出版物原水禁ニュース
2005.1号 

京都議定書がいよいよ2005年2月に発効

 ─求められる温暖化対策の本格実施─

気候ネットワーク 平田仁子 

ロシアの批准を受け、京都議定書の発効が決定

 京都議定書は、1997年12月の採択から今日までの7年間、必要な国々の批准がそろわず、発効がたなざらしにされてきました。ここ数年来発効の鍵を握っていたのは、「先進国の90年排出量の55%以上の国が批准」という条件を満たすのに不可欠なロシアでした。これまでロシアの動向は右往左往してきましたが、WTO加盟についてEUとの合意を引き出したことを理由に、2004年11月に、突如として京都議定書の手続きを終えました。ロシアの批准は、温暖化問題を真剣に捉えたものとは言いがたいものがありますが、これにより、待ち望まれていた京都議定書の発効が2005年2月16日に実現することとなりました。
日本は2002年に京都議定書の批准を済ませており、6%削減目標を既に受け入れていますが、今回の発効を受け、これが国際的に守らなければならない法的拘束力のある義務となりました。日本にとっても発効は重い意味を持ちます。

日本の対策は足踏み状態、本格実施が必須

 国内の温暖化対策に目を転じると、まるで京都議定書の発効の遅れに合わせて眠っていたかのようです。環境省発表の暫定値によると、2003年度の日本の温室効果ガス排出量は基準年比で8%増加しており、マイナス6%の目標からは14%分もの開きがあります。議定書の目標期間は2008〜12年と直前に迫りつつあり、日本の目標遵守は深刻な事態に直面しかけています。
政府は何とかせねばと、諸外国からクレジットを購入する仕組みなどの本格利用を検討し始めています。しかしながら、そのような間に合わせで削減分をやりくりしようとするのではなく、その先に求められるさらに大きな削減に向けて、温暖化防止型社会を実現するために国内の社会システムの転換を実行に移す必要があるといえます。

危うい今年度の温暖化対策の評価・見直し

 2004年度は、政府の「地球温暖化対策推進大綱」に基づき、温暖化対策と政策措置全般の評価・見直しが行われています。京都議定書の遵守という重い責務を背負っている中、排出増加が止まらない実情を前にしては、当然のことながら、相当の対策強化が打ち出されるべきところです。しかし、このような緊急事態になっても対策の基本路線はこれまでと変わらず、一部の法改正による対策強化が図られる程度に収まりそうです。
また、社会経済システム転換として重要視されていた炭素税(環境税)も、今年の税制改正調査会においては先送りが決められました。もはや待ったなしの温暖化対策であるにも関わらず、政府の動きはきわめて鈍くなっています。

発効をテコに、市民・地域から行動を

 このままでいけば、日本は今後も国内での排出を増加させながら、税金を利用して諸外国から足りない排出枠を購入してかろうじて目標遵守の名目だけを保つこともありえます。そのような形での京都議定書の目標達成は、日本社会を環境保全型に変えていくことにとって何のプラスにならないばかりか、温暖化対策を進める技術開発や社会インフラの整備で他国に遅れをとるだけです。炭素税をはじめとした新しい政策の導入や既存の政策の転換には、既得権益を有する一部勢力からの抵抗や反対がつきものですが、それを乗り越え、今こそ先見性を持って本格的な温暖化対策を実施するべきです。

 京都議定書は、世界が温暖化対策に具体的に取り組むことを決めた最初の国際的な枠組みです。この重みを直視し、今こそ抜本的な政策導入を求める機運を市民の側から高めていく必要があります。気候ネットワークでは、毎年12月に開催している「市民が進める温暖化防止2004」を本年も開催し、炭素税の分科会ではあふれるほどの人が参加し、市民の関心は年々高まっています。この動きを実現につなげていくためには、私たちにもさらなる行動が求められています。