出版物原水禁ニュース
2004.04号 

ブッシュ政権・過去最大赤字のなかの軍拡路線
04年度05年度国防予算案をみる(2)

ミサイル防衛の実戦配備05年末までにアラスカなどに

◆10年ぶりに小型核兵器の研究再開

昨年11月、ブッシュ米大統領は10年間禁じられていた小型核兵器の研究・開発を禁じた条項を廃止し、5キロトン以下の小型核の研究に道をひらく04年度(03年10月〜04年9月)国防予算案に署名した。
国防予算総額は4,010億ドル(約44兆円)で、このうち核兵器関連は62億7,000万ドル、小型核兵器などの研究などに600万ドル(うち400万ドルは政府が核兵器の削減計画の報告を、議会に提出することが条件)、強力地中貫通型核兵器の研究に750万ドル、核実験再開に必要な期間の短縮(これまでの24ヵ月〜36ヵ月を18ヵ月へ短縮)に249万ドル、最新型ピット(核兵器の芯、プルトニウムを使った核兵器の引き金)製造施設の設計に108万ドルなどとなっていること。さらに今年2月初め、米大統領の予算教書に合わせてエネルギー省(核兵器の開発・生産・管理を担当)が、総額243億ドル(2兆5,600億円)を05年会計度(今年10月〜05年9月)に要求する案を発表したと前号に書いた。

◆過去最大の赤字で、防衛費の大幅増

まずブッシュ政権が議会に提出した05会計年度(04年10月〜05年9月)の歳出総額は約2兆4,000億ドル(約253兆円)にものぼる。財政収支については04年度で5,210億ドル(約55兆700億円)もの過去最高の赤字となることも明らかにしたが、ブッシュ政権予算案の特徴は、国防予算案と国土安全保障関連予算案が大幅な伸びとなっていることが特徴だ。
国防総省発表の国防予算案は前年度比7%、264億ドル増・4,017億ドル(42兆4,300億円)で、エネルギー省・予算案は、前年度比4.4%増の243億ドルである。
このうち核兵器の開発・生産・管理を担当するエネルギー省・国家安全保障管理局(NNSA)の予算案は、前年度比4.4%増の90億ドル(約9,500億円)で、強力地中貫通型核兵器の研究・開発に2,755万ドル(約29億円)、核実験再開準備期間短縮のための予算に3,000万ドル(約31億6,000万円)、核弾頭の芯「ピット」の生産や機能確認費用に合計3億3,600万ドル(約355億円)、小型核兵器(5キロトン以下)の研究を含むプログラム(予算案の項目としては「先端概念イニシアチブ」)に900万ドル(約9億5,000万円)となっている。ただ小型核の研究にはOKだが、開発は議会の同意が必要との条件を、議会が04年度の予算案承認の条件としている。

◆ミサイル防衛もいよいよ配備段階へ

 一方、国防総省予算のうちミサイル防衛関連予算は、前年度比13%、12億ドル増の102億ドル(約1兆700億円)を要求。05年末までにアラスカとカリフォルニアに地上配備型の迎撃ミサイル(パトリオットとは別)20基の配備、イージス艦配備の海上配備型の迎撃ミサイルを最大で10基配備する計画である。
さらに宇宙配備型迎撃兵器の技術開発・実験経費も盛り込まれている。これは国防総省ミサイル防衛局予算見積書の、海上配備型迎撃ミサイル発射台や燃料の改良経費など総額4700万ドル(約50億円)の中に含まれていて、国防総省スポークスマンは「内訳は分からない」と語っている(2月2日、共同)が、ブッシュ政権(というよりラムズフェルド国防長官と軍事産業)が宇宙への軍事的進出が少しずつ加速していることを示しているといえよう。

◆「核態勢の見直し」に沿った核軍事力強化

 米国防総省は2001年12月31日に「核態勢の見直し」(NPR=ニュークリア・ボスチャー・レビュー)を議会に提出し、02年1月9日に記者発表した。しかしこの日に発表したのは「序文」のみで、他の部分は機密だとして公表しなかった。
 その後、ロサンゼルスタイムス紙にその非公開部分が暴露され、またNGOのホームページに掲載されるなどして、ほぼその全容が明らかとなった。
 それは冷戦時代は戦略兵器の3本柱として、ICBM(大陸間弾道弾)、SLBM(潜水艦発射弾道弾)、戦略爆撃機だったが、新しい国防の3本柱は、(1)核および通常兵器の攻撃システム、(2)ミサイル防衛などの防衛システム、(3)新たな脅威への即応能力を高める防衛基盤の再活性化──などを提起しているが、基本的に核態勢は維持するというものであった。(「核態勢の見直し」は次号で解説)

(W)