出版物原水禁ニュース
2004.10号 

対談:ケビン・マーティン(アメリカ・ピース・アクション)、福山真劫(原水禁事務局長)

核実験の再開、NPTを崩壊させない運動がいま必要

◆11月大統領選挙の重要さ

福山: ケビン・マーティンさんには2年前の大会でお会いし、2003年2月15日の50万人が集まったニューヨークの反戦集会でもお会いしました。今回また世界大会でお会いできて大変喜んでいます。

マーティン: 世界中の1200万人もの人々がブッシュにNO! と言ったあの日を、原水禁のみなさんと共有できました。私たちは平和に向かって行動と思いを共有しているといえます。今また原水禁のみなさんにお会いできて、うれしい気持ちで一杯です。

福山: ピースアクションにとって、現在の最大の課題は何でしょう?

マーティン: なんといっても11月の大統領選で政権交代を実現することです。私たちアメリカ人は、世界に対する責任も理解しなければなりません。そして明るいニュースも出ています。労働組合や、環境保護団体、女性団体、人権団体、平和団体などさまざまな団体が、何千万人もの有権者に情報を与え、選挙登録をしてもらい、政権交代実現のために動員しようとしています。

 念のために言っておきますが、私たちの団体はケリー候補支持を表明していません。イラク戦争突入の前に彼が上院で戦争賛成案に票を投じたことに、現在でも平和運動家たちは憤慨しています。しかし私たちはブッシュ大統領に対して「不支持表明」をしています。つまり私たちはブッシュの敗戦を呼びかけたのです。私たちはまた超党派の草の根的「平和投票2004年」というキャンペーンを行っています。

福山: アメリカでブッシュ政権が変わることは、日本の政治や平和運動だけでなく、世界にも大きな影響を与えますね。小泉首相は大量破壊兵器がイラクに存在するか否かの検証を、最初から放棄して、ただブッシュの求めるままに、アメリカのイラク侵攻を支持し、自衛隊をイラクへ派遣しました。日本のマスコミの多くも、アメリカほどではありませんが、自衛隊派兵に賛成の立場をとりました。

ただ破壊と混乱の中に投げ込まれたイラクの人々の生活が落ち着くには、長い時間が必要だと思いますし、それを考えると胸が痛みますが。

◆ケリー、ブッシュ両政権に対応するシナリオを

マーティン: 私たちはクリントンが大統領に選ばれたときの失敗を繰り返さないようにと考えています。そのため、ケリー政権誕生の場合のシナリオ、ブッシュ政権が継続する場合のシナリオを考えています。

 クリントン大統領の誕生は、レーガン、ブッシュ(シニア)と12年も続いた長い暗黒時代と比べて、もう平和問題で心配する必要はないと、活動家の多くは安心してしまったのです。全国組織から地方組織に至るまで、ほとんどの平和団体では会員数が激減しました。しかしクリントンの平和・軍縮問題では、私たちは失望の連続でした。

福山: ブッシュ大統領が再選された場合、核実験が再開される心配があります。

マーティン: 原子力潜水艦のトライデントミサイルの核弾頭に、設計上のミスが見つかったとの声が核兵器研究所から出ていて、核実験再開が心配されています。

 2006年は中間選挙がありますから、核実験再開には大きな抗議運動が起こることを考えると、2005年に再開される可能性があります。あるいはCTBT(包括的核実験禁止協定)への署名を撤回する可能性もあります。しかしこうしたブッシュ政権の行為は、NPTの終えんを告げるきっかけとなる恐れがあります。

福山: ブッシュ政権は2000年に約束した「核廃絶への明確な約束」を反故にしようとしています。NPTには多くの欠陥がありますが、NPTを崩壊させてはならないと考えています。そのために来年のNPT再検討会議には、原水禁も代表団を派遣して、ピースアクションの人たちや世界の運動との交流を希望しています。

マーティン: 私たちもこの会議に向けて大きな運動を考えています。日米の運動協力がいまほど大事なときはありません。アメリカでもぜひ皆さんと交流しましょう(ケビン・マーティン氏の国際会議・スピーチ原稿にはケリー、ブッシュそれぞれが大統領に当選した場合のシナリオが述べられています。9ページに掲載しています)。