怒りを買いました。それ以降、青森県内の反核燃グループは、4月9日を「4・9反核燃の日」と定め、大規模集会を行ってきました。
 昨年の4月7日(第17回目の「4・9反核燃の日青森県集会」)に青森県でスタートした「止めよう再処理! 100万人署名」には、全国の皆さんの協力を得て、12月24日までに908,258人分(青森県内158,386人、全国から749,872人)を提出しました。
 署名に寄せられた再処理工場操業反対の思いは、残念ながら1月26日に行われた県知事選挙に結実しませんでした(4人の候補のうち、再処理工場の運転中止を唯一訴えた平野良一さんに投じられたのは34,970票)。ところが3選を果たした木村知事は、その後「週刊新潮」(1月30日発売号)の報じた『セクハラ知事』疑惑により、3月7日に青森県議会から辞職勧告決議案を突き付けられました。
 今年は統一地方選挙と重なり「4・9反核燃の日青森県集会」は県内1ヵ所での大規模集会としては行いませんが、県内各地で集会を行い、5月11日にはウラン試験中止を求める大規模な集会を行う予定です。

☆六ヶ所核燃サイクル施設の現状

広大な再処理施設
 建設が続行中の再処理工場を除けば、核燃サイクル3施設(ウラン濃縮工場、低レベル埋設施設、高レベル一時貯蔵施設)は操業中ということになりますが、最近の動きを見れば、かなり綱渡り的な操業をしているようです。 10年間メンテナンスフリーで動かすはずのウラン濃縮工場は、1系列で150トンSWU/年(濃縮仕事量)を毎年増設して、10年目で1500トンSWU/年の規模になると発表されていました。毎年増設するはずでしたが約7年で7系列の設備を作った後、増設が停止しました。その理由は、「製造段階の不良により遠心分離機の停止が増加したから」というものでした。そこで2010年に完成が期待される新型の遠心分離機の導入まで増設を中断することになりました。この7系列のウラン濃縮工場ですが、10年の寿命を待たずに2系列がすでに停止し、間もなく3つ目の系列も停止を迎えようとしています。このままでは2010年を待たずに他の4系列も止まりそうですが、しかし「使用済みウラン濃縮工場」という核のゴミをどのように廃棄するのかが法的・技術的に決まっていないのが現状です。
 さて、原発サイトに大量の貯蔵されていたはずの低レベル放射性廃棄物ですが、これを受け入れる埋設施設への搬入が遅れています。原発サイトに放射性廃棄物が少ないということは考えられず、日本原燃に低レベル廃棄物を預ける費用が高いから、原発サイトで減容処理(可燃物を償却して、廃棄物発生量を減らすこと)をしている可能性もあります。
 なお、海外返還高レベル放射性廃棄物の返還は今年度はなくなりました。これは発生量が減ったからではなく、「一昨年の同時多発テロ事件以来、海外には核物質輸送への関心が高まっている」ので、高度な政治判断からの輸送延期を決めたということです。
 以上3施設からの収益が大幅に減っている状況ですので、経営的にはかなり苦しいと思われます。

