出版物原水禁ニュース
2005.3号 

スソ切り導入などを狙う原子力2法を廃案に!

核のごみキャンペーン関西 末田 一秀

低レベルの放射性廃棄物を規制から外し、リサイクルにまわしたり、普通の廃棄物として処分できるようにするスソ切り処分については、3年前に原水禁も呼びかけ団体の一つとなって「放射性廃棄物スソ切り問題連絡会」を立ち上げ、反対キャンペーンを続けてきました。しかし、総合資源エネルギー調査会原子力安全・保安部会廃棄物安全小委員会でスソ切り制度化への検討が行われ、今国会にいよいよ原子炉等規制法「改正」案として提出されるところまで来てしまいました。

「健康影響は無視できる」か?

 スソ切り処分では「人の健康に対するリスクは無視できる」とされています。しかし、スソきり処分によって「放射性廃棄物として扱う必要のない廃棄物」とされるものは、基準値以下とはいえ微量の放射能で汚染されています。放射能にこれ以下なら安全という値はなく、低い線量でも被曝量に応じてガンにかかる確率が増加するなど悪影響は生じます。また、基準値が妥当か、多量の廃棄物を正確に測定できるか、測定後に汚染しないよう解体工事現場で保管できるかなど疑問はつきません。

安心できない記録と表示

 制度化にあたって行われる、スソ切りされた微量の放射能を含むものの搬出先の把握は、「制度が定着するまでの間」第1次搬出先までの記録を残せばいいという限定的なものです。したがって、原発の金属廃材が鉄鋼会社に払い下げられた場合、記録に残るのは最初の搬出先である鉄鋼会社までです。その廃材がフライパンに加工されても何の警告も表示もされません。

電力会社の率先利用も限定条件付き

また、電力会社が原発廃材再利用製品を率先利用するとされていますが、その措置も「制度が社会に定着するまでの間」と限定されています。「制度が社会に定着するまでの間」とは誰がどう判断するのか説明がなく、これではいつ率先利用が解除されるかわかりません。98年9月に出された日本鉄鋼連盟の文書では、「(原発)解体スクラップを受入れる場合には、(1)国民的合意(2)技術的な安全性確保(3)異常時対処方法の確立が不可欠の条件であり、現時点ではいずれの条件も満たされていない。」としています。国民的合意のないまま日用品に再利用するのだけは止めてほしいものです。

核物質防護の強化も問題

原子炉等規正法「改正」案では、核物質防護の強化も図られます。具体的に想定される設計基礎脅威を国が想定し、事業者に防護措置を取ることを義務づけるとともに、核物質防護検査制度を創設してその実効性を監視します。設計基礎脅威では、例えば不満を持つ従業員等を仮想敵とする脅威が想定されており、電力会社・関係会社の職員の借金状況やアルコール・薬物依存性の調査、犯歴情報チェックなどの個人情報を管理して監視することが検討されています。

また、防護措置体系を知り得る従事者に守秘義務を課す予定で、内部告発の抑止につながる恐れがあり、守秘義務対象の情報には、核燃料輸送の日程及びルートなども含まれ、防災体制の充実のために情報公開を求める市民や自治体の声は封殺されます。私たちがかねてから危惧してきた核管理社会を具体化させるこうした規制強化は、民主主義の社会に相容れません。

バックエンドコスト負担法案も

 今国会には「使用済燃料の再処理等のための積立金の積立て及び管理に関する法律案」も提出される予定です。再処理工場の廃止費用や超ウラン廃棄物の処分費用などこれまで措置されてこなかった費用を新たに電気料金に上乗せして徴収し、積立先を電力会社の内部留保から指定法人の外部積立方式に変更します。この法案が通ると、標準家庭で毎年約1,000円の負担増と考えられていますが、今後、再処理必要経費の増加でさらなる負担増も予想されます。一方、電力会社は積立金の損金処理が認められて負担軽減が図られる見込みです。私たちは六ヶ所再処理工場の稼動に向けた条件整備としての性格を持つコスト負担を受け入れることはできません。

原子力2法案反対の取り組み強化を

2月6日に「放射能の野放しも再処理費用負担も核管理社会もごめんだ!原子力2法案反対全国集会」を開催し、法案反対を訴えました。残された時間の中での取り組みの強化を訴えたいと思います。