出版物原水禁ニュース
2003.4 

高レベル放射性廃棄物を地層処分させないために

自治労脱原発ネットワーク運営委員 秋川 健一(岡山)

 2002年12月19日、原子力発電環境整備機構(以下原環機構)は、使用済み核燃料を再処理した後に残る、極めて放射能の高い廃液のガラス固化体、いわゆる「高レベル放射性廃棄物」(以下高レベル)の最終処分(地層処分)を行う地区の選定に際し、全国約3,200の市町村長に対して処分地の「公募」を行うことを発表し、「応募要領」などの資料を送付しました。
岡山県では、高レベル地層処分に関連して、1980年代から県内で不審な実験が繰り返されており、住民は非常に高い関心を持っています。1990年には、県内の住民運動が一つに結集して「放射能のゴミはいらない!県条例を求める会」を結成し、高レベル拒否の県条例を求める直接請求運動を起こしました。そのときには、140万人の有権者中34万人という多くの署名を集め、県議会へ請求を行いました。結果的には県議会で否決されましたが、当時の長野士郎知事は「県民が不安を覚えるような施設を誘致するつもりはない」と意思表示し、現在でも県是となっています。
高レベル最終処分場の誘致については、当該自治体首長が絶対権限を持っていると言えます。すなわち、自治体首長の拒否を求める運動を全国で進めていけば、処分地は決まらず、政府の原子力政策を見直させるための非常に強力な手段となります。岡山県では、この信念の元に、早くから高レベル拒否を自治体首長に求める取り組みを進めてきました。とりわけ、公募が始まる前後からは、改めて全自治体に対して拒否の意思を確認しました。
その中で、唯一拒否の回答をしなかったのは、中国山地沿いの村「上斎原村」です。ここは「核燃料サイクル開発機構人形峠環境技術センター」がある村で、2000年に1,000メートル級のボーリング調査が行われたことが明らかになったところです。ボーリングは北海道・幌延や岐阜県・東濃でも同時期に行われ、収集したデータは地層処分の安全性を示す研究成果、いわゆる「2000年レポート」に引用されました。すなわち、この上斎原村を含む中国山地沿いの自治体は、全国的に最も危ないとされる地域の一つなのです。
上斎原村の松本村長は2003年2月17日、「(原環機構の公募は)基礎的自治体の生き残りの手段として検討する苦渋の選択肢の一つ」と文書回答しました。県内住民にとって、最も恐れていた回答が、目の前に突きつけられました。

高レベル放射性廃棄物ってなに?

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核燃料サイクル図
── パンフレット「原子力Q&A」電気事業連合会より


日本よりもはるかに地殻が安定しているヨーロッパやアメリカ大陸でさえ、高レベルの地層処分は不可能とされており、まして地震列島日本での地層処分は、考えられないほど危険です。
経済産業省や原環機構の宣伝文句はすべてまやかしで、住民意識をそらそうという意図が見えています。そもそも、国の原子力政策そのものが、CO2削減にも役立たず、経済面においてもすべて成り立たないまやかしであるとも言えます。原発はなくても、電力をまかなうことができるという事実を、1日も早く認めるべきです。原発をやめ、使用済み核燃料の再処理計画を中止し、低レベル・高レベル廃棄物をこれ以上増やすことをやめ、すでにある廃棄物は国の責任で厳重に管理する以外、放射能の連鎖から抜け出す方法はないのではないでしょうか。
岡山県では、全国の脱原発運動の急先鋒として、今後も動向を注視しつつ、高レベル拒否運動を全国に広げていくことを目指します。

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高レベル放射性廃棄物ガラス固化体
──パンフレット「処分場の概要」原子力発電環境整備機構より