出版物原水禁ニュース
2005.1号 

ブッシュ再選とその危険性

力の政策から抜け出せないブッシュ政権

 04年11月の米大統領選挙はブッシュ大統領の再選という結果になり、世界を大きく落胆させました。
しかしブッシュ大統領が米国でかなりの差をつけて再選されたといっても、世界がブッシュを支持しているわけでもなく、また抱えている課題が簡単に解決されるわけでもありません。
2期目のブッシュ政権では、パウエル国務長官が辞任し後任にライス安全保障担当補佐官が就任しました。一方退任が噂されていたラムズフェルド国防長官は留任が決まりました。ライス新国務長官についての評価はまだ固まっていませんが、政策がタカ派寄りになることは避けられそうもありません。
ブッシュ政権が直面している課題は、第1にイラク問題であり、第2に北朝鮮問題であることはいうまでもありません。そのほかイラン問題も大きな課題だったのですが、11月のIAEA理事会での動きを見ていますと、とにかくイラク問題最優先のために、とりあえず静観という姿勢と考えられます。
1月末に予定されているイラクの総選挙を無事迎えることが最優先課題で、そのあとは多くの国による復興支援を求めたいというのが、米国の希望でしょう。しかしイラク問題では、米欧間にイスラム社会にどう対応するかという、根本的な理解の差が存在しており、協力のあり方をめぐって今後とも対立は避けられないでしょう。
北朝鮮問題については11月末米国による3つの動きがありました。1つは、02年10月の米朝高官会談で米国が、北朝鮮が核放棄を前提に国交樹立などの提案内容を明らかにしたこと(提案自体は北朝鮮が拒否)。2つ目は北朝鮮に軽水炉を建設するというKEDOの1年延長と1年後までに北朝鮮が核放棄を実行していなければ、KEDOを解散するという、米日韓の合意。3つめがニューヨークで開催された米シンクタンク主催の非公式会合に、北朝鮮外務省の李根・米州局副局長のビザが発給されなかったことです。これはライス国務長官の北朝鮮政策見直しが完了するまで、米朝間の個別接触を制限する方針によると報道されました。
こう見てくると、北朝鮮についても一層強硬姿勢をとるかに思われますが、そのようなタカ派的姿勢では問題は全く解決しません。ブッシュ政権が何らかの打開を求め、これまでの米日韓の立場を変えてくる可能性も否定できません。

新たなロシアとの軍拡の危険

ところで現在、米国の軍事力に対抗できる国はロシアしか存在しません。そのロシアも財政的困難のなかで通常兵器の強化が進められず、核兵器に頼らざるを得ないのが現状です。しかし核兵器については冷戦時代の蓄積があり、新しい核兵器の開発が可能です。
04年11月17日、プーチン・ロシア大統領は軍幹部との会合で「核戦力の近代化」構想を表明し、数年以内に新型核戦力を実戦配備すると言明しました。そして事実、大陸間弾道弾・SS27や戦略原潜発射弾道弾・SLBMの発射実験を成功させています。
 こうしたロシアの戦力的強大化は許したくない。世界の覇権をめざす米国としては、ロシアの弱体化・孤立は大きな目標です。ウクライナの大統領選挙をめぐる混乱は、米国のロシア孤立政策の一環としてとらえる必要があります。
ヨーロッパや米国・共和党の選挙監視団体が「選挙不正があった」と発表し、ウクライナ最高裁は大統領選の再選挙を決めました。しかし政府系でない独立系の人権団体が派遣した選挙監視団は「ウクライナ政府が選挙不正を行った兆候はない」と発表しています(「田中宇の国際ニュース解説」04.11.30)。
ロシア・プーチン大統領は独裁色を強めています。このためウクライナのヨーロッパ化はヨーロッパから支持されていますが、ウクライナ大統領選で親ヨーロッパ派を勝利させるのは、早くからの米国の戦略だったのです。

太平洋における米軍再編と10+3

現在進行中の太平洋の米軍のトランスフォーメーション(再編)は、こうした戦略と関連しているのは言うまでもありません。ロシアとともに中国も米国のターゲットなのです。
ところで04年11月末、ラオスで開催されたASEAN+日中韓(10+3)首脳会談は、来年に東アジアサミットを開催し、長期的には東アジア共同体を建設していくことに合意しました。この構想は、米国の覇権政策の対極にあるといえます。米国は早速、この東アジア共同体に不安といらだちを表明していますが、北朝鮮の核問題は、こうした東アジア共同体の流れの中で解決するしか道はないといえます。この問題については改めて紹介します。

(W)