出版物原水禁ニュース
2004.03号 

ブッシュ政権の軍拡路線─2004、05年度の予算にみる

小型核兵器や強力地中貫通型核兵器の研究

使える核兵器と核実験再開を許してはならない

◆過去最大の核兵器関連予算案発表

ブッシュ米大統領は2月2日、2005会計年度(04年10月〜05年9月)年度の予算教書を発表したが、同じ日、エネルギー省も核兵器の開発・生産・管理を担当する国家安全保障管理局(NNSA)の予算も含めた、総額243億ドルの05年度予算案を発表した。
 米国の国防予算は、1998年から上昇を続けており、09会計年度には4,877億ドルとする方針が打ち出されている。これはレーガン政権時代と同水準で、レーガン大統領は、ソ連の核戦力に対して米国の核戦力は劣っていると大宣伝して大統領に当選し、ミサイル防衛を宇宙に展開するスターウォーズ(SDI)計画を推進しようとしたことで知られる。
 これらの予算案は議会に提出され、審議された後、決定された予算の執行が、今年の10月から始まるのだが、これらブッシュ政権の危険な核政策は、すでに昨年10月から今年9月までの04年度国防予算に色濃く出ている。
 まず現在執行中の国防計画から見てみよう。

◆10年ぶりに小型核兵器の研究を開始

ブッシュ米大統領は昨年11月24日、小型核兵器の研究・開発を禁じた「スプラット・ファース条項」を廃止し、小型核兵器(5キロトン以下)の研究の道を開く04年(03年10月〜04年9月)国防権限法案(国防予算案)に署名した。
 10年前の1994年国防権限法案(予算案)成立に際し、「低位力(5キロトン以下)の核兵器の研究・開発の禁止」条項が盛り込まれたが、提案議員の名をとって「スプラット・ファース条項」と呼ばれてきた。
だがブッシュ政権が登場してから、この条項の廃止を求める声が強くなり、昨年3月にこの条項廃止案が議会に提案され、(1)5キロトン以下の核兵器の研究段階を超えて、開発してはならない。(2)開発するときは議会の許可を得る、との条件付きで5月21日に米上院で可決された。
こうして小型核兵器の研究再開準備が整うなかで、8月にはラムズフェルド国防長官の招集による「核兵器管理会議」が開催された。内容は公式には明らかにされていないが、伝えられるところでは従来より小型の核兵器、強力な地中貫通型兵器、中性子爆弾、核実験再開問題などが検討されたという。

◆ラムズフェルド国防長官の危険な意図

さらに軍事技術政策についての国防総省の諮問機関「国防科学委員会」が、「米国の核弾頭の性能の維持・管理プログラムは、従来型の核兵器の性能維持が中心で、将来の国家安全保障の必要性から見て適切でない」として「命中精度や地中貫通力が高い核兵器」「電子機器を破壊する電磁波や中性子を高出力で発生する能力をもつ核兵器」が将来求められる。しかもそれは、製造や維持が容易なものでなければならない、との報告書を昨年末にまとめていたことも明らかとなった(毎日新聞他)。
国防科学委員会は軍需産業や軍関係者で構成されていて、委員長は、ラムズフェルド国防長官の側近、ウィリアム・シュナイター氏である。8月の核兵器管理会議、国防科学委員会の報告書などを通して、ブッシュ政権というより、ラムズフェルド国防長官が構想を作り上げ、ブッシュ大統領が、問題の所在を理解してか、理解しないままでか、政策を推進していく構図が浮かび上がってくる。

◆冷戦時代の国防予算に近づいてきた

04年の国防予算総額は4,010億ドル(約44兆円)で、このうち核兵器関連は62億7,000万ドル、小型核兵器の研究に600万ドル(うち400万ドルは政府が核兵器の削減計画の報告を、議会に提出することが条件)、強力地中貫通型核兵器の研究に750万ドル、核実験再開に必要な期間の短縮(これまでの24ヵ月〜36ヵ月を18ヵ月へ短縮)に2490万ドル、最新型ピット(核兵器の芯、プルトニウムを使った核兵器の引き金)製造施設の設計に108万ドルなどとなっている。
私たちは使える兵器の開発を絶対に許してはならない。

(W)