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2005.7号 

駐韓米軍の再編計画と地域の状況(1)

アジア太平洋資料センター調査研究員 李 泳采(イヨンチェ)

米国はブッシュ政権発足以降、新しい対外軍事戦略と共に、世界各地の米軍基地の削減及び統廃合による再編を行っています。その主軸は、海外駐屯軍の軽量化(人員削減)、迅速機動旅団の創設(ストライカー旅団)、先端武器中心の部隊運用であると見られます。このような米国の米軍再編計画の一環として、現在、駐韓米軍と駐日米軍の再編も同時に行っており、特に、韓国では、従来の駐韓米軍の役割が変化する大胆な米軍再編計画が既に実施されています。

現在韓国での駐韓米軍再編計画は大きく三つの内容を骨組みとしています。それは(1)龍山米軍基地移転、(2)連合土地管理計画、(3)米2師団の再配置です。

まず、龍山米軍基地の移転問題ははソウルの真ん中に外国軍隊が駐屯していることに対する国民の長い反感のゆえに、80年代後半から韓米交渉の対象となってきました。しかし、移転地と費用をめぐる韓米交渉は難航し、この問題は一時棚上げされていましたが、2001年に龍山米軍基地内の米軍宿舎建設問題が社会的問題化となってから、龍山米軍基地の移転問題は韓米両国の間で本格的に論議されてきました。その結果、昨年10月に龍山基地移転及び連合土地管理計画(LPP: Land Partnership Plan)修正協議案が両国の交渉団から出され、ついに公式的な署名をするに至りました。

その内容はソウル都心に散在している米軍基地を2008年まで平沢地域へ移転すること、米国はソウルの9箇所の基地118万坪を返還し、韓国側は平沢地域の従来の米軍基地周辺に新規敷地52万坪及び施設を提供すること、そして、移転費用は韓国側で負担(約4兆ウォン推定)することでした。

次に、連合土地管理計画は全国に散在されている28箇所の米軍基地を2011年まで平沢など5箇所の地域へ統合することとなりました。移転費用に関しては、韓国側が先に移転を要求した8箇所の基地施設費は韓国側が提供し、残り20箇所の基地施設費は米国側が提供することとなりました。

最後に、米2師団の再配置問題は、2006年まで漢江北側の群小基地を東豆川、議政府地域の主要基地へ統合することと、漢江北側に位置して北朝鮮の先制攻撃の危険性にさらされていた2師団の主力部隊は漢江以南の平沢へ移転することとなりました。この場合は、韓国側が土地を、米国側が施設工事費を負担することとなっています。

このように韓国政府は米国との基地移転交渉で、移転費用と土地提供における米国の要求を大部分受け入れていました。しかし、韓国政府はこの韓米交渉の結果をしばらくの間、公開していませんでしたが、民主労働党議員の秘密文書の暴露でこの問題を公表せざるを得なくなりました。市民団体らは龍山基地をはじめとする米軍基地の都心からの移転または返還には賛成しながらも、移転費用と土地提供問題において屈辱的な韓米交渉だと指摘し、基地移転問題の再交渉を強く要求しています。

また、基地移転計画によって、全国に散在されていた駐韓米軍部隊の大部分が、現地住民の意思とは関係なく、結果的には平沢地域に総結集されるようになりました。これに対抗して、現地の農民、住民、そして市民団体らは「平沢米軍基地拡張阻止汎国民対策委員会」を結成し、土地調査団の立入禁止、キャンドル集会、全国巡礼など実力闘争及び宣伝活動を続けています。

一方、現在韓米両国による駐韓米軍の再配置は、MD体制及び機動打撃が可能な旅団の創設と同時に、分散されている軍事力の集中化を指向しています。特に、その戦力を中国に近接した西海岸地域に集中させているのが大きな特徴です。パトリオット・ミサイルを中心にした戦力増強構想を発表して以来、米国は3年間で、110億ドルを投資し、朝鮮半島の西海岸ラインに沿って、パトリオット・ミサイル配置を行ってきました。これは北朝鮮へのけん制と同時に、中国への軍事的牽制という新たな軍事戦略としても見られています。去る2004年11月、朝鮮半島の南の光州に駐韓米軍35防空砲旅団兵力450余名と、16基のパトリオット・ミサイルが追加で配置され、光州市民らの強い反対に直面しています。しかし、2005年現在、韓国では、光州、群山、平沢、烏山などいわゆる西海岸MDベルトに64基のパトリオット・ミサイルが配置されている状況です。

一方、駐韓米軍は西海岸の戦闘機射撃練習場であった梅香里を、住民たちの粘り強い閉鎖要求に直面し、来る8月までに実質的に閉鎖することを決定しました。だが、その代替地として新たに全羅北道の群山近海の「直島(ジクト)」を選定しています。さらに、群山には最近、米軍保有の55台のF-117戦闘爆撃機(ステルス機)の中、25%を超える15台が配置され、訓練をしているとも報道されています。これに対して北朝鮮は、体制を威嚇する軍事行為として強く抗議しています。

一方、盧武鉉政権は済州道のファスン港に8000億ウォン規模の海軍基地の建設計画を決定し、済州道の経済活性化政策として発表しました。だが、この海軍基地建設は地域発展よりは戦略的要衝地としてミサイル防御体制(MD)と連動せざるを得ない地政学的要因を持っているのが現状です。

 最近、韓国が巻き込まれることを懸念するいわゆる「対米自主外交」の影響で、米国側が駐韓米軍撤収可能性をうんぬんとしながら、韓国に対する外交的圧力カードとして使っています。しかし、駐韓米軍削減と漢江以南への移転は米国の東北アジア地域での軍事戦略の変化にともなう副産物に過ぎません。また、これはむしろ朝鮮半島の有事の時、米軍の自動介入を避けながら、米国の対北朝鮮軍事制裁の戦術的な選択の柔軟性を提供している側面も認識する必要があります。