出版物原水禁ニュース
2004.05号 

動き出したプルサーマル計画(1)

確認されていない安全性

なぜプルサーマル計画を急ぐのか?

 ほとんど頓挫したかに思われていたプルサーマル計画が、04年に入って一斉に動き出した。まず九州電力が、2年前倒しで玄海原発での実施を表明、ついで関西電力の高浜原発3,4号機でのプルサーマル計画再開を福井県が了承。ほとんど時を同じくして日本原電も敦賀原発でのプルサーマル計画実施を表明した。
プルサーマル計画=プルトニウム、ウランの混合燃料・MOXによる原発の運転計画は、1999年に、関西電力が英核燃公社(BNFL)に委託したMOX燃料のデータの偽造事件を引き金に、計画は挫折したかに見えた。しかし今年に入ってからの各電力会社のプルサーマル計画の推進には、どのような背景があるのだろうか?
 第1に各地の原発で、使用済み核燃料が満杯状態になり、発電所から運び出す必要に迫られている。そのためには再処理工場へ運び出すしか方法はない。しかし、再処理工場が建設されている青森県は、再処理で取り出したプルトニウムが、プルサーマルなどで確実に消費される保証を求めている。つまり、プルサーマルと再処理工場の運転は密接に関連しているのである。
 第2に日本は核武装しない保証として、余剰のプルトニウムを持たないことを国際的に約束していて、その約束のためにもプルトニウム消費のためにプルサーマルが必要というわけである。

資源リサイクルにならないプルサーマル

こうした政府・電力会社によるプルサーマル計画には大きな危険と問題が存在しているのだが、プルトニウムとウランを混合した燃料=MOXを軽水炉で燃やすことを、なぜプルサーマルと呼ぶのだろうか。
軽水炉の使用済み燃料の再処理によって回収したプルトニウムを、再び軽水炉の燃料としてリサイクル使用する技術を、プルトニウム・サーマル利用と言い、それを略してプルサーマルと呼んでいる。
しかしプルサーマルによっても、ウランの可採年数がほとんど延びないことは、すでに計画された97年頃に、住民団体との討論で、電力会社も認めている。私たちは資源リサイクル説に騙されてはいけない。

【1996年当時の電力11社のプルサーマル計画】
1999年 2000年 2000年代初頭 〜2010年
東京電力 福島T-3 柏崎刈羽3 1基 0〜1基
関西電力 高浜4 高浜3   大飯1〜2基
中部電力     1基  
九州電力     1基  
日本原子力発電     敦賀2+東海第二  
北海道電力       1基
東北電力       1基
北陸電力   1基
中国電力     1基
四国電力       1基
電源開発     1基
累 計 2基 4基 6基 16〜18基

余剰プルトニウムが減ることはない

プルサーマル計画の問題の第1は、プルトニウムを減らすためと言って、MOX燃料を燃やす結果、その炉心でプルトニウムが出来てしまうのである。MOX燃料集合体にはプルトニウム燃料は4分の1しか混入されていないため、残りの4分の3で、プルトニウムが作られていくのである。
またトラブル続きで操業の遅れている六ヶ所再処理工場は、2006年に運転開始の予定であるが、この工場の年間処理能力は800トンにもなっていて、大量のプルトニウムが分離される。プルトニウムが減ることはほとんどない。
第2は、MOX燃料に使うプルトニウムのための再処理によって、大変な環境汚染をもたらすことである。
とくに軽水炉の使用済み燃料の再処理によって取り出されるプルトニウムには、プルトニウム239の同位体として、プルトニウム238・240・241・242などが含まれていて、プルトニウム239の8倍〜10倍もの毒性を持つのである。

使用前も、使用後も危険の高いMOX燃料

このように危険なプルトニウムを原料として作られるMOX燃料は、軽水炉のウラン燃料と比較して、約40万倍も放射能が高い。つまりそれだけ、燃料製造過程における労働者ヒバクが心配されるのである。
プルサーマルによって出来る使用済み燃料をどうするのか?この処理の仕方は一切明らかになっていない。使用済みMOX燃料にはアメリシウムなどの超ウラン原子が含まれていて、放射能もまた桁違いに大きい。しかも使用済みMOX燃料は、100年後でも、使用済みウラン燃料(軽水炉の使用済み燃料)の10年後と同じ発熱量を持っている。つまり使用済みMOX燃料は、高放射能と高発熱で管理も大変なのである。

(W)