出版物原水禁ニュース
2003.4 

住民勝利の「もんじゅ」高裁判決を広めよう

国の上告は政治的で不当

京都平和フォーラム (京都教組) 今井哲

 3月8日「もんじゅ訴訟完全勝利報告集会」が、福井市文化会館で開かれました。原告・弁護団、もんじゅ訴訟を支援する会、原発反対福井県民会議が主催し、会場には主催者をはじめ、原水禁関西ブロックからの参加者が詰めかけました。

■不当な上告

 国を被告とする「もんじゅ行政訴訟」控訴審では、名古屋高裁金沢支部が、1月27日、放射能が外部に流れ出して、人びとの生命に対する潜在的危険性がある「もんじゅ」については「重大な違法性があるだけで国の原子炉設置許可処分は無効」であるとした画期的な判決を下しました。しかし国は、1月30日、最高裁判所へ上告をしました。明らかに不当です。上告する理由がないからです。
 集会では弁護団の吉村弁護士が「最高裁は事実関係について取り調べず、法解釈・判例違反についてのみ審理する。控訴審ではナトリウム事故による炉心冷却能力喪失、蒸気発生器細管の連続破断、また炉心崩壊(核暴走)が、『もんじゅ』の設置許可処分に重大な違法性があるとされた根拠となったが、どれひとつとっても国は全く反論できていない。上告審でこれらの事実、すなわち『もんじゅ』の危険性を覆すことはできないであろう。非常に感情的な反発による上告だ」と説明しました。

■高裁判決は判例違反ではない

 「もんじゅ」弁護団の一人、海渡弁護士もまた政治的上告だとして、次の点を上げています。
「国は上告理由として『人の生命に関わる原子力施設の設置許可については無効理由は違法性の重大性だけで足り、明白性までは必要ない』とした高裁判決が、違法が「重大かつ明白」であることを要するとした最高裁判例に違反するとしています。しかし、最高裁判例は、「無効」について行政行為の安定と国民の権利保護の利益衡量で決まるという、今回の判決とほぼ同じ判断手法をとっています。高裁判決は判例違反とはいえません」。
「法律論を離れて考えれば、『われわれは原子炉の設置許可について重大な違法を犯したかもしれないが、明白ではなかったので、許可処分を認めてくれ』と言っているのです。国の上告は、重大な違法処分によって生命の危険にさらされる福井県民をはじめとする、私たちすべてを愚弄しています」。
「また判決にある機器の品質管理や工事の不備まで想定した判断が、安全審査の範囲を基本設計に限定すべきとする判例に違反すると主張しています。しかし判決は、違法性の判断の段階では伊方最高裁判決の枠組みに忠実に沿っています。指摘された判断は違法性の重大性を評価する段階で示されているにすぎません。この上告理由も認められる余地はないと思います。」
「この上告は、短期間のうちに上告をするなという声が高まってきたことに対して、まだ上告期間が残っているにも関わらず、判決の十分な精査もしないままに、判決によって手厳しく指弾された保安院・原子力安全委員会のメンツを保つことだけを目的とした政治的上告であって、絶対に許されません」と述べています。

■民事訴訟(核開発機構が被告)は取り下げへ

 集会で、小木曽美和子・原告団事務局長は「原告も高齢化し、2つの訴訟を継続するのは負担。上告審で判決を確定させることに全力を注ぐ」として、核開発機構を被告とする民事訴訟を取り下げることを明らかにしました。その上で「姑息な改造工事を認めないよう、世論を高める運動をしていくのが私たちの任務」と訴えました。
 判決文は800ページと膨大ですが、臆することなく読み込み、判決の内容を拡げましょう。文部科学省や核開発機構は、最高裁の判断前に知事と敦賀市長の事前了解をうけ、「もんじゅ」の改造工事を始めようとしています。「地元対策」などといいますが、要するに買収です。買収に負けずに、「もんじゅ」を廃炉にするため、より広範な運動をすすめましょう。