前回(原水禁ニュース2004年2月号)、原発のバックエンド事業に係るコスト試算が不完全ながらも明らかになったことを紹介しました。そして、その審議の結果は、バックエンド事業を考慮したとしても「他の電源との比較においてそん色はない」というものでした。しかし現在、バックエンド事業に対して経済的な措置を検討する委員会が行なわれています。なぜなら、この事業は長期にわたるものであり、費用が巨額で不確定性が大きく、発電と費用発生時期が大きく異なるから、というのです。政策に一貫性がなく、全く理解に苦しむ展開です。
現時点での状況を図に示します。まずは使用済燃料発生量のうち、約半分の約3.2万トンだけが対象であることが問題です。そして今回の検討によって、過去の発電分も徴収するようになりました。これは、審議会での議論で「昔食べたレストランの料金を、今になって払え、というようなもの」とさえ言われているものです。しかし、電力会社はこの点については開き直り、総括原価方式の下では政府が料金原価に含めることを認めていなかったため、費用計上したくても出来なかった、と述べています。これが本当かどうか確認は出来ません。ただ、確かなことは、この制度によって、電力会社は今後の電力自由化範囲拡大の中で、新規参入者(PPS)へ離れていく需要家からも、過去の原子力の負担を逃さずに得ることが出来るということです。
しかし、一世帯当たりの年間負担額を見ると、制度が変更して引当金対象が増えたにも関わらず、その負担額が計算上は減少していることが分かります。さらにMOX燃料加工や輸送・燃料をバックエンドの定義からはずそうという議論もあるため、さらに負担額は減ることになります。もちろんこれは見かけ上の話で、現実に負担が無くなる訳ではありません。反原発派や消費者の不満をうまくかわすつもりなのでしょうか。
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[兆円] |
現行制度 [銭/kWh] |
制度変更後[※1] [銭/kWh] |
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(1)現行引当金対象 |
7.5 |
34〜40[※2] |
13 |
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(2)現行拠出金対象 |
2.6 |
8 |
8[※3] |
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(3)新たな引当金の対象:将来分 |
3.1〜2.2 |
- |
5 |
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(4)新たな引当金の対象:既発電分 |
3.1〜1.9 |
- |
9〜13[※4] |
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(5)当期費用として整理するもの |
2.5〜4.6 |
- |
[※5] |
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合計 |
18.8兆円 |
42〜48 |
35〜39 |
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一世帯当たりの年間負担額 |
1,512〜1,728円 |
1,260〜1,404円 |
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| [※1] 規制対象分野の場合 [※2] 直近3〜7年の平均値 [※3] 2014年以降は5銭/kWh [※4] 15年間の措置。利息あり〜利息なしの場合。PPSの需要家はこの負担のみ [※5] 原則として費用発生時に当期費用時に当期費用となるため、別途料金原価に算入 ○額は回収範囲の平均値 ○制度変更後の有用物質は500万円/tで計算 ○将来にわたる一定の前提に基づく試算であり、実際の各社の料金原価算入とは一致しない。 |
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電力会社は自分の利益は確保しつつ、制度上の整備を求めようとしています。また経済産業省は、再処理事業の是非をめぐって多くの議論が行われているのを無視しつつ、結論をもうすぐ始まる原子力委員会の原子力長期計画見直し作業に預けようとしています。つまり原子力は今、袋小路に追い詰められてきているのです。