出版物原水禁ニュース
2004.10号 

「帝国」の平和運動活動家と市民がなさねばならぬことは?(1)

ピース・アクション事務局長 ケビン・マーティン

◆覇権国家・アメリカを変えるために

米国は揺るぎない世界の覇権帝国となり、世界を米国にとって軍事的、経済的、政治的に有利となるように作り変えるという意向を、権力者たちは明確に表明してきました。これは恐るべきことです。

 まず私たちアメリカ人は、今年の大統領選挙で変化をもたらすことが、世界に対する責任だということを理解しなくてはなりません。

そしてかつてない程の努力が、多くの平和団体や女性団体などの草の根運動によって、有権者に情報を与え、米国における"政権交代"の実現のために動員されています。民主党の大統領候補ジョン・ケリー氏にはこうした運動のバックアップを得る資格はないのですが、結果として、彼にとってはプラスになるでしょう。もしも彼が当選すれば、この革新的な草の根運動の力こそが勝利の要因だったといえるでしょう。

私たちの団体はケリー候補がイラク戦争に賛成票を投じたことを許せないと考えていて、彼への支持表明をしていませんが、同時に私たちの団体の「政治行動委員会」はブッシュ大統領への“不支持表明”をしています。

1992年、ビル・クリントンが大統領に選ばれた時、活動家の多くは安心してしまい、平和団体の会員は激減し、平和団体の持つ政治的影響力も弱まってしまいました。クリントン政権は8年間、米国の軍事機構の解体のためには何もしなかったのです。もしケリー候補が次期大統領となった場合、同じような平和活動の衰退は防がなくてはなりません。

もちろんケリーが大統領になれば、核軍縮問題に関して絶好の機会が訪れるでしょう。ただ会員や活動家たちが、クリントン時代のように活動が必要ないと考えてしまっては元も子もありません。また逆に、ブッシュが再選され、私たちの団体メンバーが希望を捨ててしまっても同様です。平和・軍縮団体は、市民の継続的な支持がどうしても必要だということ、私たちの前にあるチャンスや脅威について描いて見せなければなりません。

ここでケリー、ブッシュ、どちらが大統領の座に就くことになるかによって異なってくる私たちの課題についてお話ししてみたいと思います。

◆シナリオ・1── ケリー政権の誕生の場合

もしケリー候補が当選すれば、平和・軍縮運動の側には、核実験や「使える核」の開発計画に反対し、不拡散体制の強化を唱道する彼の立場を支持する用意が必要です。同時に、ミサイル防衛に対する考えを明白にし、かつ改善していくよう強く求めなくてはなりません。

来年5月に開催される核拡散防止条約(NPT)再検討会議が、ケリー政権にとって、これらの方針を堅持し、米国は法の下における国際社会に返り咲く準備があることを公に宣言するする重要な機会となるでしょう。

NPT再検討会議は、通常、一般の支持を築き上げるのは難しいのですが、来年の会議は異なったものになる可能性があります。新政権が、世界にその姿勢を力強く表明する後押しを、米国の草の根運動が担うことになり得るのです。

議会で優先されるべき事項は、次の通りです。

以上のことは、必ずしも簡単ではないはずです。そして、おそらくこれらのほとんど、あるいはすべての措置に関して、議会で強い反対にあうと考えておくべきでしょう。私たちは、警戒を怠らず、ケリー政権がその約束を守り、これらを国家安全保障問題の最優先事項にするよう強く求めていく必要があるのです。

※この原稿は、国際会議でのスピーチのため用意されたものですが、マーティン氏の到着が遅れ、発表できなかったため、編集部で要約して掲載しています(次号につづく)。