出版物原水禁ニュース
2003.12号 

全国被爆二世団体連絡協議会が厚生労働省と交渉

二世検診など、次年度の概算要求を視野に検討を求める
全国被爆二世団体連絡協議会・崎山 昇

◆全国被爆二世団体連絡協議会の基本的な要請事項

 10月6日、全国被爆二世団体連絡協議会(平野伸人会長)は、被爆二世対策について厚生労働省交渉を行いました。基本的要請事項は次の通りです。
(1)現在の「被爆者援護法」を被爆二世及び在外被爆への適用を明記した「被爆者援護法」に改正すること。
(2)単年度措置で行われている被爆二世健康診断を法制化し、制度の充実を図ること。
(3)被爆二世健康診断 に基づき、医療措置を行うこと。また、在外被爆二世についても同様の措置を講じること。
(4)被爆二世に対して「被爆二世健康手帳」を発行すること。
(5)放射線影響研究所「被爆二世健康影響調査」について国としての責任ある対応を行い、被爆二世の援護施策に生かすこと。
(6)外国人被爆二世等の在外被爆二世に対する「被爆二世健診」については、居住国の医療機関で受診できるような措置を講じること。
(7)在外被爆者に被爆者援護法を適用し、被爆者の平等な援護を行うこと。

◆厚生労働省への当面の要望

 この日は基本的要請事項を踏まえ、当面の重点的な要望事項として、原爆被爆二世の健康不安の解消に努める施策を早急に行うことを求めました。
(1)現在行われている「被爆二世健康診断」では、被爆二世の健康不安は十分に解消できない。健康診断の一層の充実を図ること。特に、健診受診者の要望の強い「ガン検診」を追加すること。
(2)放射線影響研究所による「被爆二世健康影響調査」の結果だけでなく、被爆二世の実態の把握に努めること。健康実態及び健康不安の実態、社会的差別などについても実態調査を行うこと。
(3)被爆二世健康診断を法制化すること。被爆二世の健康不安の解消という目的の達成は、永久的に取り除かれる可能性はありえない。単年度措置といった消極的な対応では不十分。法制化もしくは法制化に準ずる対応を行うこと。
(4)「被爆二世手帳」(被爆二世健康管理表)の公的発行について建設的な対応を行うこと。被爆二世の法的な位置付けを含めて、総合的に判断すべきである。

◆厚生労働省、積極的な対応示さず

 厚生労働省からは、健康局総務課の岡山課長補佐(事務)、西田課長補佐(技術)、田中援護企画係長が対応しました。広島県選出の金子哲夫衆議院議員も同席し、「可能なことが何が一つでも前進するように」と口火を切りました。
 厚生労働省の回答は次のようなものでした。
(1)二世については遺伝的影響があるとの科学的知見がない。ガン健診の追加を事業として起こすにあたって、財政が厳しいなか、重要性、必要性が問われる。二世調査をやっている最中。(必要性を認めるとしても)どのように説明しようか、悩ましいところだ。
(2)被爆者の施策は放射線に起因する健康被害に着目している。放影研の健康影響調査を先にやらせてほしい。
(3)健診期間を長くして、ほぼ通年化できている県・市がある。実行上、予算的に迷惑はかけていない。実行面でできるだけ努力している。
(4)管理表については、先般来話を聞いた。管理表は、健診結果を保存しておきたいのが趣旨。今まで毎年毎年受けた人は、結果表があって、それについても保存しなければならない。そういった意味で保管、記録をとっておくため、 ファィルのように綴じるものでいいのではないか。
 さらに、ガン検診の追加について、次年度の概算要求を視野に入れた検討を求めたのに対し、西田補佐が「今日の議論を踏まえて検討する」と回答し、健康管理表の発行については、物理的保存を求めているのではなく、被爆二世を公的機関が診ているということを示すこと、心理的なものだと主張しましたが平行線に終わりました。
最後に平野会長が、窓口には深刻な声が寄せられていることを踏まえ、次回に向け、私たちの立場に立った前向きな検討を要請しました。