出版物原水禁ニュース
2004.09号 

平和を創る被爆二世の役割

神奈川高教組被爆二世教職員の会 藤井 光一郎

─ 日韓被爆二世シンポジウムを開催  

 分科会では、問題提起者として、全国被爆二世教職員の会会長の岸本伸三さんからの基調報告と、韓国側から李絃出さんからの報告を受けて、会場での討論と意見交換を行いました。

 岸本さんからは、昨年亡くなられた広島の被爆教師石田明さんとの出会いを紹介の後に、「広島・長崎が忘れ去られたとき、再び広島・長崎が繰り返される。戦争被害者に、国が補償をすること。一度戦争を起こすと、その後の補償金額を考えたとき、とても戦争など出来ないことはすぐにわかる。原爆被爆者、被爆二世が補償を求める運動が平和運動になる」と、戦後補償の重要性の指摘がありました。続けて、「過去に核兵器の使用が検討された。それを断念させたのは、被爆者の声。核保有国への訴えを原水禁が行ってきた。今後、核が使用されそうな地域は中東・アジア地域ではないか。そういう国々に原爆の実相を知らせる必要があり、実行してきた。そのときに、植民地支配をどうするのかという問題があった。核兵器廃絶へ向けて、アジアの人々と連携するには、共通する歴史認識が必要である」と、今後の運動へ向けての方向性の提起が示されました。

 韓国側の李鉉出(イ・ヒンチュル)さんからは、「韓国での平和運動は拡大している。87年の民主化以降、進歩陣営が躍進している。アメリカとの同盟が崩れている。北に対する拒否感が和らいでいる。反戦平和運動が、10年前までは社会運動になっていなかったが、今は違う。しかし、反核・反戦を訴えると、反政府的と映りやすい。今後はネットなどを利用した多様なプログラムを展開していかないと、大衆へ広がりにくい。核被害者の訴えを伝える必要がある。体験の共有のための多様なプログラムを展開したい」と、現在の韓国被爆二世の取り組みが紹介されました。

 会場から、「韓国の若い世代の人たちはどんな状況ですか」という質問に、李鉉出さんは、「日本での自衛隊、憲法の論議を聞いて、韓国の高校生は敏感になっている。未来に不安を感じて反戦・反核運動が活発になっている。歴史認識は、車の運転でいうなら、バックミラーにあたる。前に進むためには後ろを確認しないといけない。バックミラーを見ないで運転している車があると、危険でしょう」と、説明がありました。

 参加者からは、「東京に住んでいます。私は被爆二世です。高校まで進んだ息子が、突然死んでしまった。どうしていいかわからないまま時が過ぎてしまった。自分に何かできることがあればと思っていたとき、この集会のことを聞いて参加しました」といった発言や、長崎からの参加者から、「被爆者が亡くなってきている現実があり、体験を伝えることが、被爆二世の役割としてあると思う。原爆資料館でボランティアの説明を組織している。身近なところで仲間づくりをしていくことが平和を創っていくことにつながる」といった、実践活動を通しての今後の展望や、広島からの参加者から、「実相を伝えるというのは、親の姿をそのまま伝えることだと思う。若い人を連れて、慰霊碑めぐりをしている。身近な人たちに知ってもらうことが大事」という発言がありました。

 反核・平和運動を展開する上で、戦後補償を要求する運動、アジアの人々と歴史認識の共有、被爆体験を伝えること、身近のところで仲間づくりから始めること、など、今後の被爆二世の取り組む課題について、議論が深まりました。