出版物原水禁ニュース
2004.04号 

現在400個の核爆弾保有?

イスラエルの核兵器を告発しよう
年間40キロの兵器用プルトニウム

 イラク、イラン、リビア、そしてパキスタンなどイスラム圏の核兵器が問題になっている。しかしここまで来ればイスラエルの核兵器を問題にしないわけにいかない。
 イスラエルが核兵器を保有していると多くの人が信じているのに、国際社会では大きな問題になってこなかった。最大の軍事大国である米国が黙認している結果である。しかし2000年のNPT再検討会議で、イスラエルに対して名指しでNPTへの加盟を求める条項が書き加えられ、またイラン、リビアの核査察によって、核のブラックマーケットが明らかになって以降、国際原子力機関(IAEA)のエルバラダイ事務局長もイスラエルの核兵器を問題にする発言を行っている。

■400基もの核兵器を保有するイスラエル

2002年7月4日、国際問題専門の「ワールド・トリュビーン・ドットコム」は、米空軍の兵器拡散防止センターの支援を受けたワーナファー陸軍大佐が、「イスラエルはイラク、イランなどの核攻撃に備えて、報復攻撃のために核兵器搭載艦隊を創設している。67年当時13基と推定されていたイスラエルの核兵器が、原子爆弾と水素爆弾を含む400基に増えており、イスラエル海軍は3隻のドイツ製ドルフィン級ディーゼル潜水艦の艦隊に、これらの核兵器を搭載することができるとの報告書を作成した」と報じている(東亜日報)。
2000年当時、米科学者連盟(FAS)は公開された米偵察衛星などを分析し、兵器用プルトニウムの生産量は年間40キロ程度、地下の再処理工場が稼働しているなどから、核爆弾のプルトニウム量を5キロとして、100発前後が実戦配備可能と推測。これら核兵器は航空機搭載の核爆弾や、独自に開発した地対地ミサイル「ジェリコ」1、2に装着できるほか、戦術用の小型核兵器も保有との見解を明らかにした。

■48年の建国から核兵器開発が始まった

イスラエルの核開発は1948年5月14日の建国から始まる。初代大統領のワイツマンは著名な化学者であり、彼の指示を受け、イスラエルの化学者はネゲブ砂漠で産出するリン鉱石から低品位のウラン抽出に成功し、重水生産方法も確立した。
その後フランスと技術提携し、フランス最初の核実験にもイスラエルの科学者は参加したという。57年にフランスから天然ウラン重水型の研究炉IRR2の供与を受け、ネゲブ砂漠のディモナに設置した。IRR2は米国がサバンナリバーに建設している原爆用のプルトニウム生産炉とよく似た原子炉で、「プルトニウム生産に特に向いている」(60年12月20日、ニューヨーク・タイムス)と言われている。
IRR2はフランスとイスラエルの秘密裏の協定によって導入された。当初、米国はこの原子炉の建設を知らず、イスラエルに問い合わせたが、イスラエルが「繊維工場だ」と答えた話は有名である。その後ディモナの核施設は拡充され、再処理施設も建設されたが、これらの建設にはフランスのサンゴバン・テクニーク社が協力している(SIPRT 78年版)。
 イスラエルは、レーザーによるウラン濃縮技術も開発している可能性が高い。世界は遠心分離法による濃縮が主流で、米国や日本ではまだ開発中の技術である。

■高濃縮ウラン紛失にイスラエル関与?

 このほか米国・ペンシルバニア州のウラン濃縮工場・NUMECから93キロの高濃縮ウランが行方不明になった事件(60年代初め)、また欧州原子力共同体(ユートラム)の精製ウラン(イエローケーキ)200キロを積んだ貨物船がアントワープ港を出港してから行方不明になり、トルコで発見されたときには、ウランが消えていたという事件(77年)、各々にイスラエルが関与していたと言われている。
イスラエルはNPTに加盟しておらず、したがってIAEA(国際原子力機関)の査察も一切受けていない。ディモナの核施設の警戒は厳重を極めていて、73年の第3次中東戦争の際にはディモナ上空を誤って通過したイスラエル空軍のミラージュV型機が撃墜され、また73年に誤って進入したリビア旅客機がイスラエルの戦闘機に撃墜され、乗客108人が死亡している。

■告発のヴァヌヌが4月に出所

86年には、イスラエルの核兵器施設で働いていた原子力技術者・モルデカイ・ヴァヌヌが、イスラエルは高性能設計の200もの核弾頭用の物質を持っていると発表し、スパイ反逆罪で18年の刑が言い渡された。そのヴァヌヌも今年4月に出所する予定だ。私たちはヴァヌヌの出所に合わせて、イスラエルの核問題に国際社会の関心を集め、アラブの非核化を求めていきたい。


イスラエルの核・軍事、補足

イスラエルのレーザーによるウラン濃縮の方法は、金属ウランを蒸気化し、レーザー光照射でウラン235だけをイオン化して取り出すのである。
またイスラエルはレーザーを兵器として使用する技術でも進んでいる。02年11月5日、米陸軍はニューメキシコ州ホワイトサンズのミサイル訓練場で、携行式の戦術用高エネルギーレーザー光線兵器の実験で、飛行中の標的を破壊するのに成功したと発表している

(W)