出版物原水禁ニュース
2005.1号 

もんじゅを廃炉へ!全国集会

 ─私たちは美浜事故を許さない─

12月5日〜6日  敦賀市 

最高裁、国の上告を受理

 12月3日、最高裁は国が上告していた「もんじゅ」判決について受理する決定を行いました。
高速増殖炉「もんじゅ」訴訟は、建設が着工された1985年に動燃(現・核燃料サイクル開発機構)に対する建設・運転差し止めの民事訴訟と、国に対する設置許可処分の無効確認訴訟の併合訴訟として提訴されました。
しかし、87年福井地裁は強制訴訟を分離・結審し、「原告適格」を認めず、訴えを却下しました。このため原告適格を求めて最高裁まで争い、原告全員の適格が認められましたが、すでに提訴より7年が経っていました。
2000年3月22日に福井地裁は民事、行政訴訟とも原告敗訴の判決を出しました。直ちに原告が控訴し、03年1月27日に名古屋高裁・金沢支部は「国の設置許可処分を無効とする」判決を出し、原告が勝訴しました。この原告勝訴は、これまで多くの原発裁判が提訴され、すべて原告が敗訴する中で、最初の勝訴でした。国は最高裁に「上告受理の申し立て」を行い、12月3日の上告受理の決定となったのです。口頭弁論は05年3月17日に行われます。

2003年1月高裁判決のポイント

 もんじゅ訴訟の高裁判決はじつに分かりやすい判決です。その中心になっているのは「伊方原発訴訟」の最高裁判決です。
 そこには「原子炉設置許可処分の取り消し訴訟では、現在の科学技術水準に照らし、原子炉の設置の調査・安全性審議において、不合理な点がある。あるいは判断に見逃せない間違い、欠落がある場合は、設置許可処分は違法とすべきである」と明確に書かれているのです。
 そして高裁判決では「原子炉設置許可処分については、原子炉の潜在的危険性の重大さの故に特段の事情があるものとして、その無効要件は、違法(瑕疵)の重大性をもって足り、明白性の要件は不要と解すべきである」と述べています。

つまり国が「もんじゅ」建設の申請をした時点で、客観的な誤りがあったとする「明白性」は必要でない。現在の科学技術水準に照らして、明らかに見過ごせない過ちがあるか、ないかだけを判断すれば良いとしているのです。
 これは科学裁判では当然のことで、行政が許可した時点では問題ないとされていても、5年、10年後には大きな害を住民に与えることが明らかになることはあるわけで、許可当時の科学的な間違いを証明する「明白性」を問題にすれば、裁判は起こせなくなります。この明白性は、国の上告理由の一つとなっています。
 さらに高裁判決は「原子炉格納容器内に閉じこめられている放射性物質が、周辺の環境に放出されるような事態発生の防止、抑制、安全保護対策に関する事項の安全審査に、不備や誤認があり、その結果、放射性物質の環境へ放散する事態発生の具体的危険が否定できないときは、安全審査の根幹を揺るがすもので、設置許可処分を無効とする、重大な違法があるというべきである」と述べています。

問題となった安全性

 高裁判決は、国の審査は次の3点について誤りがあったとしています。それは

  1. ナトリウム漏れ事故に対する評価の誤り、
  2. 蒸気発生器の事故についての評価の誤り、
  3. 炉心崩壊についての評価の誤り──です。

 最高裁がどのような判断を下すのか、判決は05年6月頃と推定されています。日本がプルトニウム社会から決別する、一つのきっかけになるのか、大きな選択の日となります。

〈課題別討論集会12月4日・敦賀市勤労福祉センター〉
国はなぜ再処理とプルトニウムにこだわるのか

もんじゅを廃炉へ!全国集会 04年の「もんじゅ全国集会」は、12月4日に課題別討論集会、5日に全国集会を開催しました。
4日の課題別会議のテーマは

  1. もんじゅと原子力政策=報告・伴英幸さん(原子力資料情報室)、小木曽美和子さん(もんじゅ訴訟原告団事務局長)
  2. 再処理とプルサーマル=報告・小山英之さん(美浜・大飯・高浜原発に反対する会)、井上浩さん(青森県)、
  3. 「美浜事故と原発老朽化=報告・松下照幸さん(福井県)、武本和幸さん(新潟県)、
  4. 使用済み中間貯蔵と核廃棄物処分=報告・末田一秀さん(反原発新聞運営委員)、中嶌哲演さん(小浜市)

