出版物原水禁ニュース
2005.8号 

原子力2法成立! 法案阻止取り組みの総括を

核のゴミキャンペーン関西 末田 一秀

 通常国会に提出されていた原子力2法が、5月13日に成立し、5月20日に公布されました。

2法とは、再処理工場廃止費用や超ウラン廃棄物処分費用などこれまで措置されてこなかったバックエンド費用を新たに電気料金に上乗せして徴収する「再処理積立金法案」と、スソ切り処分(クリアランス制度)を導入し、核物質防護対策の強化を盛り込んだ原子炉等規制法改「正」案です。

 一定レベル以下の放射性廃棄物を規制から外すスソ切り処分については、「放射性廃棄物スソ切り問題連絡会」を結成して、反対キャンペーンを行ってきましたが、世論を動かすところまで浸透しなかったことは、率直に反省しなければなりません。

また、国会議員への資料送付、修正案・質問案の提出、抗議・要請電報、院内集会などにも取り組みましたが、国会審議では十分な質疑が尽くされたとはいえません。電力・電機などの労働組合が法成立を働きかけ、民主党が賛成に回ったことも反省材料のひとつとして報告しておきたいと思います。

スソ切り問題の今後の取り組み

 スソ切り制度では、スソきり後のごく低レベルの廃材を何に使おうが自由で、追跡記録も表示も不要とされていますが、電力業界は「制度が定着するまでの間、(1) 事業者が自主的に搬出ルートを把握、(2) 業界内で再生利用」すると約束しています。そこで、「制度が定着」したといつ誰が判断するのかが問題です。この点についての国会答弁は、「制度の運用開始後、審議会でデータを示し、透明公開のプロセスで判断していきたい。」というものでした。したがって、反対キャンペーンを続け、「社会に定着」したと判断させない取り組みが求められます。また、経済産業省と環境省は、実際の取扱いをどうするかマニュアルを作ると国会答弁しているので、施行令、施行規則やマニュアル類についても監視していきたいと思います。

 当面、スソ切り対象となる廃炉原発は、1998年に営業運転を終えた東海原発だけです。2001年12月から周辺設備を中心にした解体工事が進められていますが、スソ切り対象の放射性廃棄物が発生する、熱交換器などの解体を行う第2期工事は来年から、原子炉本体の解体撤去を行う第3期工事が2011年から行われる計画です。この解体工事の廃棄物の監視を行うことが必要です。

また、スソ切り後の産業廃棄物の規制指導を実際に行うのは都道府県と保健所設置市です。これら自治体にも、十分な監視を行うことなどを働きかける必要があります。

 ところで、「制度が定着」したと判断されるまでは、スソ切りされたものが社会に出回らないかというと必ずしもそうでもありません。スソ切り処分の対象は、原発だけでなく、核燃料の精錬、加工や使用済み燃料貯蔵、再処理、廃棄の事業者、核燃料物質使用者、試験研究炉設置者、さらには米軍の原子力船にも適用されます。試験研究炉ではこれまでに8基が廃止され、解体工事中です。「業界内で再生利用」などという約束はあくまで原発の話ですから、この廃棄物がどうなるかは国会審議でも明らかにされていません。対政府交渉や質問趣意書の活用で、制度の疑問点を今後も追及していかなければなりません。

 さらに、病院・研究所などであつかう放射能のごみは、別の法律(放射線障害防止法)のため、スソ切り処分導入の法「改正」は別途行われる予定です。病院などの放射能ごみを出す事業所は全国で約5,000ヵ所、放射能を扱う研究施設も全国で約180か所あります。これらの事業所で発生した放射性廃棄物は現在アイソトープ協会が回収していますが、発生箇所が多いだけに、スソ切り処分が導入されたときに十分な管理が行われるかどうか分かりません。さらなる法改悪を許さない取り組みが必要です。

核管理社会を許さないために

一方、核物質防護対策の強化では、「核物質防護対策官」が新設され、防護措置体系を知る電力会社等の従事者に守秘義務がかけられました。国会審議では、これらはテロ等の外部脅威対策で、さらに内部脅威対策を今後検討していくとされていました。不満を持つ従業員を「仮想敵」とし、借金状況やアルコール・薬物依存性、犯歴などの個人情報を一括管理することが米国では行われているそうで、日本でも導入可能性の審議が総合資源エネルギー調査会で進められています。さらなる改悪を許さない闘いが、こちらも必要です。