天然ウランには、燃える(核分裂する)ウラン235が0.72%と燃えない(核分裂しない)ウラン238が99.275%ある(この他もウラン234があるが、0.0054%しかないので、問題にしなくてもいい)。原子力発電所では、「燃えるウラン」を3%〜5%に濃縮して使う。
天然ウランから、ウラン235を濃縮して取り出した残りが劣化ウランで、比率は、ウラン238が99.8%、235が0.2%である。
ウランはアルファ線を放出する放射能を持つとともに、重金属としての化学的毒性も強い物質である。表は、天然ウランと劣化ウランのヒバク特性について、国際放射線防護委員会(ICRP)の設定値に基づいて京大原子炉実験所の小出裕章さんが作成したものです。
劣化ウランは放射能を含んでいるため、どこにでも捨てることの出来ない厄介者だ。しかし一方、劣化ウランは重くて硬い物質で、鉄の倍以上も比重が高く、これまで貫通できなかった戦車の装甲も、劣化ウラン弾なら貫通できる。使い道もなく、捨て場にも困る劣化ウランを兵器として使い捨てることが出来るのだから、使用する側からは、これほど安上がりの兵器はない。
これまで湾岸戦争で320トン、ボスニア・ヘルツェゴビナで3トン、コソボで10トンの劣化ウラン弾が使われ、2001年にはアフガニスタン侵攻ではで1000トン、2003年のイラク侵攻で2000トンの劣化ウラン弾が使われたと推定されている。表からみても、その危険性は理解できるであろう。
ただウランの放射線はアルファ線なので、透過力は弱く、紙1枚で放射線を遮断できる。吸い込んだり、飲み込んだりすることによって影響が出る。
だがこの劣化ウラン弾は命中した瞬間、高温で燃え、エアゾル化して空気中に拡散する。このため容易に人々に吸入されることになる。人が吸い込むと、肺や腎臓などに蓄積される。
湾岸戦争の際に多くの米兵やイラク兵が、米国の戦車や戦闘機が発射した何万発もの劣化ウラン弾の微粉末を吸い込んだ。米国では、原因不明の疾病を訴える1万51名の湾岸戦争退役兵士のうち、82%が、劣化ウラン弾で破壊された車両の中に入っていたと伝えられている。
1995年イラク政府(当時)の保険担当官が、子どもの間で、これまでほとんどなかったか、全く未知の病気が急増しているとの報告書を国連に提出した。白血病、ガン腫、肺ガンや消化器ガン、妊娠後期の流産、先天性疾患、無頭症胎児の出生が増加していると。
コソボ作戦で使われた劣化ウラン弾でも、「バルカン症候群」として問題になっている。今後アフガンやイラクでもさまざまな症状が発生する恐れがある。
ただイラクで子どもたちに多発している白血病などについて、科学的・疫学的な証明ははっきりしていない。おそらく疫学的な結論を得るには、何十年という年月が必要であろう。イラクの子どもたちの白血病やガンと劣化ウラン弾の因果関係に疑問を抱いている科学者もいる。しかし半減期45億年という放射性物質・ウランが大量にばらまかれているのだ。もし劣化ウランの微粉末が日本に大量にばらまかれたら、私たちはどう反応するだろう。
英国スコットランドのソルウェイ・ファース近くのダンドレンの英国防衛省演習場では、1983年以来、7000発の劣化ウラン弾が発射され、この演習場近くのコミュニティの児童の白血病発生率は英国で最高と伝えられるが、英国政府は因果関係を否定している。
イラクの子どもたちに多くの疾病が多発しているという現実がある以上、子どもたちに救援の手がさしのべられるのは当然である。
ウィリアム・ブルム著の「アメリカの国家犯罪全書」(益岡賢訳、作品社刊)によれば、1996年後半までに、米国防総省は、タイ、台湾、バーレーン、イスラエル、サウジアラビア、ギリシャ、韓国、トルコ、クウェートを初めとする多くの国に、劣化ウラン弾を売りつけたとある。
日本の自衛隊も、いつ購入するか分からない。劣化ウラン弾の製造・使用反対の運動を国際的に強めよう。
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1g摂取あたりの 実効線量 |
年摂取限度(ALI) | |||||
| 職業人 | 一般公衆 | |||||
| 吸入 | 経口 | 吸入 | 経口 | 吸入 | 経口 | |
| ミリシーベルト | ミリシーベルト | mg | g | mg | g | |
| 天然ウラン | 159 | 0.202 | 128 | 99 | 8.30 | 4.95 |
| 劣化ウラン | 87.4 | 0.115 | 229 | 174 | 11.4 | 8.71 |
(W)