出版物原水禁ニュース
2005.9号 

23年目の、上関原発建設阻止の取り組み

原水爆禁止山口県民会議 議長 中嶋 光雄

上関原発建設阻止

上関原発建設計画が表面化して23年。原発建設予定地の海上約3.5km沖合いに祝島があります。まさに目と鼻の先、玄関先に原発が建設されようとしています。

島民の中に、原発の下請け作業を経験して被曝された人々がおられ、原発の視察旅行に参加したことがある人たち(特に女性)と一緒に立ち上がり、「原発を見ながらの生活や、離島で逃げ場がない」などを訴え、島内の9割を超える住民で82年10月、反原発組織を結成、同年11月から現在まで毎週月曜日に島内デモを実施しており、今年6月13日に900回目になりました。

祝島も含めた現地の「原発に反対する上関町民の会」、市民団体の「原発いらん!山口ネットワーク」(長島の自然を守る会など)そして原水爆禁止山口県民会議の三者が、96年6月、旧電調審上程を阻止するため、初めて一堂に会し、1,600人規模の大集会を成功させた以後、座り込みや阻止行動、10・26反原子力デー、4・23知事同意抗議集会などの県民集会の取り組み、県・中国電力や上関周辺自治体への申し入れ、裁判闘争や学習会開催など三団体で連携・共闘を図っています。そして、2ヵ月に1回のペースで上関町全戸ビラ入れ行動を展開しています。

現在、中国電力は炉心設置許可申請に必要な詳細調査を強行しています。陸上では4月13日から開始しようとしましたので、百名規模で座り込みました。県警にごぼう抜きされ1日もちませんでしたが自然観察ハイクなどで抵抗しています。しかし、海上では6月21日から23日まで3日間阻止することができ、7月6日、29日にも阻止しました。そして8月5日には「原水禁60広島大会・上関原発反対現地交流ツアー」参加者のみなさんの協力も得て作業を阻止しています。近々第4波・5波も予定されていますが、なにせ味方は漁を休んでの阻止行動です。敵は賛成派の漁船を金で雇って警戒に当たらせています。持てるものと持たざる者の闘いが続いています。この闘いにおいても地元住民どうしの対立を中電は持ち込んでいます。

いまだ、土地・漁業権・環境問題など未解決なままです。土地問題は、予定地のうち7割強を中電が買収済みとはいえ炉心予定地にあたる「四代共有地・9,500u」訴訟で03年3月に岩国地裁が中電に立ち木の伐採や整地をしないよう命じたためボーリングなどの調査は出来ないままで広島高裁の今年10月20日の判決待ちになっています(もんじゅ最高裁判決に危機感を抱き急きょ始めた、「四代共有地裁判に対して、原告住民の権利を認め公正かつ厳密な判決を求める緊急請願署名」は10万筆を突破。ご協力に感謝します)。

さらには炉心地直近の「10haの神社地」訴訟では、所有権移転登記抹消と本件にかかわって神社地売却に反対していた宮司の解任無効や地位保全。そして私文書偽造(宮司辞職願い捏造)を県検察庁に捜査要請中です。

漁業権関係では、予定地地先にその漁場のほとんどを依存する祝島漁協が、関係8漁協でなる共同漁業権管理委員会の漁業補償契約の無効を求めて係争中です(125億5千万円の半額が支払済み。祝島分は5億円ですが受け取り拒否)。

そして、裁判の過程で許可・自由漁業者への補償問題が未解決なことが明らかになりつつあり、この8月1日に漁協と許可・自由漁業者で詳細調査差し止めの仮処分申請を地裁に提出しています。環境問題でも、周辺海域は開発が進む前の瀬戸内海の状態を維持しており、埋め立て予定地の近くでスナメリをはじめ、カクメイ科の貝など学術的に重要な生物の生息が確認されています。

陸上でも希少種や絶滅危惧種が多く見つかっています。また、予定地にある田ノ浦遺跡からは木の葉模様を施した弥生時代前期末のつぼが出土したことも明らかになっています。町を二分した闘いは長期化していますが、「負けない闘い(故松下竜一さんのことば)」を貫こうと頑張っています。