出版物原水禁ニュース
2004.04号 

実情に合わない在外被爆者支援事業

自治体任せのヒバク確認作業
深刻な若年ヒバクシャ

 厚生労働省は、広島、長崎のヒバクシャで、外国で暮らす人たちへの援助として、「在外被爆者保険医療助成事業」概要案を作成した。

 厚生労働書は、在外ヒバクシャから訴えられた裁判で次々に敗訴しているにもかかわらず、海外居住ヒバクシャへの援護法適用を拒み続けている。しかし韓国やアメリカ、ブラジルのヒバクシャ協会からの訴えや要求、さらに日本国内の支援運動などによって、「在外被爆者渡日治療支援等事業の」の枠内で、「医療費助成事業」を行うことになった。

また事業の対象者に、被爆者健康手帳所持者に加えて、「被爆確認証」も含まれることになった。これは郭貴勲さん裁判の後、日本政府が「在外被爆者渡日治療等支援事業」の実施を発表したが、この事業の最大の問題は、「日本に来て被爆者健康手帳を取得しなければならない」というもので、老齢化が進み、病気や渡航費支払いの困難な人は来日できないという、ヒバクシャの実情にそぐわないものであったために、在外被爆者から強い批判が出ていたのを、ようやく海外でも被爆者であることを認定し、発行することにしたものである。
こうしてようやく04年度から海外居住の広島、長崎のヒバクシャに医療費助成が行われることになったが、問題は、「被爆確認証」の発行が、日本政府によってではなく、広島、長崎の自治体が海外へ出向いて作業することになっていて、財政難や、人員不足からほとんど進んでいないのが実態である。昨年11月末現在で、「被爆確認証」交付者はわずか19人にしかすぎない(04年度から、大阪府が手帳交付渡日事業に新たに参画)。

この人員不足は深刻で、広島、長崎で多くのヒバクシャの「被爆者健康手帳」交付の業務も大幅に遅れている。
(注)03年11月末現在(大韓赤十字社まとめ)
 広島県・81名、広島市・571名、
 長崎県・28名、長崎市・ 67名  総合計 747名

ところで問題なのは、在韓ヒバクシャの内、ヒバクシャ健康手帳の申請が出来ない人たちが400名以上もいることである。これらの人たちは、幼児のときにヒバクし、親と一緒に帰国、親とともに韓国原爆被害者協会に登録していたが、次々と親が亡くなり、自分のヒバクが証明できない「若年ヒバクシャ」である。大韓赤十字総裁も、これら若年ヒバクシャについては、証明なしでも健康手帳を交付すべきである、と訴えている。
在韓被爆者の支援活動に取り組んでいる「韓国の原爆被害者を救援する市民の会」は、昨年1年間、支援事業を地方自治体任せにすべきではない、「若年ヒバクシャ」にも手帳交付をと要求してきたが、厚生労働省は姿勢を変えようとしていない。また北朝鮮のヒバクシャも、国交がないことを理由に、何の支援もないのである。
今年4月中旬に、韓国、ブラジル、米国から改善を求めて日本にやってくる。原水禁としても、ともに強く国に働きかけていきたい。

【在外被爆者保険医療助成事業】

(W)