出版物原水禁ニュース
2004.01号 

原子力物語  核問題入門第2回
原子爆弾の仕組みと問題点

─無限の破壊力を得られる水爆─

☆広島、長崎の原子爆弾

 放射線の種類によって放出されるエネルギーが異なり、また透過力も異なることはこれまで2回にわたって書いてきました。放射能の単位:ベクレルや放射線吸収線量の単位:グレイ、放射線による障害の程度を考慮するシーベルト、さらに集団ヒバク線量についても説明したいのですが、聞きなれない単位などがたびたび出てくると、入門講座が難しくなってしまいそうです。折に触れてとして、今回は核兵器について書いて説明します。
 核兵器を理解するには、まず広島、長崎に投下された原子爆弾についての知識が必要です。
 広島に投下された原爆(リトルボーイと呼ばれる、図参照)は80%に濃縮されたウラン235を64キログラム使って製造されました。しかし核分裂したのは、このうち約1キロ弱です。それでも高性能火薬TNTの重量に換算して、約16キロトン(一番新しい検証による)の爆発に相当するものでした。
 一方、長崎に投下された原子爆弾(ファットマン、図参照)にはプルトニウム239が使われました。しかしどれくらいのプルトニウムが使われていたかははっきりしていません。しかし約1キロほどのプルトニウム239が核分裂し、その威力は高性能火薬TNTに換算して、20キロトンほどの爆発とされています。
 原子爆弾は、爆発した瞬間に巨大な火球となり、強烈な熱線を発し、ものすごい爆風をもたらします。同時に核分裂によってできる様々な放射線が飛び出します。したがって原子爆弾を破壊力の大きさだけでは判断できません。

広島(左)、長崎(右)に投下された原爆
リトルボーイ ファットマン

☆原子爆弾の臨界量と限界

 広島型原爆も長崎型原爆も爆発するためには、一定量のウラン235やプルトニウム239がないと、爆発しません。つまり核分裂によって生まれた中性子が次の原子核に吸収されず、連鎖反応を起こさないのです。連鎖反応が起きる核分裂物質の最小量を臨界量と言い、ウランの場合は90%以上に高濃縮ウラン235が約15キロは必要で、プルトニウムの場合も94%以上の兵器級プルトニウム239が5キロは必要とされています。しかしプルトニウム爆弾は、性能は落ちるものの、現在では「いかなる原子炉級(プルトニウム29が20〜30%以上)のプルトニウムも爆弾となる」ことが明らかになっています。ただウラン爆弾もプルトニウム爆弾も、そのすべてを核分裂させるには技術的限界があって、実際には臨界量の10%〜20%だけが核分裂し、大部分は核分裂しないまま飛散してしまいます。より大きな破壊力を得ようとして、水爆の開発が始まったのです。

☆水素爆弾

 原子爆弾が核分裂反応で生じるエネルギーを利用するのに対し、水爆は、重水素やトリチウム(三重水素=放射性物質)など水素の同位体や、リチウムなどを核融合させてできる膨大なエネルギーを利用します。
 しかし核融合には1千万度以上の高温が必要で、そのため原爆を爆発させて得られる高温と高密度のエネルギーを利用して核融合させます。このため水爆は限りなく大きな破壊力を得ることができます。今までに最大のものは、旧ソ連が62年10月30日にノバヤゼムリア島で行った58メガトンの実験です。これは広島原爆の3,600倍の威力があります。ちなみに米国が54年3月1日にビキニ環礁で行った水爆実験は約15メガトン、広島原爆の940倍ほどになります。
 しかし水爆は大量のトリチウムと原爆の爆発による放射性物質をつくりだします。トリチウムは放射性物質であるばかりか、水と混じり合って生物の体内に入り込みます。ですから水爆は破壊力だけでなく、環境にまき散らす放射性物質もケタ違いといえます。