☆操業遅れの再処理工場

 89年3月30日に日本原燃(当時の日本原燃産業)が提出した六ヶ所再処理工場事業指定申請書では、本格操業の開始予定は97年12月でしたが、現在は05年7月操業をめどに建設と各種の試験が行われています。その遅れた理由は、安全設計の見直しが度々行われたからです。また、再処理工場の当初の建設費は約8400億円でしたが、現在は約2兆4600億円を超えています。莫大なお金と長期間の工事で、操業を強行しようとしていますが、ここにきて大幅な延期を余儀なくされそうな状況です。
 一昨年末、三つあるプール(縦27×横11×深さ12メートル)の一つから漏水の可能性があるので調査をするとの記者会見を日本原燃が行いました。「01年7月に貯蔵プールから1秒間2滴程度の漏水を検知したけれども、結露水なら従来は秋口に止まっていたのだが今回は漏水が継続してるので詳しく調査したい」ということでした。
約3500トンの水と、約165トンの使用済み核燃料を貯えたプールから、1秒数滴漏れる箇所を探すのは困難で、燃料棒を他のプールに移動し、薬品注入で漏水の有無を確認。水中カメラを使って溶接線を調べたり、水の中で調査する装置を用いて調べるという方法で行いましたが、漏洩箇所の特定が出来ませんでした。その後11.5メートルの深さの水をほとんど抜いて、壁の横に漏洩箇所らしいものを発見したのが6月下旬。傷を顕微鏡で調べ、ヘリウムガスが通過したことから漏洩場所と断定したと6月28日に発表がありました。約1ヶ月かけて切り出し作業を行い、東海村の施設に運んで2ヶ月かけて調べたら、「穴が空いてませんでした」というお粗末。それから1月後、プールの底に漏洩箇所を発見しました。5日で切り出し、東海村の施設に運び、2ヵ月後の12月23日に漏洩原因を特定したとの発表がありました。

☆不良溶接を見抜けないずさんな検査能力

 報告書に書かれた亀裂の原因を要約して紹介します。「燃料貯蔵ラックの支柱を溶接固定するのに際し設計寸法と約1センチのズレが生じたのですが、工期に迫られた業者が勝手に継ぎ足し溶接をして工事を終えてしまった。その後の検査で日本原燃がこの不良溶接を見逃し、使用前検査に立ち会った国も見つけることが出来なかった。そして水張りから5年間経て、11.55メートルの水圧で押され、厚さが0.02ミリになった時点で漏洩が始まった」ということでした。
 プールの漏洩に関してはこれで一件落着になると日本原燃は思ったようですが、不良溶接を行った業者からの聞き取りの過程で、他にも同様の不良溶接を行っていたことが判明し、追加検査を始めたら、次から次に予想外の場所から異常個所が見つかっています。
3月12日までに、燃料送り出しピットで漏水がありましたし、燃料仮置きピットでの不良溶接箇所、各種貯槽(25基)での不良溶接疑いのある場所(1412ケ所)が発見されています。

☆日本原燃は悪質業者の被害者?

 2月20日に六ヶ所村で行われた日本電気新聞主催の原子力特別シンポジウムに参加した日本原燃の平田常務は、不良溶接を例に「今回は悪質で(業者に)だまされた」との思いと述べ、「今後は時に性悪説をもって、事業継続に努める」との意欲を示したそうです。これは不良溶接業者をさしてのことのようですが、果たして彼らだけが「不良」だったのでしょうか。
 35もの大きな建物を有する巨大な再処理工場には、短期に大量の技術者が雇われた時期があります。建設初期は六ヶ所村在住の土木業者も採用されましたが、工事が進むにつれ高度の技術を持つ県外の土建業者、さらには配管や溶接の有資格者を全国からかき集めて工事が行われました。彼らのすべてが善良だった保証はどこにもありません。
 化学工場でもある再処理工場には約1500キロの配管があり、継ぎ目が約40万ケ所と言われています。その溶接箇所全部を調べないと、安全操業の保証がないことは、容易に想像がつくのではないでしょうか。しかし、その工程を不良溶接業者が手掛けていなかったからなのか、日本原燃にも国にもそのすべてを検査するつもりはないようです。

☆再処理工場操業を中止させよう

 このような不祥事が起きているにもかかわらず、最近にわかにウラン試験(6月予定)や化学試験(来年7月予定)の毎に安全協定を結ぶのは疑問、という意見が県庁内に漂っているそうです。水漏れがあろうが、何があろうが、ウラン試験を強行したいという意気込みをパフォーマンス知事(最近はセクハラ知事のほうが有名かな?)が示しているようです。“反核燃新知事”の誕生とは、現在なっていませんが、再処理工場の早期中止を勝ち取るために、皆さんのご協力をよろしくお願いいたします。