出版物原水禁ニュース
2004.05号 

原子力物語  核問題入門 第6回

ウラン核爆弾とプルトニウム核爆弾

★ミニニュークについて

 ニュース3月号で、ミニ・ニュークについて紹介しましたので、そのことをまず少し書きます。
 ミニ・ニュークについては二つの理解が混在しています。一つは、1973年にNATOの核計画グループが「ミニ・ニュークとは、TNT火薬50トン(0.05キロトン)に相当する爆発力とCEP(半径命中精度)1メートル程度の核分裂兵器」と定義した小型核兵器を意味し、どうも「放射線強化兵器」(中性子爆弾)ではないかと考えられますが、詳しいことははっきりしない。いま一つは、ブッシュ政権が昨年から研究再開を認めた5キロトン以下の戦術核爆弾を、ミニ・ニュークとする理解です。
戦術核兵器についての詳細が明らかになっていない現在、0.05キロトン(広島原爆は16キロトンだから、320分の1の爆発力)の核兵器と、1キロトン以上の核兵器を同じ概念で論じるのに、問題も感じますが、この戦術核兵器、ミニ・ニュークについては別に詳しく紹介しようと思います。

★ウランとプルトニウムの臨界量

 ところで核爆弾を理解するために、核爆弾に用いるウラン235、プルトニウム239の臨界量について考えてみましょう。
臨界量とは、一定量以上のウラン235やプルトニウム239を集めると、自発的に核分裂連鎖反応=核爆発する量です。現在明らかになっている量は、ウラン235を46.5キロ、プルトニウム239を10.1キロ集めると自発的に核爆発します。
 しかし爆弾の場合、金属ウラニウムをタンパー(濃縮しないウランなどを材料に、核分裂によって塊が急膨張するのを防ぎ、中性子反射体にもなる=図参照)で覆うと、100%濃縮されたウラン235の臨界質量は15キロ、プルトニウム239の場合は臨界質量5キロとなります。つまりそれだけの量があれば核爆弾の製造は可能と言うことです。これは1943年のマンハッタン・プロジェクト(米国の核兵器製造計画)に参加したロバート・サーバーによって明らかにされています。

インプロージョン(爆縮)式核爆弾の構造

★爆縮方式で臨界質量は大きく下げられる

 さらにウラン235もプルトニウム239も、インプロージョン(爆縮=内側に爆発させ、圧縮すること)によって、臨界質量を大幅に小さくすることができるのです。ただこの「爆縮」は大変困難な技術をともないます。小さな丸い塊に、圧縮が均等に行われる必要があるからです。
 広島に投下されたウラン原爆は、臨界未満のウラン235の塊にやはり臨界未満のウラン235を勢いよくぶつける「ガン式」という方法で爆発させました。
 長崎に投下されたプルトニウム爆弾は、爆縮方式が採用されました。
 ただ広島、長崎に投下された核爆弾のウランや、プルトニウムの量は、はっきりしているようで、実は、必ずしもはっきりしていないのです。これもいずれ詳しく書きます。

★現在の技術ではどれくらいの核物質が必要か

 ところでインプロージョン式で、最新の技術を使って、どれくらいのウランやプルトニウムがあれば核爆弾が作れるのでしょう。
94年8月に米・自然資源防衛評議会(NRDC)は、IAEAが核物質管理の基準にしている量をプルトニウムの場合、8キロから1キロに、高濃縮ウランを25キロから3キロに減らすことを求める書簡をIAEAと米エネルギー省に送ったと発表しました。
報道では核兵器専門家トーマス・コクラン博士らが、最新の技術を検討、核爆弾製造可能量を計算し直した結果、プルトニウム1キロで核爆弾製造が可能。多くの国が持つ中程度の技術でも、1.5キロで核爆弾が製造できることが明らかになったとのことです。高濃縮ウランも3キロで核爆弾が製造できるとの計算です。
しかしプルトニウム核爆弾について日本の原子炉物理学者は、2キロぐらいが限界ではないかと見ています。

(W)