出版物原水禁ニュース
2005.5号 

「もんじゅ」最高裁口頭弁論を受けて
手ごたえあった勝利への確信

もんじゅ訴訟原告団事務局長 小木曽 美和子

 「もんじゅ」設置許可無効確認訴訟で名古屋高裁金沢支部が2003年1月27日に出した原告住民全面勝利判決を不服とする国の上告が受理され、3月17日最高裁で口頭弁論による最後の攻防が行われました。弁論は、原告側が60分の割り当て時間をフルに使って原告、弁護団7人が争点の核心をつく陳述をしたのに対し、国はわずか4分。原告側一人一人の陳述人の顔をじっと見つめたり、うなずいたりする5人の裁判官の反応に確かな手ごたえが感じられ、勝利への確信を強めました。

 高裁判決はナトリウム漏えい、蒸気発生器伝熱管破断、炉心崩壊の三つの事故の安全審査について「看過し難い過誤、欠落」があると認め、重大な違法があったと結論しました。また、無効確認訴訟で必要とされる違法の明白性は、特段の事情があり、必要でないとしました。

最高裁の争点は二つ、重大な違法と違法の明白性

 この判決に対し最高裁では、(1) 重大な違法と(2) 違法の明白性の2点について原子炉等規制法の解釈や過去の判例に照らし、誤りがなかったかどうかが争点として判断されます。

 そこで、判決をめぐる国側、住民側の主張は次のようになります。

違法の重大性について

 国側は、安全審査で認められた原子炉を設置、稼動させた場合、重大な事故が起こる可能性が高いと認定される場合に限られ判決のいう「具体的危険性が否定できないとき」は当てはまらない、と主張しています。

 住民側は、安全審査が万が一の原子力災害が起きないための具体的な審査基準に適合していなければ、それだけで重大な違法となり、事故が起きる可能性が高いかどうかの認定は必要ない、としています。

明白性が必要かどうかについて

 国側は、行政処分を無効にするには重大かつ明白な違法が必要との判決が確立しており、無効になると関係者が被る不利益も大きい、と主張しています。

 住民側は、原子力災害で深刻な被害を受ける住民の権利保護は、設置者らの利益保護をはるかに上回っており、明白性は必要ない。不要とする最高裁判例もある、としています。

全国各地のいのちをかけた判決

「もんじゅ」訴訟は85年9月に提訴してから20年の歳月をかけて審理を尽くしてきました。福井県内全域を網羅して代表参加した原告40人は、既に6人が故人となり、残る原告もみな高齢に達しています。

 現実に起きたナトリウム火災事故の衝撃を受け、福井県知事に対する「もんじゅを2度と動かさないで下さい草の根県民署名」22万人の声が、この訴訟を支えてきました。この訴訟には、県民の命(見出しでは「いのち」)がかかっています。福井県民だけでなく、口頭弁論に集まった青森から山口に至る全国各地の原発を抱える住民の命をかけた闘いでもあります。

 わずか25枚の傍聴券を求めて土砂降りの雨の中、191人が最高裁南門に並びました。その夜には300人が総評会館で集会を開き、最高裁でも勝利を勝ち取ろうと心を一つにしました。国民の多くが重大な関心を持って判決の行方を見守っています。

国の逆転勝利はありえず、判決勝利へさらに世論包囲を

 口頭弁論閉廷に際し、「判決期日は追って指定します」と宣言した泉徳治裁判長の言葉は、口頭弁論を受けて合議がさらに重ねられることを示唆したものと理解しています。一般的に上告が受理され、口頭弁論が開かれる場合は、判決が見直され、上告(この場合国)側に有利な判決になると言われています。弁論の段階で既に結論が固まっており、判決日も指定されると言われています。

 法廷の雰囲気も閉廷も一般の予測と違う形で終わり、判決に十分期待してもよいと思っています。少なくとも、安全審査の違法を覆す事はできず、国が逆転勝利することは、ありえないことが確信出来ました。

 最高裁が安全審査の重大違法を認め、原子力規制行政を正すよう判決へ向けてハガキ要請の集中など、さらに国民世論を高めていきましょう。