出版物原水禁ニュース
2004.10号 

美浜原発事故は防げた

安全性無視は体質的なもの

防げた関電事故と電力会社の隠ぺい体質

8月9日、午後3時半頃、関西電力・美浜原発3号機(加圧水型軽水炉、出力82.6万キロワット)が2次系配管破損事故を起こし、5名死亡6人重軽傷という日本の原発史上最悪の事態を引き起こしました。しかし今回の事故は安全対策さえ十分にやっていれば防げた事故です。関電の管理体制のずさんさというより、安全を後回しにした体質による犠牲というべきです。

 1970年11月28日、関電は最初の原発、美浜原発1号機の運転を開始しますが、73年3月に燃料棒折損の大事故を起こします。しかし関電はこの事故を徹底して隠ぺいしようとし、事故が明らかになったのは76年末です。動燃事業団(現・核燃サイクル機構)が建設を進めていた高速増殖炉「もんじゅ」も、95年12月8日にナトリウム漏れ火災事故を発生させますが、動燃は当初事故の実態を隠し続けました。

 98〜01年にかけては、関電が高浜原発1号機で進めようとしているプルサーマルの燃料ペレットを、英国のBNFL社に発注し、その品質検査に不正が判明したにも関わらず、否定し続けました。国会での追及で否定しきれなくなってようやくその事実を認めました。

 02年には、東京電力・福島第1、第2の原発シュラウド(炉心隔壁)のヒビ割れ隠しの発覚に端を発し、中部電力、東北電力、日本原電、中国電力でも事故隠しが発覚。東京電力は全原発の運転停止に追い込まれたことは私たちにも生々しい記憶です。今回の事故に関連しても、関電は他原発の点検漏れを隠そうとしました。電力会社は、原子力発電について十分な知識を持っていないのに、原発については分かっているというおごりがあり、こうした姿勢の上に、利用者無視と経済性最優先があるのです。またこのような姿勢を容認してきた国・保安院は、電力会社を監視する責任をまったく果たしておらず、国にも事故の責任を問わなければなりません。

外国の事故の教訓から何も学んでいない

 今回、直径55センチの2次系配管の減肉部分がめくれるように破損し、そこから140度の蒸気が噴出したのですが、この二次系配管破損事故は、86年に米・サリー原発で発生しています。このときは配管腐食が原因で、45センチの配管が一気に破断し作業員4人が死亡しました。

美浜原発3号機蒸気漏れ個所

このサリー原発事故以来、2次系配管でも十分な点検が求められるようになりましたが、関電はこの事故の教訓からほとんどなにも学んでいないといえます。

破損した配管には水の流量を測定する「オリフィス」と呼ばれる装置が挟み込まれていて、「オリフィス」の下流で発生する渦や気泡(キャピテーション)によって、減肉が起こったと推定されています。このキャピテーション現象の危険は関電も認識していましたが、この検査は一切、下請け会社「日本アーム」任せきりだったのです。関電自身が、点検漏れがないかなどの調査はまったく行っていません。

関電のマニュアルにも違反!!なぜ?

関電は90年5月「原子力設備2次系配管肉厚の管理指針」を策定し、未点検の配管個所は計算式で肉厚の寿命を計算し、残り寿命が2年以下になるまでに検査し、交換すると定めています。指針の計算式を当てはめると、配管の厚さは13年前に4.7ミリを下回って寿命切れとなり、その2年前の89年には配管の交換が必要だったことが明らかとなっています。

さらに日本アームから、昨年11月に点検漏れを指摘されながら、指針に基づいた寿命の計算もしていないのです。こうした関電の無責任な対応によって、5人もの死者を出したのです。社長ら幹部も含めて、法的に厳しく罰せられるのは当然といえます。

電力会社の経済優先主義

 当初、原発の定期検査は10ヵ月運転毎に行われていました。しかし現在は13ヵ月運転の後に行われるようになり、さらに18ヵ月運転にまで延長しようと、電気事業連合会(電事連)は国に働きかけています。さらにその定検も、以前は数ヵ月かけて行われていましたが、現在では40〜50日で終わらせるようにしています。今回の事故は、原発運転の基本的な問題はなにかを示しています。これが改善されない限り、事故は繰り返されます。