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2004.02号 

日本、ミサイル防衛導入を正式決定
膨大な費用を見越して、防衛費の聖域化?

★ミサイル防衛に5兆円必要?

 日本政府は昨年12月19日、安全保障会議と閣議を開催し、米国が開発、配備しているミサイル防衛(MD)システムを、北朝鮮の中距離ミサイルに対処するためとの理由で04年度から導入することを決定した。04年度にはSM3、PAC3の購入、イージス艦1隻のSM3搭載型に改造し、航空自衛隊の高射群1個部隊のPAC部隊への改編を行う予定で1068億円を予定している。実際の配備は07年度から11年度にかけてで、イージス艦4隻と4高射群をPAC部隊に改編するが、維持管理費を含めて8000〜1兆円の費用が必要と防衛庁は試算している(12月20日、福井新聞)。しかしMDの主契約企業と関係の深い「ランド研究所」は01年の論文で、日本のMD配備には1兆2000億円から5兆9000億円かかると試算している。
 このミサイル防衛の問題点については、本誌の03年5月〜7月、11月の各号に詳しいので参照して欲しいが、問題点を整理すると、(1)相手側のミサイル発射の情報は、米国の衛星に頼らざるを得ず、米軍の戦略に一層組み込まれる。(2)迎撃能力に信頼性はほとんど期待できない。(3)米軍事システムに組み込まれる結果、集団的自衛権に踏み込まざるを得ない。(4)現在、日米で進めている次世代MDの共同技術研究で、日本で生産した部品を米国に輸出することになり、「武器輸出三原則」の改正が必要になる──等である。

★日本の防衛費を概算要求からはずす?

 日本がミサイル防衛に踏み込むことは、単にMDシステム導入の問題だけでなく、偵察衛星をどうするかなど、さまざまな問題に波及してくる。
 これまで防衛費をGNP1%枠内で収めるかどうかが問題になってきたが、まさに天文学的な費用をつぎ込まなければならないミサイル防衛では、1%枠などにこだわっていられない。これまで正面装備とされてきた戦車や戦闘機などを削減するか、ミサイル防衛かの選択が迫られる。そうしないために、これまで予算案作成に当たって、各省庁が概算要求を決めて、財務省が査定するという仕組みそのものを変えようという動きが出てきた。防衛費聖域論である。日米の軍需産業の発展をもたらしつつ、日本防衛政策の大変換が新たに始まろうとしている。