04年5月号(原水禁ニュース)の「動き出したプルサーマル計画」のなかで、「MOX燃料は、軽水炉のウラン燃料と比較して、約40万倍も放射能が高い」と書いたところ、読者からその出典を教えてほしいとの質問がありました。たしかにその時の文章はさらっと書いていますので、ここでMOX燃料の放射能の強さについて、もう一度説明します。
まず新MOX燃料が、新ウラン燃料よりも約40万倍も放射能が多いという記述は、松岡理さん(放射線医学総合研究所を経て、中央電力研究所・研究顧問)の「新版プルトニウム物語」に掲載されていたものです。松岡さんはプルトニウム利用推進派の著名な人物で、その人が自著で図・1を掲載しているのです。つまりMOX燃料の放射能が桁違いに大きいということを推進派が認めているのです。
次に表・1を見てみましょう。これは関西電力が発表しているものです。ヒバク線量を示す「線量当量率」は、MOX新燃料はウラン新燃料の330倍。発熱量は1体当たり3万3千倍も高いのです。
このように燃焼前でさえ、放射能が高く、発熱量の高いMOXを燃やしたら、その使用済み燃料はどのような状態なのか?
核戦争防止国際医師の会(IPPNW)の出した報告書があります。ここではスペースの関係で図を示すことができませんが、その報告によると、MOX燃料は取り出してから100年経って、ようやくウラン燃料を取り出して10年後の発熱量に近づくのです。発熱量が大きいということは、放射能が高いということです。つまり放射線という形でエネルギーが放出されているのです。
MOX燃料はなぜ発熱量が高く、放射能量が高いのかというと、使用済みMOX燃料には、半減期の長い超ウラン元素が多く生成されるからです。ウラン燃料とMOX燃料を取り出し、1年経った後の放射は、全放射能比でMOX燃料の方が1.5倍しか高くないのですが、超ウラン元素だけで見ると6.8倍も高いのです。使用済みウラン燃料でも、超ウラン元素は大きな問題となっていますが、MOX燃料はさらに厄介なのです。
図1 ウラン燃料とMOX燃料の放射能比較
表1 MOX新燃料の取り扱いについて
(関西電力提供、数値予測的評価の結果)
| ウラン新燃料 | MOX新燃 | 対 策 | |
| 線量当量 被ばく線量 |
約0.03mSv/h | 約10mSv/h 約330倍 |
MOX新燃料の取り 扱い時には十分 遮蔽を行う。 |
| 発熱量 | 約0.03W/体 | 約1KW/体 3万3千倍 |
MOX新燃料の貯蔵 は使用済み燃料 ピットにおいて行う |
いま世界中で使用済み核燃料の処理が大問題になっています。再処理した後の高レベル放射性廃棄物の処理はさらに厄介です。MOXにして燃やした後の使用済み燃料がより一層厄介になることは明らかです。後始末を考えずに原子力発電を始めた30年前と同じ感覚でプルサーマルを進めようとしているのが今の日本なのです。
(W)