出版物原水禁ニュース
2004.02号 

ヒバクシャ仏政府に国家補償を求め初の提訴

★01年の原水禁大会で初めて顔を合わす

 昨年12月19日、仏サハラ砂漠の核実験に参加した退役軍人や、南太平洋の核実験作業に従事したポリネシア住民ら11人が、仏政府に対して健康被害などの損害賠償を求めて提訴した。今後アルジェリア人元兵士らも訴訟に加わるという(西日本新聞)。

 これまでサハラ砂漠の核実験被害者やポリネシアの被害者らは別々に運動をしてきたが、一昨年の被爆57周年原水禁世界大会・広島国際会議で、「フランス核実験被害者会議」が開催され、この会議に「フランス核実験退役軍人協会」(AVEN)代表や、アルジェリアのヒバクシャ(仏が核実験から撤退した後、核実験場の管理や機材回収を行ったアルジェリア元国軍工兵隊員)、仏領ポリネシアの核実験被害者団体「モルロア・エ・タトゥ」(ムルロアと私たち)代表らのヒバクシャらが参加した。このように仏、アルジェリア、ポリネシアの核実験被害者が広島に集まり、日本のヒバクシャを含めて、ヒバクの実態や国家補償について意見交換を行ったことが、今回の提訴につながったといえる。

★核実験で大量の放射能汚染

 仏政府は1960年〜66年まで、サハラ砂漠で大気圏核実験を4回、地下核実験を13回行った。大気圏核実験による放射能汚染は大変なもので、放射性降下物は自国フランスにまで達したという。のち、66年8月〜74年まで南太平洋のムルロア環礁とファンガタウァ環礁で46回の大気圏核実験を行った。この核実験によって、放射能は仏領ポリネシア全体や、クック諸島、サモア、フィジー、オーストラリア、ニュージーランドにまで降り注いだ。
 75年以降に実験は地下に移されたが、脆弱な珊瑚礁には100ヵ所以上も穴が開き、放射能が漏れていることが科学者によって明らかにされている。しかしフランス政府はいっさい放射能汚染は存在していないと主張し続けている。「仏核実験退役軍人協会」には、720人が参加しているが、そのうち32%がガンや白血病を患っているという。しかし仏政府が核実験の被害を一切認めていないなかでの裁判は困難が予想される。裁判はまず、提訴を受け入れるかどうかから始まるという。仏国内はもちろん、世界の支援が必要である。