出版物原水禁ニュース
2005.7号 

ウラン兵器禁止を訴え国連でワークショップ
16万筆を超えた国際署名を国連事務総長へ

「ヒバク反対キャンペーン」DU担当 振津かつみ

NPT再検討会議に関連したNGOの取り組みのひとつとして、5月3日、ニューヨークの国連本部で「ウラン兵器禁止を求める国際連合」(ICBUW)主催の「劣化ウラン・ワークショップ」が開かれました。開始前から様々な国々の反核活動家がつめかけ、NGOのために準備された50名収容の部屋がすぐに満杯になり、途中で別の大きい部屋に移動しなければならないほどで、質疑や議論も活発に行われ、関心の深さがうかがわれました。

 1991年の湾岸戦争に従軍したメリッサ・ステリさんは、「戦場に残された砂まみれの戦車や兵器を集め、布で拭いたりして除染し、再使用できるように整備する任務に就いていた。帰国後、30代という年齢にもかかわらず、疲れやすい、関節・筋肉痛、慢性呼吸器感染症、心臓発作、記憶力低下などの健康障害に苦しめられてきたが、医師には『ストレスが原因』と決めつけられ、家族からも『なまけ者』扱いをされた。1995年に障害認定を申請したが、未だに認められていない。戦場で戦車に乗っていたわけではないので、劣化ウランに曝露されたことすら認められない。ウラン兵器は戦争が終わっても人々に影響を及ぼす。特に汚染地域の子供達や次の世代の健康が懸念される」と、訴えました。そして彼女の住むコネチカット州の議会で、イラクなどからの帰還兵に対する独立機関による健康調査を行うよう、また劣化ウランをはじめ戦場の有害物質による健康影響をフォローするために兵士の健康登録制度を設けることを求める法案を成立させるために奔走しているとの報告がありました。

 長年、核被害者問題に携わってきたロザリー・バーテル博士は、ウラン弾が標的に衝突した際に生じる3000〜6000℃もの高熱によりウランが金属蒸気となり、ナノ(1ミリの100万分の1)レベルの難溶性の微粒子となって呼吸とともに体内に取り込まれ、長期にわたって肺をはじめ全身の臓器・組織に傷害を与えるという危険性について解説しました。

 ウラン兵器を製造していた工場のあるマサチューセッツ州コンコードから草の根の住民運動のメンバーが参加し、「1958年から住民には知らせずにウラン兵器の製造が続けられてきた。1989年に3人の女性が地元の工場で放射性物質を扱っていることを調べ出したことをきっかけに住民運動が始まり、工場の敷地内には劣化ウランを含む有害廃棄物の貯蔵池があり、地下水系を通じての飲料水汚染も心配され、国に有害廃棄物の撤去と除染を求めている」と報告がされました。

 スコットランドの国会議員クリス・バランス氏は、「サンディ・ビーチの射爆場でウラン兵器が多数使用され、周辺地域の汚染と漁業への影響、住民の健康影響が問題になっている。また昨年スコットランドの湾岸戦争帰還兵が健康補償を求めた裁判で劣化ウラン曝露との関係を認められて初めて勝訴した」などの報告がされ、ウラン兵器使用のモラトリアムを求めた欧州議会の決議(2003年2月)にもかかわらず、英国がイラクでウラン兵器を再び使用したことを糾弾しました。フランスの「核軍縮市民行動」の代表からは、「フランスの湾岸戦争帰還兵も健康障害に苦しんでいるが政府は被害を認めていない。ウラン兵器実験施設の周辺住民の反対運動も取り組まれている。ウラン兵器は、核兵器や化学兵器など他の全ての大量破壊兵器の問題と結んで反対してゆくべきだ」などの発言がありました。米国の「軍事毒物プロジェクト」の代表からは、米国各地の軍事施設周辺で劣化ウランを含む様々な有害物質による被害が問題になっており、施設周辺住民の全米ネットワークとしての活動報告と、ICBUWの「ウラン兵器禁止条約案」の紹介がなされました。

 日本からは「NO DU ヒロシマプロジェクト」「ヒバク反対キャンペーン」の代表とともに、原水禁福山事務局長から、核軍縮の取り組みとあわせて「ウラン兵器禁止国際署名」にも取り組んできたことの報告があり、日本で16万筆を超える署名が集まっていることには会場から大きな拍手が送られました。また今後も引き続き国際署名に取り組むこと、世界の運動と連帯してイラク侵略・占領反対、自衛隊撤兵を求めて闘うとの決意が述べられました。積み上げられた国際署名(今回は日本の署名の一部のコピーを持参)は、その後、アナン国連事務総長に提出すべく、米国の活動家を通じて軍縮局長に託されました。

 6月23〜26日にはブリュッセルでICBUWの国際会議が開かれ、ウラン兵器禁止に向けた国際的な運動の方針などが話し合われます。またあわせて欧州議会議員への働きかけも行われます。「二度とヒバクシャを生み出させない」という思いで取り組んできた日本の私たちの運動は、今後も国際的な運動と連帯し、被害者を支援し、粘り強くウラン兵器禁止の運動を拡大強化することが求められています。