出版物原水禁ニュース
2006.1 号 

原水禁ニュース1月号 短信 本の紹介

【短信】

立川ビラまき事件 逆転有罪の不当判決

「表現の自由」を軽視

 東京・立川市の自衛隊官舎にイラク派兵反対のビラを配り、住居侵入の罪に問われた市民団体「立川自衛隊監視テント村」のメンバー3人に対し、12月9日、東京高裁は無罪とした1審判決(04年12月)を破棄し、10〜20万円の罰金刑を言い渡しました。3人は即日最高裁へ上告しました。ビラ配布は「憲法が保障する政治的表現活動」で「民主主義社会の根幹」と位置づけ、「刑事罰に値する違法性はない」とした1審判決の論点を一切無視する内容で不当な判決です。

 この日の判決は「ビラによる政治的意見の表明が言論の自由により保障されるとしても、管理者の意思に反して建造物などに立ち入ってよいということにはならない」と指摘。管理権者の自衛隊が立ち入り禁止の掲示を出すなどの対応をした後も敷地に立ち入ったことを挙げて「1審判決は法益侵害は極めて軽微とするが是認できない」と述べています。

 1審判決は、「ビラの投函は、表現の自由が保障する政治的表現活動の一態様で、民主主義社会の根幹をなす。商業的宣伝ビラと比べて優越的地位が認められている」とし、反戦ビラと同様に商業ビラなども投函されていたことや、警察、自衛隊から「テント村」側に警告がなかったことなど実態を詳しく検討したうえで判断しましたが、控訴審では張り紙などで形式的に立ち入りを拒絶したから「侵入」にあたるとするなど形式論をとり、こうした点は無視しています。

 被告の一人は「各地のポスティングをする人が同じ思いをさせられることになる。日本の民主主義にとどめを刺してしまうことにつながりかねない」と語っています。

外国人の人権「守る制度を」

東京で連絡会結成

 日本に住む外国人の人権を守る法制度づくりを目指す研究者や弁護士、宗教者らが「外国人人権法連絡会」を旗揚げし、12月8日に都内で結成記念集会を開きました。民族的少数者と日本人との共生を実現するための法律や条例の実現を掲げ、各地の市民グループなどに参加を呼びかけています。 結成集会では、「外登法問題と取り組む全国キリスト教連絡協議会」の佐藤信行さんが講演しました。問い合わせは、みどり共同法律事務所(03-5925-2831)まで。

防衛庁 来年にも「省」に格上げ?

 政府は防衛庁を省に昇格させるための防衛庁設置法案など関連法案を1月からの通常国会に提出する方針を固めました。自民・公明両党が12月5日、幹事長・政調会長会談を開き、昇格で大筋合意したことから、法案提出の環境が整ったと判断。省の名称や業務内容については今後、両党間で詰めを行うとしています。

 名称としては「防衛国際平和省」「防衛国際貢献省」などが上がっています。

【本の紹介】

「あふれる愛」を継いで
土志田 勇 著

表紙 今から28年前の1977年午後1時過ぎ、横浜市緑区(現在の青葉区)に在日米軍のジェット戦闘機が墜落炎上するという大事故が発生し、5棟の家屋が全半焼、9人の死傷者が出ました。土志田勇さんの娘・和枝さん宅では長男裕一郎ちゃん(当時3歳)と康弘ちゃん(同1歳)和枝さんの義妹が被害に遭いました。

 和枝さんは4年4ヵ月の闘病の末、82年1月26日に亡くなるという痛ましい事故でした。

 勇さんは、生前の和枝さんと3つの約束をしたそうです。(1) 本をつくること、(2) 愛の母子像をつくること (3) 福祉の仕事をすること。まず「あふれる愛に」を出版(新声社)して大ベストセラーにし、85年には横浜・港が見える丘公園のフランス山に「愛の母子像」を建立しました。そして、88年には社会福祉法人を開所しました。本書は愛娘と2人の孫の遺志を継いだ28年間の歩みを綴った感動の記録です。本書の推薦人の評論家・佐高信さんは「声高に戦争反対や憲法問題を語らなくても、この問題を考えることが重要だ。私は9月27日を忘れない」と語っています。

 (七つ森書館・256ページ・1800円+税)