出版物原水禁ニュース
2005.10号 

これからの反核運動をどう進めるか
米・英平和活動家との座談会─被爆60周年原水禁世界大会を終えて

いつも違った広島・長崎の顔がある

福山真劫(原水禁事務局長)

 今年はヒバク60年、終戦60年にあたるため、大きな行動を考えました。そのため連合、核禁会議と8月4日と7日に広島、長崎で共同集会を開催しました。初めての共同集会ということもあり、それぞれの思いがかみ合わなかった面もありますが、初めての集会としては成功したと思っています。

 ただ原子力発電については団体間の考え方の違いもあり、このテーマについては原水禁の独自集会で追求することになりました。

 みなさんは今回被爆60周年の原水禁世界大会へ参加されてどのように感じられたでしょうか。

G.フィールド(ピース・アクション、メイン州代表)

グレッグ・フィールド(米国・ピース・アクション、メイン州代表)

 私は今年始めて原水禁世界大会に参加したのですが、原爆投下60周年の日に、広島、長崎で日本のみなさんと一緒にいたことで、60年前の原爆の被害についての思いを共有できたことに、大きな感銘を受けました。

 現在も核物質によって多くの人たちが死んでいます。それは殺されているといっていいでしょう。このような状況のなかで、未来にむかってどのような共通の運動が可能かということを考えました。

 その国、その国によって運動の課題は少しずつ異なると思いますが、私たちは核兵器の影響から目をそむけてはなりませんし、そこから共通の運動課題が出てくると思います。

 私としては、まず憲法9条を守ってほしいし、東北アジア非核地帯構想を広めてほしいと思っています。

 それと私は、大会に若い人たちの参加が多く、みんなの着ているTシャツも、いろんな主張をしていて、その多様性に強い印象を受けました。

デイブ・ナイト(CND=核廃絶運動・副代表)

D.ナイト(CND副議長)

 私は原水禁世界大会への参加は3回目になりますが、広島、長崎のヒバク・惨禍はさまざまな角度から見る必要があります。私は参加するたびに新しい感銘を受けています。

 現在英国では、米国の協力を得て核兵器システム??例えば原子力潜水艦を最新型へ転換するとか、ミサイル防衛システムの構築とかをやっています。このような状況に対して、英国でどのような運動をすすめていくがよいのかを考えています。

 とくに今年のNPT再検討会議が失敗に終わったという現実のなかでの具体的な運動を模索しています。

NPT2000年合意は、現在も生きている

福山真劫(原水禁事務局長)

福山: 今年のNPT再検討会議は、なんの合意文書も作成されませんでしたが、中途半端に妥協した文書が出なかったことはNGOにとってはよかったと思います。つまり2000年再検討会議の13項目合意は生き続けることになるわけですから。

 ただ残念なことに、広島、長崎の原爆被害を体験した日本政府は、積極的に核軍縮へのイニシアチブを取ることができるのに、その役割を果たしていません。

 日本政府は再検討会議に際して、CTBTの早期発効や、IAEAによる追加議定書(抜き打ち査察や査察範囲拡大など)締結などについては、積極的な姿勢を示しましたが、非同盟国などが要求した「核廃絶への明確な約束」履行については沈黙しています。これでは非核兵器国の信頼を得られないのは当然です。このような日本政府の姿勢の背景には、米国の核の傘に守られながら核軍縮をすすめようとするダブルスタンダードの政策が存在しているからです。私たちは「核の傘」からの離脱と、アジア・太平洋各国との積極的な友好関係の確立を求めたいと思っています。

ナイト: 被爆国・日本の役割は大きいですね。これまでのNPT会議でも、ここで日本がいま少し積極的に発言してくれたらと思ったことが何度もあります。

フィールド: NPTの問題も大きな問題ですが、私たちピース・アクションは米国がイラクから手を引くことも強く求めています。イラク問題はますます行き詰まってきていて、米国民も少しずつ実態を知り始めています。私たちは9月下旬に全米的な大きな反戦集会を全米的に開催する準備をすすめています。

