出版物原水禁ニュース
2004.06号 

2005年NPT再検討会議を成果あるものに
NPT再検討会議準備委員会、ほとんど成果なく終了

原水禁・国際部

第三回NPT再検討会議準備委員会

 5年ごとに開かれているNPT再検討会議を来年に控え、第3回準備委員会が4月26日から5月7日まで、ニューヨークの国連本部で開かれました。
イスラエルは以前から核保有と見られており、インド・パキスタンが実質核保有国となったあとも、北朝鮮、イラン、リビアなど、次々と核拡散の疑惑が広がるという現実があります。一方、核保有国は核軍縮へのステップをなかなか踏み出そうとしていません。とくに米国は、「対抗核拡散」の方針を打ち出してはいますが、自らは小型核兵器の研究再開や、核実験準備時間の短縮を明らかにするなど、核軍縮・核廃絶へ背を向けた姿勢が目立ちます。まさにNPT体制が大きく揺らいでいるなかでの、準備委員会の開催でした。
多くの参加国がスピーチでカーン博士の名前を出して、次々と引き続く核拡散の危機を指摘しました。
2日目の米国のジョン・ボルトン国務次官のスピーチでは、北朝鮮、イランを名指しで非難しましたが、その直後に演説したイラン代表は、事前のペーパーにはなかった米国の単独行動主義非難に、かなりの時間を費やし、対立姿勢を鮮明にしました。NPT準備委員会でのNGOによるプレゼンテーション
2日目の午後は、委員会の日程の中にNGOによるプレゼンテーションが実現。伊藤長崎市長の演説ではじまり、ベルギーの上院議員、キエフの市長、ニューヨーク市議会の代理院内総務を含む、世界中から集まったNGO、市民代表17人がスピーチ、世界579都市が加盟している平和市長会議を代表して秋葉広島市長が、会議場席の後ろに座ったヒバクシャを紹介し、また被爆で変形したメガネを手にしながら2020年までという具体的な時間枠を提示して核廃絶を強く訴えました。

被爆で変形したメガネを手に訴える秋葉・広島市長

ほとんど成果なく終わった準備委員会

 一般討論では、新アジェンダ連合を代表してメキシコ、ニュージーランドが、非同盟諸国を代表してマレーシアなどが演説しました。また核保有国の各国や日本を含む多くの国が演説し、討論に参加しました。しかし残念ながら、この準備委員会の討論では成果はほとんどなかったと言えます。核軍縮や核不拡散についての実質的な合意は得られないまま、来年の再検討会議を開くことが、最低限合意されただけです。

 来年のNPT再検討会議での議題さえも決まりませんでした。新アジェンダ連合などは、2000年の再検討会議で採択した最終文書の「核軍縮をめぐる実際的な措置」を来年の会議の議題に含めるよう要求しましたが、そのなかに「CTBT(包括的核実験禁止条約)の早期発効」や「核廃絶への明確な約束」などの文言があるため、米国が強く反対し、英、仏も米国に同調しました。

米国内の平和運動は、ブッシュ再選阻止に重点

 現在のブッシュ政権下では、こうした状況は予想されていたことともいえます。米国の反核・平和団体は、今年の準備委員会への働きかけよりも、来年のNPT再検討会議の時に、米国がブッシュ政権下にあるという最悪の事態を防ぐ、つまり11月に行われる大統領選挙でブッシュを落とそう、という明確な目標に力を入れています。 国連の代表間の討論が成果なく終わった一方で、日本からのヒバクシャ、平和市長会議を代表する広島・長崎市長をはじめ、核廃絶を目標にニューヨークに集まった世界中のNGOは、アメリカでイラク反戦運動を中心的に担ってきたユナイテッド・フォー・ピース・アンド・ジャスティスなどとも連繋した集会などで存在感を示しました。アメリカでは折から、ファルージャの戦闘が報道され、イラク戦争の実態が市民の間で明らかになってきていました。

 NPT再検討会議へ向けて、世界のNGOは、具体的な戦略をまだ十分に立ててはいませんが、2005年を核廃絶に向けたターニング・ポイントにしようとの思いをもって、ニューヨークをあとにしました。