の4つをテーマに、敦賀市勤労福祉センターで約200人が参加しました。

ここでは「もんじゅと原子力政策」で出された問題について報告します。
伴さんは、原子力委員会が5年ごとに策定する新「原子力長計=原子力の研究、開発及び利用に関する長期計画」(2005年に計画発表)の策定委員に、原子力批判派として参加した一人です(策定委員32人、うち批判派4人、残りは原子力委員会の5人を含めて推進派)。
新原子力長計では核燃料サイクルをどう進めるか、とくに再処理をどうするかが大きな課題となります。この策定会議中間報告では、原発から出る使用済み燃料の全量再処理を前提に、一部を中間貯蔵ということになりそうですが、なぜ再処理を進めるのかの積極的な方向は見えてきません。伴さんによると次のような意見がそれぞれ出されたといいます。

  1. ここで再処理をやめると、使用済み燃料の行き場がなくなり、地域との信頼関係が崩れるだけでなく、原発まで運転停止になってしまう──電力会社の主張。
  2. 再処理を止めてしまうと高速増殖炉の研究・開発も閉ざすことになる──高速増殖炉推進派の主張。
  3. 再処理は日本の既得権。手放したら二度と認められないだろう──一部学者の主張。

このような消極的な意見しか出ないなかで、危険な再処理を行ってよいのでしょうか。2. の意見にしたところで、「もんじゅ」が本格的に運転再開する見込みはほとんどなく、また新しい高速増殖炉建設の見込みも存在しないのです。
3. の意見は、IAEAで核兵器拡散を防ぐためには、プルトニウムなどの国際管理を進める以外に道はないとする意見が強まっていて、こうした動きに強く反対している日本の立場と結びついています。しかし一方で日本はIAEAの優等生といってよく、追加議定書などもいち早く署名しただけでなく、アジアでも署名国を増やすよう努力しています。
結局、使い道のないプルトニウム保有量を増やし、放射性物質を大量に作り出す再処理をなんのために進めるのかは見えてきません。
これはそのまま、「もんじゅ」再開問題とも関係してきます。このような亡国的な方針しか策定できない日本の不幸というほかありません。

全国集会に1000人──12月5日・敦賀市

12月5日は、「もんじゅを廃炉へ!全国集会」が住民・市民団体、労組など、約1000人を集めて開催されました。
白木海岸からデモ 午前は「もんじゅ」を目の前にする白木海岸で抗議集会を開催し、約200メートル離れた「もんじゅ」ゲート前へ移動して抗議行動のあと、関電美浜支社と美浜原発前の2カ所でも抗議行動を行いました。
午後は敦賀市市民文化センターで、4日の課題別討論集会の報告、東海地震の前に浜岡原発の運転停止を求める運動代表の訴えのあと、「もんじゅ」訴訟原告団事務局長・小木曽美和子さんの「もんじゅの現状と美浜事故」についての報告。京大原子炉実験所の小出裕章さんの「廃炉の世紀への提言」と題する講演が行われました。
今回、課題別討論集会が開催されたことによって、「もんじゅ」集会は、新しい集会としての性格と方向を示したといえます。現在の日本の原子力政策が、再処理と廃棄物問題、さらにプルトニウム利用の是非に移ってきていることを浮き彫りにしました。
電力会社の経営も厳しくなってきていて、美浜原発の死傷事故も電力会社のコスト削減の犠牲なのです。
見通しのない再処理・高速増殖炉路線から1日も早く撤退し、脱原発社会を築いていく。そのための第一歩として、まず再処理を中止させる。「もんじゅ」を廃炉に追い込むことが、参加者によって確認されました。

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