出版物原水禁ニュース
2003.5 

ヒバクシャ裁判に二つの判決

画期的な廣瀬裁判判決、国は不当な控訴

 3月19日、20日とヒバクシャ訴訟でうれしい判決が相次ぎました。19日には長崎市でヒバクした元高校教師の廣瀬方人さんが、出国を理由に被爆者援護法に基づく健康管理手当を打ち切られたのは不当として、国や長崎市に未払い手当の支給などを求めていた裁判で、長崎地裁が未払い手当約33万円の支払いを国に命ずる判決を下したのです。
 また、20日には広島でヒバクした韓国在住の李在錫(イ・ジェソク)さんが、出国を理由に特別手当の支給を不当として訴えていた裁判で、大阪地裁が大阪府に支払いを命じる判決を出しました。
 昨年12月に在韓ヒバクシャ・郭貴勲さんが大阪高裁で勝訴して以来、厚生労働省は健康管理手当や特別手当の支給を、日本在住に限定することはできなくなりました。しかし厚生労働省は、手当の支給が国の委任事務であるにもかかわらず、手当支給は都道府県、広島市、長崎市が支給するものであるとの立場をとり、今年2月7日の在韓ヒバクシャ・李康寧(イ・カンニョン)さんに対する福岡高裁判決が、国に支払いを命じたため、手当の支給はするものの、国に対する支払い命令は不当として控訴しました(大阪高裁判決は大阪府に支払いを命じた)。
 また手当の支払いは、5年以上遡っては払わない国の会計法上の法律を適用するとして、5年以上前に手当の支給を受け、出国によって打ち切られた被爆者には適用しないという、不当な措置をとりました。
 廣瀬さんの裁判に対する長崎地裁判決のすぐれた点は、「出国した被爆者への給付打ち切りが、在外被爆者に原爆三法が適用されないと、誤った解釈をした旧厚生省公衆衛生局長通達に従って行われて、そのことが主たる要因となって在外被爆者の権利が妨げられてきたといわざるを得ない」「国が手当について消滅時効を主張することは、権利の乱用として許されない」と、国の対応を厳しく批判した点に示されています。また、国にも支払い義務があるとしました。
 このため国は、支払いを国に命じた、5年の時効を認めないのは不当として控訴しました。厚生労働省の対応に強く抗議し、廣瀬裁判を支援していきましょう。