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2004.09号 

被爆二世の命と健康を守るために

長崎県被爆二世の会会長 丸尾 育朗

─ 日韓被爆二世シンポジウムを開催  

 放射線影響研究所の鈴木さんより、被爆二世健康影響調査について、父母の被爆により突然変異や細胞死がどう出るのか、被爆の遺伝的影響について調査を行うもので、小動物についての影響は確認されていますが、人については、確認されておらず、推測から実証への段階であること。染色体異常は有意の差はなく、今回は、多因子・生活習慣病のみについての調査を行っている旨の報告を受け、論議に入りました。

西本守全国二世協副会長からは、二世運動の歴史について発言があり、1972年労働組合や被爆者団体が、二世問題連絡会議を発足させ、論議を行っていましたが、1973年広島で全国初の被爆二世の会が発足した経過が語られました。

当時は、被爆二世が白血病で亡くなるということが続いていたため、二世問題がクローズアップされた時期です。73年8月より広島市では、被爆二世の無料健診を始めました。さまざまな論議を経て、76年二世の実態調査のため、被爆二世アンケート調査を実施、77年報告集会で報告。78年全国被爆二世協を結成し、統一要求を国に提出しました。

80年に初めて国による被爆二世健康診断が始まりました。その基本になるものは、調査研究だけでは差別を拡大するだけであり、モルモット扱いの調査には反対という立場で受診に応じましたが、健診結果の具体的報告はまったくありませんでした。

実態調査をせよ、全体調査をせよ、という要求に対し、たったの一度も実施しませんでした。今回の二世調査も、国が進んで積極的に行っているものではありません。

広島独自の健康診断などの中で、後追い的にやっと実施されることになりました。

韓国の李太宰(イ・テジェ)さんより、研究が始まったこと、二世健康診断が行われている日本の現状について、うらやましいと思う一方、韓国でも実態調査が必要と思っていたが、今年韓国の政府組織の一つ「人権委員会」が被爆二世の実態調査を命令したとの報告がありました。韓国では登録された被爆者は2,200人程度、実数は12,000人はいること。3,000万ウォン(300万円)の予算でどれだけの調査が出来るか不安であること。差別と病気の悪循環で苦しむ韓国の被爆二世にとっては、実態調査とともに、医療経済の支援を含めた、被爆二世の救援を視野に入れた運動の必要性が強調されました。

大阪の宮地さんからは、25年間要求してきたことが今ようやく進んでいる。しかし、戦後補償、歴史認識が問題解決にとって不可欠なもの。単なる調査でなく国家補償に基づくという基本姿勢で行政の恣意を排しながらやっていくべきという発言で分科会を締めくくりました。