出版物原水禁ニュース
2005.4号 

米軍・自衛隊の再編・再配備とミサイル防衛(1)

アジアにおける米軍再編とは

 米軍のトランスフォーメーション(再編成)とそれに対応する自衛隊の再編・再配置が急速に進もうとしています。その中心にミサイル防衛(MD)が存在するのですが、ミサイル防衛の位置づけを理解するために、最初に米軍再編の動きを見てみましょう。

今回の米軍再編は、単に米軍の移転・再配置をめざすものではなく、軍事戦略の根本的な変更が基本にあります。それを支えているのが軍事技術の大きな進展です。米軍の軍事技術進展へのあくなき追求は、信仰といってもいいくらいです。いわば戦争についての思想的変化といってよいと思います。この思想の上にミサイル防衛があり、新型地中貫通核兵器の研究があるといえます。

今回の米軍再編の目玉の一つに、米軍・海外基地の縮小、米兵撤収があり、アジアでは在韓米軍基地の移転・縮小が大幅に進みます。しかし日本では逆に在韓米軍縮小の穴を埋める形で、米軍基地の集中・強化が進もうとしているのです。

これまで明らかになっている主なものを拾ってみますと、神奈川県の座間市、相模原市にまたがるキャンプ座間に、米陸軍第1軍団司令部を移そうとする計画があります。現在キャンプ座間には米陸軍第9地域コマンド司令部、在韓米軍、在日米軍司令部などがおかれていますが、ここに第1軍団司令部をもってきて、米軍の指揮系統を1本化する構想です。朝鮮半島有事の場合は、当然キャンプ座間が作戦司令部となります。

次に横田基地の第5空軍司令部とグアムの第13空軍司令部を統合する構想です。第5空軍は横田の第3空輸航空団、沖縄・嘉手納の第18航空団、三沢の第35戦闘航空団から構成されていますが、司令部と第8空輸航空団はグアムのアンダーセン基地に移るといわれています。そしてこの後に府中にある航空自衛隊の航空総隊司令部の移駐を求めています。

航空自衛隊・航空総隊司令部は今後のミサイル防衛の、日本側の統括責任を受け持つことになっていますから、米ミサイル防衛の一翼として、日本海に展開する米海軍・イージス艦との共同運用をはかる狙いといえます。

沖縄では、キャンプハンセンの砲兵大隊が静岡県のキャンプ富士へ移駐します。これは沖縄の県道104号線越え実弾射撃が、96年のSACO(日米特別行動委員会)合意によって、本土の5カ所に移ったことによる措置といえます。

一方SACO合意で全面返還が決まった普天間飛行場は、返還最終期限である03年4月はとっくに過ぎましたが、辺野古沖への移転は県民の強い反対もあり、完工の見通しが見えない状況です。しかし米軍は辺野古沖代替基地の早期完工を強く求めています。さらに今年5月に返還期限を迎える楚辺通信所も返還が遅れることは確実といえます。 こうしたなかで嘉手納飛行場の日米共用化構想が浮上しています。米軍再編は沖縄基地機能のさらに強めようとするものといえます。

どこまで自衛隊は米軍に協力するのか

日本では20004年10月4日に小泉首相の私的諮問機関「安全保障と防衛力に関する懇談会」(以下安保・防衛懇)が報告書を出し、それを受けて「新防衛計画の大綱」(04年11月末)、「中期防衛力整備計画」(04年12月)が策定され、米軍再編成に対応する自衛隊の再編成案が骨格を表し始めています。

こうした日本版トランスフォメーションでは、(1) 専守防衛の放棄、(2) 北朝鮮・中国に対する敵視、(3) 米軍とのミサイル防衛の推進、(4) 武器禁輸三原則の緩和などが明らかとなっています。

米軍は東アジアから中東までを「不安定の弧」と位置づけていますが、米軍再編に自衛隊を組み込み、共同作戦態勢を作り上げようとしているのです。

さすがに日本政府もこうした再編構想に慎重な姿勢を示していますが、2月16日の「2+2」(外交・防衛閣僚による日米安保協議委員会)で、「共通の戦略目標」を設定しました。米国はこの戦略目標に基づいて米軍と自衛隊の役割分担や在日米軍の再編・再配備について合意を得たいとして、「2+2」を6月にも開催したいと強く申し入れています。

米軍再編の全容は必ずしも明らかになっていません。イラク侵攻の泥沼化による大幅な財政赤字から、グアム・アンダーソン基地の閉鎖も噂されており、場合よれば日本が大きな負担を強いられる可能性もあります。

米軍再編に日本がどう対応するのか、米軍だけでなく日本にとっても大きな転換点です。この中心にミサイル防衛があります。次号で詳しく述べます。


(W)