ぜひ日本のみなさんとも連帯したいと思っています。

福山: 日本でも東京を中心にワールド・ピース・ナウというイラク戦争反対のネットワークがあり、原水禁もその中心組織の一つですが、現在、積極的に取り組む準備をすすめています。

国際的に協力してミサイル防衛反対を

ナイト: 米国はますます単独主義をすすめていますが、こうした米国の行き方に反対する運動として、反グローバリズムの運動があります。ただグローバル化と軍事の結びつきは、説明が難しいという面がありますが、私たちは反グローバリズム運動とも連帯しなければならないと思います。

 ところでいまミサイル防衛(MD)システムの構築が世界で進もうとしていますが、これは宇宙の軍事化であり、これがすすむと世界はもっともっと危険になっていくと思います。とくに日本と英国は、米国の軍事力に大きく依存していますが、このミサイル防衛、宇宙の軍事化に反対する運動をすすめるなかで、米国からの自立を目指すべきです。MDに関しては、とくに米国と英国、日本の運動は協力していく必要があります。

 私は英国、米国、日本が協力した宇宙の軍事化に反対するクローバル・ネットワークが作れないかと考えています。

福山: 原水禁もミサイル防衛には強く反対しています。現在ブッシュ政権が考えているミサイル防衛が、技術的に成功するかは大きな疑問がありますが、技術的に成功する、しないは別として、MDシステムに日本が組み込まれていくと、大きな財政負担だけでなく、アジアに強い緊張をもたらすことは明らかです。日本の未来のためにも、私たちはミサイル防衛に反対していきたいと考えています。

六ヶ所・再処理工場の運転停止を

 先ほど六ヶ所村の話がありましたが、私たちは六ヶ所村・再処理工場の運転をぜひとも中止させたいと考えています。ご承知と思いますが、六ヶ所・再処理工場が運転を始めますと、大量の死の灰が漏れだします。

 第二の問題は、現在でも日本は使い道もはっきりしないまま、約40トンものプルトニウムを抱えていて、世界からその意図について強い疑念を持たれています。運転するとさらに年間8トンものプルトニウムが蓄積されていきます。

 世界がプルトニウム生産を止める方向へ動いているなかで、日本だけが新たな再処理工場を運転することは、核軍縮という立場からも逆行するもので、ぜひ運転中止をかちとりたいと考えています。このため11月中旬に東京で大きな行動を予定しています。

フィールド: 六カ所・再処理工場には強い関心をもっていて、運転はぜひ止めてほしいと願っています。

ヒバクシャ問題への一層の国際的理解を

福山: また私たちは、ヒバクシャ援護にも大きな力を入れたいと思っています。日本のヒバクシャ問題は、運動の成果もあり前進をしていますが、残された問題もたくさんあります。とくに外国人ヒバクシャを含む在外ヒバクシャと日本のヒバクシャとの差別をなくしていくことは緊急を必要とします。被爆二世・三世問題などもこれからのこれからますます大きな課題となっていきます。世界の運動にも理解を得たいと考えています。

 また来年はチェルノブィリ原発事故後20年の年でもあります。

フィールド: ヒバクシャ問題は平和運動の原点ですし、国際的な課題ですね、先日米タイム誌の表紙に広島のヒバクシャの写真が掲載されましたが、これは国際的な関心の高まりを示していると思います。米国へ帰ったら広島、長崎の印象を多くの人たちに伝えたいと思っています。なお今年も、米下院は新型核兵器の研究予算をカットしました。上院でもそれを実現しようと、運動を強めています。こうした問題を通して米国の運動の幅を広げていきたいと思いますし、日本の理解も得たいと考えています。

福山: 運動状況は厳しいものがありますが、このようなときこそ、私たちは協力して運動を進めていく必要があると思います。今後ともお互いに協力関係を強めていきましょう。